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花火が散るより長く向日葵が散るよりは短い期間を生きた僕と先輩の話(2)
暑いですね
僕先の続きです (略しました)
「え、消えていくってまさか今年が…?」 「うん。そうなんだ私は今年の夏で消えてしまうの。だからこそ思い出を残したいって思って… でも天崎君!このことでやけに気を遣うのは無しだからねっ!」目の前に差し出される小指。恐る恐る絡めると’ゆびきりげんまん’と懐かしい歌を夏神先輩が歌う。「ほら、天崎君も歌って!」放課後2人だけの美術室にきれいな歌声が響いていた。
翌日さっそく描くものを探しに2人で街に行くことになった。僕らが住む夕入市の明葉町は観光客には大人気の海沿い町だ。とはいっても僕たちはその景色を毎日みているので少々見飽きている。予定の時間より少し早く着いてしまい掲示板を眺めている。「おーい」振り向くと白Tにジーンズというラフな姿の夏神先輩が。
「おはよ~ごめんね少しくるのおそくなっちゃた」「全然!今着いたばっかなので」「そう?ならよかった」 そう言って笑う夏神先輩は、ありきたりな言葉だけど向日葵よりも美しかった。 まだ朝ご飯を食べていない先輩の意向に従い近くの定食屋に入る。「知ってた?ここはねしらす丼が有名なんだ。久しぶりに来たけど開いててよかった~」今の時期は特に観光客の予約で埋まる安いそうだ。だがまだ朝の7時ということもあり店内は僕らしかいなかった。
「でさ早速、今日の描く絵のテーマなんだけど海とかそこの通りの並木とか自然をテーマに描いてほしいんだ」「はい。全然いいんですけど先輩は何するんですか?」「あー私は絵描くっていったけどそこまで得意じゃなくて…カメラが得意だから海とか撮ってる」初耳だ。どんな写真を撮っているのか気になって聞いてみる。「どんなのを撮っているんですか?」「んーあんまテーマは決めないでそのときにこれいい!って思ったものを撮っているんだ」
ほら、と言われてカメラを渡される。猫があくびしているところや虹の写真など確かにバラバラだ。そうやってしばらく話していると料理が運ばれてきた。先輩と一緒のしらすドンをたべる。2人ともおなかいっぱいになり外へ出ると地味に暑く萎えてしまう。でもそんな暑さにも負けずさわやかにほほ笑む先輩はすれ違う人の注目を浴びている。
砂浜をしばらく進んだところで人が途切れてきたのでそこでお互い写真を撮ったり、絵をかいたりすることになった。夢中になって描いていると急に、カシャと乾いたシャッター音がした。怪訝に思い辺りを見ると悪戯な笑みを浮かべる先輩が。「うわぁ!びっくりした!」素で驚いたぼくに先輩は爆笑した。
「あはは!ごめんごめん、おもしろくて」ちょっと拗ねた僕は先輩にあることをしてもらう。「先輩少しそこに立っていてください。」「え?なになに?」不思議に思っている先輩をそのままに僕はスケッチブックを開く。
(よしできた)無言で先輩にスケッチブックを見せる。「え!なにこれ!」
一瞬の間で描いた先輩の絵。反応をみると恥ずかしそうに顔を覆う。マウント取れた感じがして、満足した。「も~…!えいっ!」「うわっ!」顔に水がかかる。そこからはお互いの攻防戦が始まり、決着がつかないまま夕日が沈み帰り道隣に並んではなす。何気ない時間だったけど僕にはそれが心地よかった。
Y字路につき手を振り分かれる。
その時に先輩後輩の関係をやめたいと1日で思ってしまったことはこの気持ち良い夕風に流してしまおう。
長文読んでいただきありがとうございました!
これからも頑張っていきます!