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心血解放の爪痕②
風野芽衣明
|凍矢《とうや》:「(トクン トクン ドクンドクンドクドク……)あ、あがぁ、あああああああぁぁぁ!!!」
|燐《りん》:「と、凍矢!!? どうしたの!!?」
突然悲鳴をあげ ソファから離れると 壁にもたれズルズルと滑り落ちるようにして座り込み 胸や頭を抑え苦しんでいる。息も荒くなっているものの だんだん艶のある声に変わり、口は半開きになる。痛みに耐えるように抑えていた両腕も 次第に重力に引かれるようにしてダランと垂れ下がった。
凍矢:「あぐっ……!! 頭が……割れる! 胸が締めつけられ苦しい……!! 俺に一体何が起ころうと・・・。
・・・・・・あっ♡ ははは……♡♡ あっはははは♡♡♡ きもちいい、力がみなぎってくる♡♡♡ 幸せすぎて 気持ちよすぎて 《《快楽》》に抗えない♡♡♡ あははははははははははは♡♡♡♡♡」
燐:「と、凍矢?」
頭や腕から《《異様なもの》》が生えている凍矢はゆっくり立ち上がり振り返る、その【姿】を見て全員が言葉を失い、ウルグはヘイルに・|拓花《ひろか》は燐にしがみついている。
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心血解放した時と同じ金色の瞳 その中に【鎖がぐるぐる巻きついている 濃いピンク色のハートマーク】が浮かび、光の灯ってない とろんとした目・紅潮した頬・口角が上がり幸せそうな表情をしている。首元や手首だけでなく《《顔にまで青黒い鎖の紋様が浮かび》》、【月下美人】や【テッセン】といった 白く美しい花が両袖を突き破って咲き乱れ 頭部には|溶けない氷《クリスタル》でできたような 一際大きな【月下美人】の花が咲いている。皮膚を突き破っているわけではなく 鎖の輪の中から咲いているようだった。
パキィィィンという音を立てて【鎮静の指輪】が粉々に砕けてしまい、足元に紫色の粉が溜まっている。ズボンから花は咲いていないように見えるが 【全身に鎖の紋様が浮かび上がっており、開花は腕や頭のみにとどまっているだけで いずれは脚からも咲くのではないか】とヘイルは予想している。燐と話していた時に見せていた満面の笑みと違い 今の凍矢が浮かべている笑みは 偽りの・快楽により無理矢理浮かばされた 歪んだ笑みであった。
燐:「|駿兄《しゅんにい》さんの【鎮静の指輪】が!!!」
ウルグ:「ヘイル…… 凍矢のあの姿は一体何なの!!? 怖い……!!」
拓花:「りん〜〜~!あの凍矢 こわいよーーー!!!」
ヘイル:「|運命《フェイト》の【指輪】が砕けるとは 相当強い力だってことか。上半身にしか変化は及んでいないが、さながら特撮世界に出てくる【怪人】だな……。何が どうなってやがる!」
凍矢?:「(指を下唇に当てている)あっはは♡♡♡ 《《人》》がたっくさんいるや♡♡♡ 全員 俺と同じようになれ♡♡♡ 《《燐様のしもべ》》になれ♡♡♡♡♡」
ヘイル:「なっ!!? 燐のしもべだと!!」
恍惚な表情で 獲物を見つけた嬉しさに舌なめずりをすると右手を燐達に向け手のひらから無数の青黒い鎖を撃ち出す。悠那が咄嗟に両腕を犠牲にし 全部ガードするもそのうち1本がピッと頬をかすり 青い血が流れる。頬の傷はすぐ再生されるも 鎖は腕を貫通し 中々ショッキングな光景であったが 一瞬で鎖は消え 全身に《《黒いイバラのような模様》》が浮かび上がっている。
燐:「お姉ちゃん!?」
悠那:「くっ!! 鎖による痛みは特にないわ。よくも やってくれたわn…… 暖房をつけてるのに さ、寒い……。あ、脚が凍ってる!!?」
