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ウマ娘〜オンリーワン〜 39R
39R「パリと京都」
実況「――さあ、京都大賞典――――」
「ガシャン!」
実況「スタートしました!11名のウマ娘で争います。京都大賞典。アスカウイングは後方待機。」
なぜ、天皇賞(秋)に直行するはずだったあたしが、京都大賞典で走っているのかと言うと――――
篠原「えっ!?ジャパンカップに出走したい…………!?」
アスカ「うん。お願い!天皇賞(秋)の後、ジャパンカップで走らせて欲しいんだ!」
篠原「なるほど………マイルチャンピオンシップを《《捨てて》》、ジャパンカップですか…………なぜジャパンカップに出たいんです?」
アスカ「……グッドと走りたいから。……グッドは、凱旋門賞に出走する。トライアルのフォワ賞も勝ったし、彼女は中距離も適性だったんだと思う。今後グッドはマイルじゃなくて凱旋門賞と同じ2400m前後のレースに出走するんじゃないかと思う。……だから、あたしはグッドとジャパンカップで戦いたいんだ………!」
篠原「……理由は、よく分かりましたが、グッドさんがジャパンカップに出走する保証はどこにあるんです?」
アスカ「……大丈夫。あたしに、考えがあるんだ。」
篠原「……そうですか。良いでしょう。ただし、条件があります。一ヶ月後の京都大賞典に出走してください。距離はジャパンカップと同じ2400mです。それに勝てばジャパンカップに直行。その間、ジャパンカップで勝てるようにみっちりトレーニングしていただきます。もし負けたら、ジャパンカップは諦め、予定通り天皇賞(秋)、マイルチャンピオンシップのローテーションで行きます。いいですね?」
アスカ「……うん。分かった。」
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アスカ(――大丈夫…………これに勝てば、グッドと戦える……!!)
実況「さあ、第4コーナーをカーブし、最後の直線へ!――外からアスカウイング!外からアスカウイング!」
――よし。体力も十分ある。
もしかすれば、グッドも中距離適性あるけど、あたしも中距離適性あるのかも…………!
アスカ「――うおおおおおっっっ!!!」
実況「やはり来ました、アスカウイングだ!アスカウイングだ!先頭でゴーールっ!!これで重賞4連勝!」
やっぱり走るのって――――
楽しい!!!
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篠原「京都大賞典勝利おめでとうございます。約束通り、ジャパンカップへの出走を認めます。」
アスカ「……ありがとう!……これで、グッドと…………」
篠原「ジャパンカップは、世界の強豪ウマ娘も招待されるれっきとしたレースです。勝つにはそこらのレースよりも難易度が高いですよ。……これから2ヶ月ビシバシ鍛えますからね!」
トレーナーの目は、恐ろしいくらいやる気に満ち溢れていた。
アスカ(グッド………次は、君の番だよ。)
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〈フランスのパリ・ロンシャンレース場〉
グッド「……ふぅーーーー……………」
プロミス「――いよいよですね!グッド先輩!」
グッド「……ああ。まさか、プロミス殿との初対戦が凱旋門賞になるとはな。」
プロミス「私もビックリです。こんなに強いグッドさんと戦えて光栄です!お互い、頑張りましょうね!」
グッド「ああ!………ところで、プロミス殿。他のウマ娘の|警戒《マーク》には、気を付けた方がいいぞ。」
プロミス「マーク………ですか?」
グッド「ああ。|欧州《ヨーロッパ》のウマ娘は、プライドが高い。この凱旋門賞は特に、意地でも私たち日本のウマ娘に勝たせたくないと思っているだろう。」
プロミス「……えっ?!でも、みなさん、とっても気さくな方たちに見えましたが………」
グッド「表ではそうでも、みんな心の中ではそう思っているはず。……だから、未だに日本のウマ娘は勝てない。特に、プロミス殿は無敗で、二冠ウマ娘なんだから、あたしよりも警戒は強くなると思う。」
プロミス「…そうですか。ご忠告、ありがとうございます。……でも、私は今までもずっとみんなに警戒され続け、レースでも進路を塞がれたり不利なレースを受け続けてきました。……でも、それでも勝ってきました!警戒なんて気にしてちゃ最強ウマ娘にはなれません!」
グッド「……そうか。流石はプロミス殿だな。実は、ちょっと怖がらせようと思ったのだが関係なかったな。あたしだって夢の世界一のウマ娘になる権利をようやく手にしたんだ。|同じ日本のウマ娘《みかた》だからって容赦しない。」
プロミス「……こっちもですよ。」
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実況「《パリ・ロンシャンに、14名の選ばれしウマ娘が、世界中から集いました。その中には、日本のプロミスクイーンとグッドラックナイトもいます。》」
アスカ「グッド―――頑張れっ………!!」
実況「さあ、枠入り順調。ーーー体制が整いました。」
グッド(ーーこの舞台に立つために、血の滲むような努力をしてきた………世界一のウマ娘という夢の一歩手前まで来た。それなら、勝つしかない。ーーー勝つのは、あたしだ!)
