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クリスマスソング/Back number
リーン、コーン、カーン、
あ、これ「キミとのキセキ」だ。
忍者が練習してるんだろうか。
無所属の子たちもSNOW DOMEの約束をやるって言ってたし。
そんなことを考えながら事務所を出る。
すっかり辺りはクリスマスムード。
きらきらした街に、ただひとりぽっち。
「会いたいな」
らしくない言葉が浮かんで、隣を歩く寒さが心地よくて。
「あれ、なんで恋なんかしてんだろ」
『僕はこの手を離さない』
繰り返す歌と、
わざとらしくきらめく街のせいかな。
「うん……会いたいなあ」
会いたいと思う回数が、
会えないとずきずきと痛いこの胸が、
貴方のことをどう思うか教えようとしてる。
「いいよ、もう……」
そんなこと自分でわかってるよ。
サンタさんなんかに頼んでも、
「しゃーないよなぁ」
できれば横にいて欲しくて、
どこにも行って欲しくなくて、
僕の事だけをずっと考えていて欲しい。
「って、格好悪いだろ……俺」
「君が好きだ」
って、言えたらいいのにな。
カップルがたくさんいる。
みんながみんな、幸せそうな顔して。
トナカイのツノなんか生やして。
サンタ帽なんか被っちゃって。
ミニスカサンタも見つけた。寒そうすぎる。
よく人前で出来るなぁ……
「いや、」
羨ましくなんて、ないけど?
君が喜ぶプレゼントってなんだろう。
「本当は……あれがいいんだろうけど」
「今の俺には、無理だからね」
「じゃあ、」
僕だけがあげられるものってなんだろう?
「はい、クリプレ」
「珍しいね?ありがとう、嬉しい」
「ねえ」
「なあに」
「大好きだよ」
リーン、コーン、カーン、
あ、あの曲だ。
また練習してるのかな?
無所属の公演も上手くいっているだろうか。
そんなことを考えながら事務所を出る。
辺りは今日もクリスマスムード。
きらきらした街に、またひとりぽっち。
「会えないな」
涙を流す俺にはぴったりな言葉が浮かんで、隣を歩く寒さが寂しくて。
「あれ、なんで嫌いになれないんだろう」
「大好きだ」と言った返事が思ってたのとは違っても、
「あの姿に、もう一度、」
「恋に落ちた」
それだけで嫌いになんてなれやしないから。
あの時間が足を止めて、ずっと心臓を跳ねさせているから。
星に願いを、なんて柄じゃないけど。
「……それでも、」
結局君じゃないと嫌なんだって。
例え生まれ変わったって、僕は君を選ぶんだって。
そうやって、街と比べるとあまりに弱々しい星の光を見上げて。
「いつか、届きますように」
幾千の孤独を超えて、幾億の星屑に望みを込めるんだ。
「よろしくお願いします!」
「ふふっ……よろしく!」
あの時、君に出会って。
「はい、ぎゅーっ」
「ちょ、近えってば!!笑」
ただそれだけで、
「ほらあそこも、あれも、いいところたくさん出てくるじゃん」
「おいそんなに褒めるな」
「ふふふ、照れてるでしょ?かっわいー」
自分も知らなかった自分が、
「届かなくてもまだ、」
「諦めたく、ない」
次から次に。
「会いたい」
って毎日思ってて。
それを君に知って欲しくて。
すれ違う人混みに、
「あ、」
君を探してる。
こんなにきらきらした街を、きっと誰かと歩いてるのかなって、
少しだけ、ほんの少しだけ、胸の奥の奥が苦しくなる。
できれば横にいて欲しくて、
どこにも行って欲しくなくて、
僕の事だけをずっと、これからも考えていて欲しい。
「って、やっぱ格好悪いだろ」
諦めない気持ちは、君が見つけてくれたから。
しつこくたって、聞こえるまで何度だって言うよ。
「君が好きだ」
「……え?」
一応、瑞稀side。
相手はご自由に想像してください。
続きは一応終わりまで考えたけど、これは違うと思った。
ので、あえて止めました。
メリークリスマス。