突然ぶるっと寒気を感じ 息も白くなっている、暖かい室内であるにもかかわらず 寒さでシバリングを起こしていた。その後 1分とかからず全身がピキピキと凍りつき氷塊と化した。氷塊に近づき 芸術品を眺めているかのような うっとりとした目で触りながら話し始める。
燐:「お姉ちゃん!!!」
凍矢?:「なぁに、凍りついても死にはしない。2分もすれば氷は自然に砕け散り、燐様のしもべとして生まれ変わるのさ♡♡♡(目線だけ燐達に向ける)」
???:「それはどうかしらねぇ?」
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バックジャンプで氷塊から離れた直後、氷の内部が赤くなると |豪炎《ブレイズ》による火柱で燃やし尽くされる。|目的物のみ《氷とイバラ》を狙って燃やしているため 延焼は全くなく燐達も熱さを感じない。しかし 狙ったはずのイバラ模様だけ焼失させられなかったようだ。
凍矢?:「《《俺の》》氷を溶かした…… 人間かと思っていたが お前、《《俺と同じトランサーか》》?」
ヘイル:「(? 俺の氷? 凍矢の能力は|消《イレイズ》…… それに、ここにいる全員が人間ではないと分かっているはずだ。まさか変異したショックで《《記憶を失っている》》のか!?)」
悠那:「__ブルブルッ__ その氷のような花、もしかしたら|氷結《アイシクル》を使えるんじゃないかと思ってね。 鎖が貫く直前 |豪炎《ブレイズ》で全身を覆っていたのよ!」
凍矢?:「ふーん…… だがもう遅い。|氷結《ソイツ》はあくまで時間稼ぎ。氷を溶かされたとしても 俺の鎖に貫かれた以上 《《結末》》は変わらない」
悠那:「? それは一体……? ……はうっ♡ なんだかドキドキしてきたわ……♡ かっこよすぎる♡♡♡ 目を離したくない♡♡♡ 咲き乱れる 白く綺麗な花達♡♡♡ あぁ♡♡♡ 美しすぎるわ、凍矢さまぁ♡♡♡」
拓花:「お姉ちゃん!!?」
ストンっと その場に崩れ落ちると 胸を押さえ凍矢の事をじっと見つめ ぽーーっと顔が赤くなりながらモジモジしてる。偽りの恋心を植え付けられ カナリア色の瞳の中に【鎖がぐるぐる巻きついている 濃いピンク色のハートマーク】が浮かんでいる=魅了状態になっていた。ニイッっと口角が上がり 悠那の前に片膝立ちになるとクイッと顎を持ち上げ 見下ろすようにして話しかける。
凍矢?:「効いてきたようだな。イバラは凍結作用だけでなく快楽物質も分泌させられる。そして それは この花の香りを嗅ぐことでもな。
こうして近距離で嗅いだ以上、もう俺に逆らえないし逃げられないぜ? たっっっぷりかわいがってやるから俺の|女《もの》へと堕ちてしまえ」
燐:「お姉ちゃん!! 」
悠那:「(凍矢の目を見つめ続けている) ふわぁ…… 凍矢さまぁ♡♡♡ このまま身も心も委ねてしまいたい♡♡♡ 凍矢さまのものになりたいわ♡♡♡
でも、私は 睦月悠那…… 燐のお姉ちゃん! |魅了洗脳《こんなもの》に負けてたまるかァァァ!!!」
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悠那は自分に|浄化《ピュリファイ》を使い 魅了状態を解除すると キッと睨みつけながら立ち上がる。イバラ模様も溶けるように消え去り、予想外の事態に再び距離をとる。
凍矢?:「ッッッ! 堕ちきったかと思ったが、まさかあの状態から正気に戻るとはな」
悠那:「ハァ……ハァ……。燐が私の名前を呼んでくれたおかげで打ち勝つことが出来た、さっきのセリフはお返しするわ。あと一歩届かなかったわね!
