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あまねくすべてに(文スト夢?)本編⁇
本編思いつかなくなってきたので書きたいとこから書いてこ―!
という前向きな姿勢
「こんな僻地で、再び君と見まみえるとは……。余程、私と雌雄を決したいらしい」
「こっちおいで―わんちゃん」
「おっと! 威勢がいいね。だが無駄だよ、こちらには切り札がある」
振り返ると見給え、とドッグフードを取り出す太宰。
彼奴持ち歩いてんの?ドッグフードを?
「欲しいかい? 欲しいよねぇ」
「何してるの、彼奴」
「いや……」
手に出したドッグフード。
手を閉じてまた開くと消えている。
これが格の違いだ、ってくだんねぇな…
あとドッグフード食うなよ
「犬……苦手なんですか?」
「人間より余程難敵だよ。」
「事務員さん…ナオミさんや春野さんたちは…?」
「国木田君からの連絡が来てたよ。予定通り次の列車だって」
「事務員が狙われるなんて……この三社戦争、探偵社は大丈夫でしょうか」
私の今の見立てでは人数、影響力ともに少ない探偵社が最も劣勢。
「太宰さん…、何か逆転の計略は無いのですか?」
「あるよ、このぐらい」
「三つも?」
「いや? 三百だけど」
「三百!?」
「森さんは合理性の権化でね。数式の如き冷徹さで戦況を支配する。問題は、刺客から逃れて気が緩む今だ」
「あの人なら……必ず何かを仕掛けてくる。そういう人だから」
しばらく続く沈黙。
「もうすぐ電車が来る時間だね」
「……む」
いきなり、太宰が立ち上がる。
「…どしたの」
「これ……食べ過ぎた所為か、急に差し込みが……」
「は?」
「え?」
空になったドッグフードの袋。
…ぶん殴ってもいいかもしれない。
「莫迦じゃないの?」
「敦君…私の胃腸はここまでが限界のようだ。後は頼んだよ」
「云っておくけど、あの人は凄い人なんだぞ」
敦君が誰かに言い訳したくなったのか犬に話しかける。
もちろん犬はきょとんとしている。
「あ」
逃げちゃった。
耳を澄ますと列車の音。
目の前に列車が止まる。
扉が開いて、ナオミちゃんと春野さんが降りてきた。
「ご無事でしたか!」
「えぇ……でも真逆、事務員が狙われるなんて」
「安心してください。僕達が避難地点まで護衛しますから」
太宰遅いな。
「そうだ、紹介しますわ。列車の中で知り合ったのですけど……」
「わ」
「おっと」
敦君と___そばにいた私もその人物にぶつかった。
「籠のなぁかのとぉりぃは、いつぃつ出遣ぁる」
「き、み…」
「…後ろの正面だァれ?」
異能の中でも最も忌み嫌われる精神操作の異能力者『Q』。
命あるものを等しく破壊する、狂逸の異能者。
「や、ば」
「敦さん!」
「退いて!」
仕方なくナオミを突き飛ばす。
Qの異能のせいか上手く異能が出せない。
異能を解くのはとりあえず諦めて敦君を止めるしかないか。
「…春野さん!」
今彼には何が見えているのか。
春野さんは____敦君に首を絞められている。
「糞ッ…」
ナオミちゃんを蹴ろうと無意識に出された脚を無理矢理敦君に向ける。
「っ……ぁ!」
「あ、普さん!」
虎の異能で強化された腕で振り払われる。
「くっ…」
「見ろ! 此れが僕だ! 僕の力だ!」
「なっ」
「止めるんだ敦君! よく見ろ!」
え…、と敦君の手が春野さんから離れた。
「だ、ざい」
「やめろ! やめろおおおォォッ!」
敦君が振った手が駅舎の柱にぶつかりガラガラと崩れる。
「嫌ぁぁぁっ!」
「ナオミちゃん!」
人形、人形はどこだ?
「太宰!ベンチの下!」
太宰が走り寄る。
「消えろ」
ぼろぼろと崩れて消える人形。
「…痛ぇ」
「…大丈夫?普ちゃん…ごめん」
「ごめんじゃねぇよ」
「太宰さんの新しいお友達、ずいぶん壊れやすいんだね。」
「Q…なんで…」
「けどいいんだ、太宰さんを壊す楽しみが残ってるもの☆」
「それはおめでとう」
「僕を閉じ込めたお礼に、いっぱい苦しめて壊してあげるね」
「よく憶えているよ。君ひとり封印する為に大勢死んだ。けど、次は封印などしない。心臓を刳り抜く」
「ふふふ。また遊ぼうね、太宰さん☆」
「私も策の清濁に拘っている場合ではない……か」
何をしようとしているかわかってしまう自分が嫌だった。
何より彼があまり好まない選択だろう。
「行くよ、敦君」
「……。」
「立つんだ」
「…駄目だ」
「敦君…」
「僕は駄目だ……僕は居ちゃいけなかったんだ……」
パンッという音が響く。
太宰が敦君を、平手で打っていた。
「自分を憐れむな。自分を憐れめば、人生は終わりなき悪夢だよ」
「……。」
「さぁ、そろそろ反撃といこう。こちらも手札を切るよ」
「…まさか」
「この戦争に、政府機関を引き摺り込む」
雑いな