ラソワイユ(C'est moi, cet amoureux de la France, qui gagnerai la course française !(フランスのレースを制するのは、フランスを愛するこの私よ!))
セカンドマーキュリー(Next time we'll beat Strong Splash and give them a shot!(次こそはストロングスプラッシュに勝って、一泡吹かせるんだ!))
ストロングスプラッシュ(I don't care if everyone is older than me. I'm going to be the undefeated classic-class Prix de l'Arc de Triomphe winner!(年上だろうが関係ない。僕は無敗のクラシック級凱旋門賞ウマ娘になるんだ!))
トゥインクリング(Má bhuann mise, an t-aon chapall Éireannach, táim cinnte go mbeidh gach duine in Éirinn sásta...!(唯一のアイルランドウマ娘の私が勝てば、きっとアイルランドのみんなは喜んでくれるわ……!))
イマジナルトラベラー(It's the most exciting thing I've ever done! After all, there is no race more exciting than the Prix de l'Arc de Triomphe!(最高にエキサイティングだよ!やっぱり凱旋門賞ほどワクワクするレースは無いね!))
プリマシュテルク(Prix de l'Arc de Triomphe--das ist mein Platz zum Glänzen. Ich kann es mir nicht erlauben, mich von einem solchen Idioten besiegen zu lassen…(凱旋門賞ーーここは、私の輝ける場所。あんな能天気なバカに負けることは断じて許されない………))
プロミス「ーーふぅ………」
プロミス(デビューして1年ちょっとでもうこんな世界最高峰の舞台に立ってしまった………私は、走るのが大好きだ。誰よりも大好きだ。……今日は、それを証明してみせる!!)
「ガシャン!」
実況「スタートしました!まずは快調に飛ばしました、イギリスのイマジナルトラベラー!リードは早くも6バ身です!」
イマジナルトラベラー(Everyone is getting nervous. This race is all about having fun!(みんな緊張しちゃって〜。このレースは、楽しんだ者勝ちなのに!))
プリマシュテルク(Hunh, du Idiot. Wenn du von Anfang an so schnell fliegst, wirst du nicht durchhalten. .........? Okay, ich kann ihn heute schlagen. ...... Abgesehen davon, ............ ist das Problem Japans Promise Queen.(フン、バカが。初めからそんなに飛ばしたら最後まで持たないぞ………?よし、今日はアイツに勝てる。……それはさておき…………問題は日本のプロミスクイーンだな。))
実況「先頭はイマジナルトラベラー!6バ身差で2番手は日本のグッドラックナイト、それを見る形でアイルランドのトゥインクリング、1バ身差離れフランスのラソワイユ、2連覇目指すドイツのプリマシュテルクは後方に位置しています。」
プロミス(……ペースが速い!先頭のイマジナルトラベラーさんがペースを上げているんだ!)
グッド(………やるな、トラベラー殿………!!)
実況「さあ、異例のハイペースです!ドバイシーマクラシック以来の大逃げ!イマジナルトラベラー、凱旋門賞というレースを操ります!」
イマジナルトラベラー(Hmmm, you're all confused.can you keep up with my speed .........?(ふふん、みんな混乱してるね♪私の速さについていけるかな………??))
トゥインクリング(...Guh! Bhí mé ag scaoll... ní raibh mé ach ag iarraidh coinneáil suas leis an gceannaire... Bhain mé úsáid as leath de mo stamina cheana féin...(……ぐぅ!焦ってしまった………先頭についていこうとばかり考えて………もう体力も半分使ってしまった………))
グッド(大丈夫!あたしは2番手。仕掛けるのには有利な位置にいる!大丈夫。タイミングを見誤るな………!)
