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とある便利屋の記録④
周防兄妹・竜舌蘭兄妹が便利屋に入って、さらに一年が経った。
便利屋はそこそこ繁盛し、かなり安定した収入を得られるようになった。
ここ最近、グルッペンは小波に違和感を感じていた。
と言うのも、実は小波は異様に怪我をする回数が多いのだ。
しかも、小波は怪我をしても泣いたりしない。なんなら気付いてさえいないこともあった。
グルッペン「うーん・・・意味がわからん」
豚平「確か小波、もう6歳やんな?明らか変やって。病院連れて行ったら?」
グルッペン「そうするわ。鈍感すぎるだけ、なんか・・・?」
数日後の休み、グルッペンは小波を病院に連れて行った。
さまざまな検査をしてもらった結果、恐ろしい事実が判明した。
医者「なるほど・・・。小波ちゃんは『|痛覚神経欠損症候群《つうかくしんけいけっそんしょうこうぐん》』・・・通称、痛覚欠損病ですね」
グルッペン「何ですかその病気・・・?」
医者「名前の通り、痛覚神経の一部が欠損している病気です。かかった人ってかなり珍しくて、奇病の一つと言われているんです。小波ちゃんの場合、手足の先に行くにつれて、痛覚神経がどんどん薄くなっていってますね」
グルッペン「それって、手足の痛みを感じひんってことですか・・・⁉︎」
医者「そういうことです。別の方から痛覚神経を移植するか、IPS細胞を植え付けるしかありませんね・・・。どちらにせよ、とんでもなく高額になることは確実でしょう」
グルッペン「このままやと、娘は・・・っ、小波はどうなるんですか⁉︎」
医者「内臓や脳がある部分の痛覚は正常ですので、死ぬことは無いと思います。ですが・・・最悪の場合手足を失ってしまうかもしれません」
グルッペン「・・・そう、ですか・・・っ」
医者「とにかく、今は小波ちゃんに手術は危険ですのでできません。なるべく怪我をしないよう、気をつける他ありませんね・・・」
グルッペン「わかり、ました。ありがとうございます」
帰り道、グルッペンは小波に尋ねた。
グルッペン「なぁ小波、最近よく怪我して帰ってくるけど、何ともないん?」
小波「うん、ぜんぜんいたくないんだもん」
グルッペン「そうか・・・。小波、明日から幼稚園の先生にお前が怪我せえへんよう、見てもらおう思ってんねん。このままやと大変なことになる」
小波「いいよ、せんせーとおはなしするのもたのしいし」
グルッペン「すまんな小波・・・。ありがとう」
グルッペンは幼稚園の担当教諭に連絡をし、一連のことを伝えた。教諭は快く承諾してくれた。