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拝啓、あなたへ。
たとえば、明日、君がいなくなると知ったら、
僕はどうすればよかったのだろう。
涙を流せばいいのか、
笑って見送ればいいのか、
それとも、何も感じないふりをするべきだったのか。
心はいつも揺れていて、
君に素直になれなかったことを、
今もまだ悔やんでいる。
あの日から、僕は冷たくなった。
自分でも気づかないうちに、
君を遠ざけてしまっていた。
でも本当は、怖かったんだ。
君がいなくなるその日を、
どうしても見たくなかったから。
だから、君の呼びかけに答えられず、
目をそらし、背を向けてしまった。
君がどんなに傷ついても、
僕のその冷たさが、
君を守るつもりだったことに、
気づいてほしかった。
夕焼けに染まる教室で、
君の影が長く伸びていくのを見て、
胸が締めつけられた。
「君は変わらないんだね」
その言葉が、僕の心の奥でひびく。
変わりたかった。
でも、どうしてもできなかった。
君の言葉、君の想いを受け止める勇気が、
僕にはまだなかった。
「話したい」そう言う君の声に、
僕は答えられなかった。
言葉が詰まって、
ただ黙って、
その場から逃げ出したくなった。
君の目を見て、伝えたかったことがあるのに、
言えなかった。
君の痛み、君の悲しみを、
共有したかったのに。
それでも、君はここにいてくれた。
冷たくしても、遠ざけても、
変わらずに。
その強さに、僕はいつも救われていた。
どうか、許してほしい。
君の胸の内にある孤独を、
もっと早く知ることができなかった自分を。
僕はまだ、君の声を聞きたい。
まだ、君のそばにいたい。
明日が来るかどうかなんて、
誰にもわからないけれど、
今、この瞬間を、
君と過ごせることが、
何よりも大切なんだ。
君がいなくなってしまうその日まで、
僕はここで待っているよ。
だから君へ、最後のお願い。
一度だけでもいい。
どうか、
僕の目を見て、 僕の名前を、 呼んでくれませんか。