それで? あなたのことは凍矢って呼んでいいのかしら?」
凍矢:「(腕を組んで目を合わせていない)……好きに呼べ。__フンッ__ 遅かれ早かれ 全員燐様のしもべになるんだ、ゆっっっっくりと調教し 堕としてやればいいか。・・・・・・それよりも。 《《ごしゅじんさまぁ》》♡♡♡♡♡ みーーつっけたぁ♡♡♡(手を組み キラキラとした視線を燐に向ける)」
燐:「へ? ご主人様って…… キャァァァァァァ!!!」
ヘイル:「燐!!」
悠那と話してた時より声が何トーンも上がっている。今度は 花の中から植物の蔓のようなものを放ち、ぐるぐる巻きにすると力任せに引っ張り寄せる。お姫様抱っこのようにして受け止めると スっとソファに腰掛けさせる。
燐:「と、とうや……?」
燐が驚く間もなく 凍矢は目の前に跪くと 燐の手・足の甲へ 目を閉じチュッと周りに聞こえるように音を立て 連続キスをする、手の甲と足の甲へのキス= 敬愛する主君 つまり燐への忠誠/隷属を誓う証として。もちろんそんなことをする凍矢を見たくないと 燐はぎゅっと目をつぶり顔を背けていた。
燐:「ひっ……! と、とうや? 一体何がどうなってるの……?」
不意に立ち上がると燐の隣に座り両腕を燐の身体に回し 愛おしそうに抱きしめ、更には 自分の身体を燐に擦りつけている。急に身体を触られたため 当然 燐はビクッと震え、ゆっくり目を開けると 凍矢の異様な行動が目に入ってしまう。心血解放や ウルグ達の完全獣化/戦狼状態 とまた違った【異形の姿】、そして|エロいことに耐性が全くないのに 進んでしている《普段なら絶対にしないことをしている》凍矢に 燐はただ恐怖しか感じていなかった。
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燐:「と、凍矢!!? 何がどうなっているの!!? その姿はなんなの!!!?」
凍矢:「ご主人様が洗脳してくれたおかげで こんなにも綺麗な姿になれて すっごい力を手に入れたんだ♡♡♡♡♡ あれ? もしかしてご主人様よりも 燐様って呼ばれた方が好き?♡♡♡♡♡ なら【りんさま】って呼ぶね♡♡♡♡♡ (顔をくっつける)あぁ、りんさまから完熟した桃のような 甘ーーい香りがする♡♡♡ ねぇ りんさまぁ 俺に命令してよ♡♡♡♡♡ 俺は りんさまのもの、りんさまのとりこ♡♡♡ りんさましか考えられないんだ♡♡♡♡♡(うっとりとした目をして 全力スリスリ)」
ウルグ:「燐! 今すぐ助ける!! |解呪《ディスペル》!!
えっ・・・!!?」
ヘイル:「どうした?」
ウルグ:「|解呪《ディスペル》が、|解呪《ディスペル》が入らないの!!」
ヘイル:「なにっ!? |解呪《ディスペル》!!
弾かれた・・・! くっ、どうなってやがる!!
・・・・・・!!? なんだよこれ!!!」
ヘイルがすぐさま凍矢の身体を調べていく、凍矢の身体には【3種類の|残滓《ざんし》】が纏わりついており これが凍矢の人間性を狂わせ おかしくし 怪人へ変異させていた。 変異直後で強すぎる力が暴走しているのか凍矢自身も 鎖の効果と花の香りで2重に冒されてしまい 悠那以上に 快楽物質を過剰分泌させられている。燐のことしか見えておらず、燐以外 考えられなくなっている。
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凍矢:「ああ♡♡♡ りんさまは とっても綺麗だ♡♡♡ 色白の肌に 濡れたような深い黒色をしている艶やかな髪 大粒の|柘榴石《ガーネット》だって霞んでしまいそうな鮮やかな赤い瞳 耳元でキラリと光るシルバーのワンポイントピアス、そして どんな男でも虜にする魅力…… とっっっても綺麗だ。ずっっっと|傍《そば》で りんさまを愛し、りんさまに命令されたい♡♡♡
なぁ りんさまぁ、俺に命令してくれよ♡♡♡ りんさまの望みは俺の望み、俺は りんさまの忠実なるしもべ、盾であり|剣《つるぎ》なんだよ。身も心も 全てりんさまのもの、りんさまのことしか考えられない♡♡♡♡♡ りんさまの綺麗な顔や目を見つめていると胸がきゅっとしめつけられてドキドキして あたまの中がふわふわするんだ♡♡♡♡♡ りんさまのことだけを考えて りんさまに支配され 洗脳してもらえる…… りんさまの愛に|包《くる》まれ 見えない糸にあやつられ もう気持ちよすぎて抗いたくなくて しあわせなんだ♡♡♡♡♡ ねぇ りんさまぁ♡♡♡ りんさまのそばに ずっっっっとおいてくれよぉ♡♡♡ りんさまと はなれるなんてことになったら つらすぎてしんじゃいそうだよ♡♡♡ なぁなぁ りんさまぁ♡♡♡♡♡
