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10.
「お嬢様、なんでそんなにお強いんですか・・・。あんな引きこもりが。」
「一言余計だね、しかもだいぶ。」
そう言った美咲の手は震えている。
(お嬢様、緊張していらしたんですね・・・。)
「美咲、避けて!!!!!」
ザシュッ
「・・・・氷のクナイ。一体どこから。」
美咲の足には氷で作られたクナイが刺さっていた。
美音が警告したことによって最悪の事態は免れた・・・、が。
「『|氷の槍《アイスランス》』 第3王女、ここで仕留める。」
「お前、私のことを傷つけて命があると思ったら間違いだからな?『中級炎魔法 火炎』」
パチパチと音を立て炎が槍を溶かしていく。だが火力が足りず、溶かし切るには至らない。
「戦闘初心者の王女が、槍を溶かせるわけないだろう。」
「お嬢様、下がっていてください。負傷した今、下手に出るのは迂闊です。」
シャルムが注意を促す。たしかに、彼女の言う通りだ。
「『スキル発動 回復』 僕のスキルである程度回復できるから、落ち着いて。」
美音のスキルは2つ、『分析』と『回復』である。
どちらも名前のまんまだが、汎用性が高く重宝される。
「そんな小さなクナイで怒るとは、まだまだ子どもなんだな。」
「あ゙? お前、誰にそんな口聞いてんだ? ぶちのめすぞ。」
「お嬢様、治安が悪いです。落ち着いてください。」
「実力がないくせに、よく吠えるな。そんな負傷ごときで動けなくなって。」
「・・・・うるせぇ、お前には関係ないだろ。てか、お前誰だよ。」
「私は今の軍団の隊長だ。そして、こんな弱者に名乗る名前はない。」
軍団の隊長、それは先程よりも実力があることを意味している。
「すぐに終わりにするか、こんなに弱いとは。興ざめもいいところだ。」
「『上級氷魔法 完全凍結』」
小さな氷の弾が不規則に飛んでくるスペル。
「『スキル発動 重力操作』 怪我しててもできることはあるんだわ。」
『重力操作』、それはその名の通り重力を自由に操れるスキル。
彼女のスキルで、氷の弾ははるか上空へ消え去った。
「ふっ、そうか。だが、お前はさっき知ったはずだ。」
--- **「油断は人の命を奪いかねないのだと。」** ---
「離してっ!」
美音は、手を振りほどこうとする。
だが、相手は屈強な体を持つ。そう簡単には行かない。
「美音!!!!!!!!!」
「第3王女たちは邪魔だ、『中級氷魔法 氷鬼に捕まった』」
美咲とシャルムの足元から少しずつ氷が侵食し。
「動けない・・・・。」
「魔王様の情報によれば、こんな男は魔界にいないはず。少し話をしようか、貴様。」
「僕のこと、どこに連れて行く気ですか?」
「2人だけで話せる場所だ、誰も来ることはできない。」
「・・・・まずいですね。」
「このまま美音が連れ去られたら・・・・!」
2人は動くことができない、一体どうする。
「完全凍結」はチルノのスペカである
「パーフェクトフリーズ」を参考にさせていただきました。
―――あたいったら最強ね。