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愛という名の呪い。 4話
このシリーズ何故か他のシリーズよりも話の内容が思いつくんだよねw
カンタービレシティでの音楽祭を楽しんだ後。
近くにちょうどよさそうな野原があったから拠点についての話を始めた。
「今日はここら辺で小屋でも建てようか。」
「うん。じゃあ私はごはん用意しとくからアイヌには小屋を頼むね!」
「了解。えみり、めあり。手伝ってくれないか?」
「はーい!」
「ん?えみり、返事がないけど…大丈夫か?疲れたか?」
「え、何でもないよ。小屋つくるの手伝うね!」
えみりは少年が近くで自分たちのことを見ているのを見つけたが、
それをアイヌやライヴに知らせることはなかった。
次の日。
支度を済ませて小屋を崩し、出発しようとした時のことだった。
誰かが私たちのことを見ている気がした。
「ライヴ…さっきから人に見られている気がする。」
「アイヌも?私もえみりやめありとは違う人の気配を感じるんだよね。」
「でも、辺りを見たところ姿は見えないな。」
「透視の能力でも使おうか?」
「それはいらない。出発すれば気配はなくなるはず。
人じゃなくてただの動物かもしれないしな。」
「え、人が近くにいるって言った?」
ライヴと2人で小さな声で話していたつもりがえみりたちにも聞こえていたみたいだ。
「うん。えみり、どうかしたの?」
「私、昨日私たちのことを見ている男の子を見たよ!
多分…アイヌたちと同じくらいの年齢じゃないかな?」
「…あっ、あの時か?拠点をつくる時に反応が悪かった時。」
「そう!」
「何で早く相談しなかったんだよ…
相談してくれれば追い払うことだって出来たかもしれないのに。」
「あれ、まさかもう僕のことに気がついちゃうなんて。
ひっそりついて行こうと思ってたのに、気が付くのが早くて少し残念。」
気付けば私の隣に綺麗な茶色の瞳をした少年が立っていた。
「お前は…!音楽祭の時に竪琴を弾いていたやつだな。」
「そんなことまで覚えてるなんて記憶力いいね。羨ましいな…」
「え、アイヌ。まさかこの子知ってたり…⁉」
「知らない。…お前は誰だ。」
「|音瀬《おとせ》ラキ。」
「なんで私たちについてきてるんだよ。」
「え、暇すぎたのと、楽しそうだったから。
僕、親がいなくて学校も行ってないんだよね。行ける資格がないから。」
親がいないとか言われたら私にも傷がつくからそういうこと言うのはやめて欲しい。
「でも、ラキくん。無断でついて行くのはどうかと思うよ?」
「それは…ごめんなさい。」
「じゃあな。もうついてくるなよ。今日もここに居るつもりだったけど…
場所変えないとな。3人とも早く行こう。」
「え…うん。分かった」
そう言ってその場を離れようとしたとき。
「ねぇ…僕のことも連れて行ってくれないかな?」
「は?」
「いきなりでごめん。でも、僕は今まで自分の住んでいた村でも
仲間外れにされてきて一人で旅を続けてきた。思い出すだけで辛い。
…君たちとなら、僕は幸せになれると思うんだ。駄目かな?」
この旅はただ楽しむための旅じゃないのに。
「この旅には目的があるんだ。私とライヴってやつには呪いがかかっていて、
思うように力を出せなかったりする。楽しむための旅ではないんだ。」
「それなら尚更ついて行きたいね。僕は目的がある方が旅は楽しいと思ってる。
僕の特選能力だったらそれにぴったりだし。」
「ラキくんも仲間にしたい!」
「私もそう思う!ねぇ、アイヌ…駄目かな?」
「え、えぇぇぇ…」
結局音瀬ラキは仲間になってしまった。
私はそんなに嬉しくもないし、
ストーカーみたいなやつを仲間に入れるなんて反対だったのに。
「ラキくんラキくん!この楽器って何?」
「これは竪琴だよ。弾いてみると…こんな音がするんだ。」
「へぇ!私も弾いてみたい!弾いていい?」
「いいよ。」
めありとえみりはラキのことを気に入ってるみたいだけど…
まぁ、2人と一緒にいてくれるやつができてよかったと思うことにしよう。
「ねぇ、ラキくんってどんな能力を持ってるの?」
「あ、私も気になる。」
魔導書を読んでいたライヴも気になってそっちに行った。
確かに気になるし私もここから見てみるか。
「僕の特選能力は『|命令《めいれい》』っていうんだ。めあり、その手に抱えてる
うさぎの人形を貸してくれる?」
「うん、いいよ?」
「それじゃあいくよ。」
ラキが片目を手で押さえる様に閉じて、手を使ってまた目を開くと…
ラキの茶色い両目のうちの片目が、綺麗すぎる程の赤色に変わっていた。
「うさぎの人形さんに『|命令《めいれい》』。」
ラキがそう言うと、赤かったうさぎの人形の目が光のない黒目に変わった。
「うさぎの人形さん、踊ってね。『|命令《めいれい》』だよ。」
すると、うさぎの人形はバレリーナのように回転しながら美しく踊った。
「うわぁ、すごい!」
「でしょ?それじゃあ、うさぎの人形さん、『|命令《めいれい》』を解除するよ。」
そう言って赤かった片目を手で閉じると、次に目を開いた時には
ラキの目の色は普通に戻っていた。
「ラキくん、その能力って何人もに命令することは出来るの?」
「もちろんできるよ。やろうと思えば戦争に出ていく何万人もの兵隊に
命令で戦意喪失させることだってできる。」
チート能力じゃないか、それ…
さてと、ラキの能力も分かったことだし私は夜ごはんの用意でもしておくか。
次の日。
カンタービレシティを離れようと小屋を片付けていると…
「すみません、生神様についての情報は知っていませんか?」
白い装束を身に着けた5人の人が私たちに話しかけてきた。
「生神の情報を知るって…何か目的でもあるんですか?」
「あぁ、ごめんなさい。今の世界って生神様の消息が不明なんです。
俺らは生神様をこの世界中から見つけ出して、護衛になろうとしてるんです。
団体名は”ゴッドナイト”です。ご存じないですか?」
ゴッドナイトってことは…神の騎士か。
「ゴッドナイト…?名前聞いたことある!」
えみりが答えた。
「で、生神の情報が知りたいだって?私たちは知らない。
消息が不明だってことも今初めて知った。」
「…そうですか。ご協力ありがとうございます。」
そう言ってゴッドナイトの奴らはいなくなった。
「何だったんだろうね、ゴッドナイトの人達。」
「何か、嫌な予感がする。これからゴッドナイトの違う連中を見かけたら
みんな避けるようにしてくれないか?」
「え、うん…分かった。」
「「はーい」」
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「ねぇ、さっき話しかけた5人組の1人…見た目が伝説での生神様の姿に
近くない?黒いサラサラの髪の毛に、赤みがかった瞳…」
「私もそれは思いました。あの5人組…いや、その疑いのある今の人は
生神様の疑いのある人物リストに入れて、これから少しずつ情報を探って
行きましょう。」
「え、じゃあ話しかけた僕が役に立ったってことじゃん!」
「はいはい。そんなのどうでもいいって。」
「少しは褒めてくれてもいいのにぃ」
白い装束の5人組の中にいた1人が、疑いリストにアイヌの特徴を書き始める。
白装束の団体”ゴッドナイト”はこれから重要なキャラクター達になります
(作者の予言だから多分当たるでしょ!w)