・・・りんさま どうしてそんなに震えて泣いているんだ?♡♡♡ りんさまが怖いものは俺が ぜーーーーんぶこわすし殺すから遠慮しないで なんっでも言ってくれよ♡♡♡♡♡ 俺はりんさまのしもべなんだからさぁ〜〜~〜〜♡♡♡♡♡ もしかして泣いてるのって力不足を怖がってるの?♡♡♡ なら 力を示すために まずはコイツら全員 りんさまのしもべに変えてみせるよ♡♡♡♡♡ 俺と おーーーーんなじようにさぁ♡♡♡♡♡」
燐の全てが愛おしいと言わんばかりにうっとりとした目で 頭や頬を撫で髪に指を通したりクルクルと指に巻き付けたり、燐の胸元に顔をくっつけ心音や温もりを感じながら擦り付け 腕を身体にまきつけるように回している。頬や髪に触れられる度にビクッと震え、【怪物】に擦り寄られ 燐は終始 青ざめた顔でポロポロと涙を流している。
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これ以上被害が広がらないよう ヘイルは自分達の周り・燐の全方位にバリアを展開し重い口調で話し始める。かなり強度のあるものを生成したり 連続で魔法を使ったためか 体内魔力が急激に減り 目眩がするがウルグが魔力を補填した。
凍矢:「ご主人様に触れないし バリアも壊せない。あの野郎……!!! ご主人様!! すぐに助けてあげるからね!!!(ガンッ ガンッとバリアの壁を叩き 拳から血が流れている)」
燐:「(ヘイル、本当にありがとう(´;ω;`))」
ヘイル:「ハァ…ハァ…。 フゥーーーっ。 ウルグ、魔力 ありがとうよ。枯渇しかけてたから助かった。
・・・・・・表現が正しくないというのは重々承知の上で わかりやすい表現をさせてもらう。今の凍矢は【洗脳中毒】だ」
ウルグ:「洗脳中毒?」
ヘイル:「(絶賛 瞳発光中) 【力の|残滓《ざんし》】燃えカスのようなものが3種類も纏わりついていることで凍矢をおかしくし 怪人の姿へと変異させている。洗脳を解かれ元の姿に戻ることを 《《凍矢自身=心が拒絶してしまっている》》んだ。短期間で何度も洗脳されたせいだろうな。
|氷の花 そして氷結能力《青い残滓》は |氷華《ひょうか》の|氷転身《ターン・アイス》、|鎖の紋様《黒い残滓》は燐の心血解放だということは分かるが ハートの目に香りを操る能力、そして【快楽物質】というワード……。同じピンク色の残滓から派生してるようだが その1つが何なのか……。
チェイン、まさかとは思うが凍矢を洗脳したり魅了したりしていないだろうな?(睨む)」
悠那の方を見るとダラダラと汗が流れ 顔が真っ青になっていた。
ヘイル:「テメェ、その顔は やったってことか? マジでやりやがったのか? やっちまったってことだよな!!!?」
悠那:「……ヴァリアル社に乗り込む直前に 凍矢を甘々洗脳しました。|氷結《アイシクル》のことで思い悩んでいたから媚薬を混ぜたアロマをデュフューザーで煙状にして嗅がせて マッサージで催眠状態にした後、|魅惑の魔眼《ファスシネーション・アイ》で お姉ちゃん大好きな男の子になるように洗脳しました……。さっき使った いちごアロマも ベースは同じ素材だから凍矢が反応しちゃったのかも」
もはや メロメロを通り越して ヤンデレ(・∀・)
凍矢の快楽堕ち+怪人化……。 どうしよう、めちゃんこキモイ凍矢になったけど 中の人は書いてて
めっっっちゃ楽しい(・∀・) 花粉を飛ばしたりはしないけど そんなことになれば二次被害がえっっぐい事になります、つまり連鎖堕ち。
1話2話なんかじゃあ 終わらせやしませんので 覚悟してくださせぇや(・∀・)b
【怪人態凍矢の能力】
手のひらから無数の青黒い鎖を撃ち出し 身体に突き刺す(超即効性のある強力な鎮痛成分により痛みは無い)、鎖は黒いイバラ模様に変化。凍結作用により全身凍結・快楽物質を分泌させることができ だんだん蕩けた表情に、頭部から【月下美人】の花が咲くと氷が自然に砕け散る。 瞳に【鎖がぐるぐる巻きついている 濃いピンク色のハートマーク】が浮かび 凍矢のしもべ/燐のしもべ へと変わる。
花の香りを嗅ぐことでも快楽物質が分泌されるため 鎖を避けることができたとしても基本的には逃れることができない。魅了・洗脳を解かれ元の姿に戻ることを拒絶、しもべになると鎖を撃ち出せるようになるため更に仲間を増やそうとする。
1度堕ちればもう元には戻れない、バッドエンドまっしぐらという(・∀・)