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午前一時の背徳
いちごりら
深夜一時。理性はもう寝てる。 だけど、俺の胃袋だけが「おい、脂を入れろ」って騒ぎ立ててやがる。 気づいたら、黄色い看板が眩しい家系ラーメン屋の前に立ってた。
定員「いらっしゃい!」
店内に充満する、豚骨をこれでもかってくらい煮込んだ、あの独特の野性味あふれる匂い。 券売機で迷わず「中盛・海苔増し・ライス」のボタンを叩く。 好み? 決まってんだろ。「硬め、濃いめ、多め」。寿命を削って味を濃くする、これが俺のジャスティスだ。
カウンターに座って、戦いを待つ。 目の前では親父が、巨大な平ザルで麺を叩きつけてる。あの
ペシッ!
って音が、俺の空腹をさらに煽る。
定員「お待たせ!」
目の前に置かれたのは、もはやスープというより「濃厚なソース」みたいな色をした液体。 まずは、その表面に浮いた黄金色のチー油(鶏油)をレンゲですくい取る。 一口。
俺「……あ、あぶねぇ。これ、脳が溶ける」
塩分の塊だ。だけど、暴力的なまでの豚骨の旨味が、その後から追いかけてくる。
よし、次は麺だ。 短い、ワシワシとした極太麺を啜り上げる。
ズズッ、ズズズッ!
口の中で暴れる麺。スープがこれでもかってくらい絡みつく。 間髪入れずに、無料のニンニクをドカッと投入。さらにおろし生姜をひと匙。 これで準備は整った。
ここからは、米の時間だ。 スープにひたひたに浸した海苔を、箸で慎重に救い出す。 それを、ほかほかのライスの上に広げる。 さらに豆板醤を少しだけ乗せて、ぐるっと巻く。 口に放り込む。
俺「……っし!!」
海苔の磯の香りと、スープの脂、そして米の甘み。 正直、ラーメン本体よりこの「海苔巻きライス」の方が本体なんじゃないかと思う。
チャーシューは、箸で持つと崩れる。 これをライスの上で崩して、スープを少しかけて、かっこむ。 もはや、行儀なんて言葉は俺の辞書から消えた。
ズズッ、ハフッ、ゴクッ
ただ、食う。 自分の息がニンニク臭くなってるのがわかる。だけど、それがどうした。 今、この瞬間、俺は世界で一番「生きてる」実感がある。
気づけば、丼は空っぽだった。 最後の一滴までスープを飲み干した時、俺は丼の底に書かれた「完捲」の文字と対面する。
店を出ると、冷たい夜風が首筋を通り抜ける。 喉は渇いてるし、明日の朝は間違いなく胃もたれする。 だけど、心の底から
いいんだ、これで
って思えた。