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亡霊屋 1丁目
1丁目 お客
私は魔白(ましろ)。ある世界では詩虹火巳(しにかみ)シロっていう名前になっている。私が向かっているのは『亡霊屋』。亡霊屋は心に闇を抱えた者だけが見える不思議なお店。そして今店の前でボロッボロになった壁を見つめているツインテールの子が店主の魅魑刷(みちずれ)アンナ。そして窓からお気楽そうに手を振ってくれているポニーテールの子が殺気(さつき)ミアン。そして庭を駆け回っているのが飼い猫のレイ。
「シロ!」
アンナが呼んでいる。また買い出しのお願いか……今度は大蜘蛛さんの糸は買いに行きたく無い。
「買い出しは嫌よ。前の大蜘蛛さんが気分屋すぎて1000マイマイ払ったんだよ?1000マイマイって人間界で言ったら10000!10000だよ?そのせいでマイ欠なったんだし!後あっちの世界に行くのも大変なんだから」
あ、マイマイとは人間界で言う円とかお金って意味。で、マイ欠とは金欠みたいなもの。人間の時は金欠になんてなったことなかったのにな。
「違うわよっ!シロ!お客。」
「了解。」
***
「初めまして、詩虹火巳シロです。あ、で、こっちが」
「ん〜?あ、殺気ミアンだましぁ。よろしくお願いましゃ。」
ミアンは相変わらずミアンワールド全開。尊敬すらする。このお客は13〜4歳くらいかな?
「ましゃ……?あ、いや。初めまして…酒猫 まりあ(さかね まりあ)と言います。ここって……亡霊屋ですか?」
この人は店が引き寄せたのでは無く自ら見て探し求めた客のようだ。
「はい、亡霊屋です。」
そういうとまりあはホッとしたような表情になった。
「良かったです。依頼です。」
「さ、お座りください。どのプランですか?」
プランとはこの店の商売内容である。といっても商売と言うほどのものでもないが。
「3で。」
3!?さん!?SAN!?なぜ私が驚いているかというと…まあ後で説明しよう。
「ほぇ〜。3なましゃぁ?」
そう言うとまりあは迷い無く
「はい。お願いします。」
「3なの?へー話聞かせてよ、教えてくんないとあーしらも何もできないから」
アンナ……アンナは本当は対処担当じゃ無いの!?ミアンも本当は掃除担当とかそんなんなのに……
「あっ。えっと、、、大好きだった幼馴染の藍田(あいだ)りおが交通事故で半年前に亡くなっちゃって。その子、天才だし性格はいいし顔は良いし。生きているべき人間だったんですよ。でも私はいなくても良い人間。なので……」
「ふーん。で3って訳?」
「はい。双子みたいにいっつも一緒だったので。」
はぁ。こうなったら……
「と・に・か・く!アンナとミアンは担当の所に行って?まりあさんは私が担当するから!」
2人がいるとお客だって本心が出てこないから、ね。
「はーいましゃ」
「……分かったよ、」
「さ、で3の説明を改めていたしますね。3は亡くなった魂、魂Aと呼びますがと依頼者さんの魂を入れ替え、貴方が亡くなり、魂Aは貴方の寿命分生きます。もちろん魂Aが亡くなったという記憶は消します。代金は貴方の全記憶。これで良いですか?」
1〜4までプランはあるけれどそのほかのはまた今度話そう。
「……はい。りおの為なら。あっ。一つ質問です。その、りおとは話す事ができますか?」
「ええ。1時間ほどはまりあさんもりおさんも生死を彷徨う状態になるので意識上で話せます。」
「なら……お願いします。」
「では、明日もう一度来てください。明日の黄昏時ピッタリに。その後、魂の入れ替えを行います。」
このまりあさんはよっぽど決意が強いみたいね……。
「はい、よろしくお願いします。」
私はその後ろ姿を見送った。
***
「ふわぁ〜。で3で契約したんだましゃ?」
「うん。アンナ、藍田りおさんの検索できた?」
私達は依頼を受けたらその行き来させる魂について調べて調べて調べ尽くし全ての情報を頭に入れる。
「ミャー」
レイの鳴き声は何かを訴えるような声の気がする。お腹、すいたのかな?
「ねぇ、アンナ、レイが、」
「シロ。ちょっと買い出し頼めるかしら。」
えっ。アンナが誰かの話を遮るときは慌てている時か問題が起きたとき。でも前に「どうしたの、アンナ。何かあった?」って言うとアンナは何処かに5日間もいなくなり帰ってきても「もうそう言う話はやめて」と言いい一週間必要事項以外話さなかったんだよなぁ。
「え〜、分かったよ…で何買えば良い?」
「あ〜っと……あっ、魔女商店街の星のペンダントを色違いで4つ買ってきて。」
やっぱり。絶対にアンナは隠し事をしている。
「は〜い。マイマイはどうするの?私マイマイ不足だよ?」
「はぁ。そこに500マイマイあるから。取ってって。」
「ん。じゃ行ってきま〜す」
そう言い私はすぅっと空中に縁を描き魔女界へ行った。
「はぁ、行ったね。で、ミアン?」
「何だましゃ?」
「この藍田りおって奴の妹は藍田蘭(あいだらん)よ。」
「藍田……蘭……」
二人は顔を見合わせうなづいた。
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向日葵飴です。ファンレターを送ってくださったみはなだ様ありがとうございます!2丁目は5/12に投稿予定です。(予定)読んでいただきありがとうございました!