実況「さあ、第四コーナーをカーブして、|偽りの直線《フォルスストレート》に入ります!まだまだ飛ばす!イマジナルトラベラー!他のウマ娘は追いつけるのか!」
プリマシュテルク(Scheiße! Ich kann nicht glauben, dass er nicht nur ein Idiot ist, sondern ein Manöver, um das Tempo zu erhöhen…Ich habe ihn unterschätzt. ...... Es geht nicht mehr darum, wer den Prix de l'Arc de Triomphe gewinnt - es geht darum, wer mit dem Imaginary Traveller mithalten kann…(クソっ!アイツ、ただのバカじゃなくて、ペースを上げるための作戦だったなんて…………!見くびっていた……もはや、この凱旋門賞、誰が勝つかじゃなくてーーーーー《《誰がイマジナルトラベラーに追いつけるか》》になってしまっている………!!))
実況「さあ、フォルスストレートを抜け、直線!今年の凱旋門賞ウマ娘は誰なのか!」
イマジナルトラベラー(…Okay, 533m to go! I still have plenty of energy left! From here, if we accelerate further…(……よし、残り533m!まだ体力も十分にある!ここから、さらに加速すれば……))
「ーーHi! How's it going? Imaginal Traveller.(ーーやあ!調子はどうだ?イマジナル殿。)」
イマジナルトラベラー「…What…?」
イマジナルトラベラー(...... No, wait, wait! When did this guy get here!? I didn't even hear him approach! And I can't believe he caught up so quickly after making such a gap! And he's even breathing! ...... Good Luck Night, you, you.........(……いや、待て待て!コイツ、いつの間に!?近づく音すらしなかったぞ!?それに、あんなに差をつけたのに、すぐに追いつくなんて!それに息だって整ってる!……グッドラックナイト、君は、君は………))
イマジナルトラベラー(…Who the hell are you!?(……何者なんだ!?))
グッド「―――お先だ!」
実況「グッドラックナイト先頭!グッドラックナイト先頭!なんとイマジナルトラベラーにいとも簡単に追いついてしまった!」
プリマシュテルク(Was soll's, es ist Good Luck Knight! Ich kann nicht glauben, dass er mit dieser Geschwindigkeit mithalten kann… Scheiße, ich hätte es richtig markieren müssen…!(何!?グッドラックナイトだと!?あのスピードに追いつけるなんて………しまった、ちゃんとマークしておくべきだった………!!))
グッド(プロミス殿は、何処にいるのだろう………まさか囲まれて抜け出せなかったりしないだろうな………??)
プロミス(どうしよう、前も横も塞がれた…………まだこんなに体力もあるのに………)
プリマシュテルク(Lassen Sie zumindest nicht zu, dass die Promise Queen entkommt, niemals!(せめて、プロミスクイーンだけでも抜け出させまい、絶対に!))
ラソワイユ(On ne sait jamais quand cette fille va le déclencher……(この子はいつ仕掛けてくるか分からない……))
ストロングスプラッシュ(To increase my chances of winning as much as possible!(僕が勝てる可能性を少しでも上げるために!))
みんな(We will never let the Promise Queen win!
/Nous ne laisserons jamais la Reine de la Promise Queen !
/Wir werden niemals zulassen, dass die Promise Queen gewinnt!
/Ní ligfidh mé do Promise Queen an bua a fháil! !(ーー|日本のウマ娘《プロミスクイーン》を絶対に勝たせない!!))
-To next 40R-
〜作中に出てきたウマ娘〜
①イマジナルトラベラー
イギリス出身のウマ娘。新しもの好きで、ワクワクすることとスリルが大好き。いつもキャリーケースをカバン代わりに使用している。
身長……166cm
見た目……金髪のツインテール。制服風のワイシャツと短いスカート。
②プリマシュテルク
ドイツ出身のウマ娘。頑固で短気。特にイマジナルトラベラーとの相性が悪いようで、イマジナルトラベラーに対してはいつも口が悪くなる。生真面目だが、趣味はサボテンを育てることと小動物を飼うことと小さいものが好き。
身長……166cm(イマジナルトラベラーと身長も同じなので嫌がっている。)
見た目……黒髪のロングヘアー。鋭い目つき。焦げ茶色のロングコートを羽織っている。
③トゥインクリング
アイルランド出身のウマ娘。負けず嫌いで、やや自信家。自分を過信しすぎて失敗することもしばしば。根は素直であまり嘘をつかない性格。アイルランドのみんなが大好きで、そんなみんなの期待に応えたいと思っている。
身長……148cm
見た目……栗色のくるくるしたサイドテール。ややつり目でまつ毛が長い。マントを羽織っている。