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焔凍不鉄-3
「菓子谷いつもその本読んでるよな、面白いの?」
「いや全然。古文だし何書いてあんのかはわかんねーけど国語の成績上がるくね?」
「ならねーし真面目君だな!!そんな事より校舎裏にオレンジシガレット決めにいこうぜ!!」
いつもの流れで、菓子谷は本を返しに立ち上がった。
作者不明、いつ作られたのかも不明、何についての神話なのかも分からない。
そんなよく分からない本は未完成だそうだ。
「…っていう感じの本があるんだけど知ってる?」
石段に腰掛け、菓子谷は聞く。
「さぁー…聞いたこと無いけど…なんかよくわかんない本だな。」
「小学生みたいな感想言うやん兄貴。って言ってる俺もそんな感想しか出て来ないけど。……でもなんか、セリフに既視感?があるって言うかなんていうか…」
「瀬野…お前の言いたいこと当ててやる。それ今古文でやってる、だろ?」
「なんでわかったんすか先輩…もしかして俺のこと好…」
「オレも前やったからな」
なあんだ…と言いたげな瀬野を無視して、本の事を思い出す。
…何かが、思い出せそうで。
視界の端で何かが動いた気がした。猫か何かだろうか。
「ごちそうさん、オレ今日早めに帰る」
「えー!?先輩もしかして彼女」「黙れちげえよ」
『気をつけて』
「はいよー。んじゃーな。」
早く帰ったのは、その本の内容を詳しく考え直す為だ。
「菓子谷先輩、彼女かな?先輩彼女できやがったのかな…」
「もしかしてだけど〜、奏架って」
「勇也の事…好きなのか!!」「え、そう来る?」
神主兄が戸惑う。
「んー黙ろうか。てか俺かの…彼女いるもん!!」
『え?』
瀬野はハードケースに手を当てた。
「ここに!!」
「うん、よかったね!!」
「え、トランペットって…人カウントなの…?」
「黙ってやれよ兄貴!」
「2人とも丸聞こえだぞ?いいなーお前らは。モテるし。」
神主兄弟を瀬野は羨ましそうに見つめる。
『どこが』
「まずイケメンだろ、優しいだろ、兄貴は料理うまいしひょうはアイスくれるし歌上手い。んで2人ともイケメンだし。2人ともモテる要素しか持ち合わせて無いんだよ、羨ましいなぁ。」
心底から羨ましいようだ、目を細めて諦めたような顔をしている。
「…ありがと。でもなんかそんなに褒められるとなんか恥ずかしいな」
神主兄は頬を赤らめ、恥じらいを隠すように笑った。
「ほらそれー!!その笑顔!!ぐあーっ悔しいです!!」
「え、奏架もしかして兄貴のこともしくは俺の事…」
「あ、ごめん。俺彼女いるから。」
神主弟が言った「既視感」に、何か悪い予感を感じてしまうのは何故だろうか。
「また来る際なり、我等は現れうらぬことなり……」