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【第2話】君の音が聞こえない。
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ノートにはこんな文章があった。
“耳は聞こえてます。声が出せないんです”
___声が出ない。だから筆談だったのか、と違和感の点と点がつながって勝手に納得する。
「…そうでしたか。あ、練習の邪魔ですよね。ほんとすみませんでした。失礼します。」
そういって女性と軽く会釈し部屋を後にする。
…そういえば、サークルで噂だったな。
______『なんか、筆談のコ、いるらしいよ。耳聞こえないのかな。』__
なんて、盗み聞きしただけだけど。耳聞こえないわけじゃなかったんだな。
…あ、僕も練習しないと。
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___本番、10分前。共に演奏する仲間と、ステージ袖で待つ。少しの緊張を抱えながら、また女性のことを思い出してしまう。
彼女が吹いていたのは、チラッとしか見えなかったけど、多分、ホルン。
世界一難しいと言われるその楽器を吹きこなす彼女は、静寂を彩るように美しくて。まるで一瞬の“奇跡”を見ているようだった。
何年生かも、名前も、何も知らない。
だから、彼女の存在が不思議でたまらない。僕にとっての唯一の気がかりだった。
知りたい、彼女の事について、もっと。けど、勿論キャンパス内には数え切れない学生が居るし、その中で名前も知らない人を探すなんて暗闇の中で何かを探すように難しいだろう。
諦めよう、と考えながらも、僕はいつかの奇跡の出会いに期待していた。
『次のグループ!本番でーす!』
運営のスタッフに呼ばれて、ステージへ上がる。自分の譜面台の前に立って、カウントを行う子を見る。
その子のカウントで、曲が始まる。フルート四重奏。美しく、でも力強い音色で曲が造られる。この音色をちゃんと観客へ届ける、それが今回の目標だったんだ。
ちゃんと感情を込めて___と、ふと観客席へ目を移す。席はほとんど埋まっていて、楽しそうにリズムに乗る人も多く見られた。よかった。ちゃんと届いてる。
そんな優越感に浸っていたが、僕は“あるものが”見えてしまって、思わず目を見開いてしまう。
___最前から、3列目ほどだろうか。ついさっき出会った、あの女性が座っていた。しかも、僕だけを、じっ…と見ているようだった。思わず目を合わせてしまう。
見に来てくれたのかな。それとも、偶然?フルートが好きなのか?
落ち着け。こんなこと考えては演奏がブレてしまう。今は曲に集中しないと。
でも__こんなにすぐ出会えるなんて思ってもみなかったんだから、仕方ないじゃないか。
そうやって、ぐるぐる考えて演奏していると、いつの間にか曲は終わってた。
そして、逃げるようにステージ袖に帰った。
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文章がごちゃごちゃですいません…^^;
読みやすいように脳内で変換してもらって…。