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友達
怖い話が苦手な方は気をつけてください!
{登場人物}
・神谷 奏(かみや かなで)
・一ノ瀬 詩織(いちのせ しおり)
梅雨の時期は、憂鬱な気分になる。
雨の日って気分が下がりがちだな。
「はぁ…」
私の名前は神谷奏。
中学2年生で、ネガティブ思考ってだけで他はただの平凡な女子だ。
私がいつも一緒にいる友達が、一ノ瀬詩織って子。
ちょっと病みやすい感じの子だけど気が合うんだ。
放課後、私と詩織が一緒に帰っていた時の会話。
「奏って死にたいと思ったこと、ある?」
「あるけど…どうしたの?」
「ううん、何でもないから。もう二つ質問があるの。
「死にたいと思ったことがあるなら、本当に死のうとしたことはある?」
「ないよ、だって命が亡くなるって考えたら普通…躊躇っちゃうでしょ?」
「…そうなんだ。あとこれが最後。
私と一緒にいて、嫌になったこと、ある?」
「ないよ!むしろ詩織といると楽しいよ!」
「そっか…ありがとね。」
「で、質問の意味何だったのー?教えて!」
「心理テストだよ。じゃあ私はここで。また明日、奏。」
「うん、じゃあね」
心理テストの結果気になるのになぁ…
次の日、詩織は学校を休んだ。
理由は家の都合だって。
私はそのことは全然気にせずに一日を過ごしていた。
でもやっぱり詩織がいないと学校ではぼっちなのも事実だし…
「昨日の詩織、なんかいつもとおかしかった気がする…?
おかしかったかどうかはいいけど変だったというか…」
心理テストといってもそんなにマイナスな感じのは見たことないし。
「帰りに詩織の家寄ってみようかな。」
詩織が心配だな。
放課後、私は一人で詩織の家に向かっていた。
「あ、忘れてた。スマホになんか連絡来てないかな…」
私と詩織はメッセージアプリで会話することもある。
「えっと、詩織、詩織っと…あった。」
でもそこには何もメッセージは送られていなかった。
「あれ、休みの理由とか今までなら送ってきてたのに…」
スマホを没収されたとかなら納得できる。
「ま、いいか。明日には来るでしょ。」
詩織の家に行く途中に橋を渡る。
ポツッ、ポツッ
「あれ、雨降って来た。今日の天気予報では降らないって言ってたのに…」
傘を出そうとかばんを橋の上に置いた。
その時。
橋の上に書かれたメモを見つけた。
読んでみると…
”奏が私を心配して家に来ることは予想出来てたよ。
心配ありがとう。
…でも、単刀直入に言って、私は奏のことが苦手。
それは死にたいと何回も思った程。
どうやってクラスでやっていけばいいのか分からなくて辛くなって。
だから今日、私はこの橋の下の川へ身を投げるって決めた。
いつか再開できるって思わないでね。私は奏とは喋らないつもりだから。
好きにさせてよ、死に方くらいはね。
きみのことは嫌いだ。さよなら。
一ノ瀬詩織より ”
「…!」
最後の所は文章が変な所もあったけど…それより。
奏は私のことを友達だと思っていなかったの…⁉
なんで言ってくれなかったんだろう…⁉
っていうか、もう喋らないってことはもう詩織は川に飛び込んだってこと⁉
私は雨の中、傘も差さずに橋の上から川を見下ろした。
すると、大きな岩の上に詩織のいつも付けてる薄い紫色のミサンガを見つけた。
「私が、詩織を自殺に追い込んだってこと…⁉」
絶望した。
「私、罪を償わなきゃ。」
涙も出なかった。
「詩織が私のこと嫌いでも、私はずっと詩織といたい。
だから私は詩織の飛び込んだ川を追いかけて、死ぬよ。」
でも、その瞬間家族の笑顔が脳裏に浮かんだ。
「あっ…」
でも、揺るがなかった。
そして私は、気が付けば川に飛び込んでいた。
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「引っ越すって言ったらきっと悲しむから嫌いって書いちゃったけど…
奏、傷ついてないかな…?」
川にあるメモを見に来た私は、ぞっとした。
「…奏⁉」
大きな岩の所で、一人の女子中学生が浮いていた。
髪型と身長と…
きっとあの死んでいるのは奏だ。間違いない。
「まさか、本当に死んじゃうなんて」
もしかして、私が気に入っている薄い紫色のミサンガをあの時
落としちゃったのがいけなかったのかな。
「罪を償わないと。」
そして、奏に寄り添うような場所に落ちるように、川へと飛び込んだ。
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{解説}
奏はメモを読んで、ミサンガの落ちていた川へと落ちたけれど、
でも詩織は、引っ越しの事で奏を悲しませたくないから
嫌いと書いてしまった。
実はメモの頭文字の一部は『だい好き』と読めるようになっていた。
でも奏はそれに気づかずに、川へと飛び込んだ。
そしてメモを確認しに来た詩織が川に来て、浮かんでいた奏を見つける。
罪を償うべきだと思った詩織も、川に飛び込んだ。
次の日、2人が死んだことがニュースに取り上げられたとか。
分かりにくい物語になっちゃいましたw