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1-7
「じゃあ、おやすみ」
「「おやすみー」」
1日目が終わった。
いやいや来たと思ったら、あだ名を付けられ、春野さんと遭遇し、一生の友達(私の中では)ができたり。
「ゔぅぅぅ…ヒックヒック」
部屋のどこかから、押し殺したような鳴き声が聞こえてきた。
耳を澄まして聴くと、二段ベッドの下の方から…おそらくたまっちだ。
内心大焦りの中、音を立てないように、優の方を見ると、優も私の方を見ていた。
「話しかけたほうが良いかな、?」
「どうなんだろ、1回話しかけてみる?嫌そうだったら引いてみてもいいし…」
「うん、そうだね。話しかけてみよう、!」
目線と、手振りだけで会話をし、音を立てないように2人で、二段ベッドの階段を降りる。
「たまっち…、どうかした、?」
「何かあったなら、話、聞くよ?ほら、悩み事を聞いてもらうとスッキリするとか言うし…」
たまっちは、私たちに気づいてなかったのか大層驚いたような顔をした。
「…きっと、気持ちがいい話ではないよ。申し訳ないし、迷惑だし…」
「「迷惑なんかじゃないよ!!!」」
「たまっちだって、優と一緒に、私のこと助けてくれたじゃん」
「そうだよ、そうだよ!私達だってたまっちの助けになりたいの!」
「…そっか、ありがと」
たまっちはくしゃっと笑うと、これまでのことを話してくれた。
小学校2年生の頃、お父さんが病気で亡くなってしまったこと。その後お母さんがアルコール中毒になってしまい、入院したため、会えなくなってしまったこと。今は父方の祖父母の家に預けられているため、肩身が狭いことも。
「…だから、私は林間学校に来たんだ。少しでも祖父母と離れたくて。決して悪い人ではないんだけどね…」
「そうなんだ…言ってくれてありがとね。じゃあ、私も秘密発表しちゃいまーす」
そういうと、優は話し始めた。
自分はお金持ちの家の娘だけど、実は子宝に恵まれなかったための養子であるということ。でも、その後優秀な双子が生まれてきて、自分は家で少し浮いている、とのこと。
「私もちょっと家に居づらかったりするからさ。たまっちの気持ちもわかるっていうか」
「そうなんだ…なんで、2人は話してくれたの、?今日であったばっかの人に」
「「信じれるって思ったから」」
「その根拠は?私、2人みたいにいいこととかしてないし…」
「私たちは、私たちが思う『信じる』の定義でれんを信じただけ」
「そうそう!私はね、一番最初に敬語で話してくれる人はね、いい人だと思ってる」
「私は、目を見て話し続けない人」
「あ、なんかわかるかも。嘘つく人は目を逸らすっていうのが、知られすぎててね」
「…あの!私はまだ2人みたいにちゃんとした定義があるわけじゃない。だからさっきあんなこと言っちゃった…。だけど、!2人は、信用できると思ってるよ」
「そう言ってもらえて光栄ですわ」
たまっちがそう言いながら、執事のようなポーズをとると、
「え、何その執事かっけぇんですけど。じゃあ私はメイドさーん」
と言いながら、スカートを広げる真似をした。
「じゃあ、そんな2人にお願いがあります」
神妙な面持ちで言う。2人が静かになった途端…
「焼きそばパン買ってこーい!」
と叫んだ。
2人は少しの間キョトンとすると、大爆笑した。それにつられて私も。
「アハハっ!何言うんだろうと構えたらそれ!?」
「ヤンキーがパシリにやるやつでしょ。執事とメイドにやらせることじゃないって!」
3人の笑いが少しずつ静まっていく。2人から発される音が無と等しくなった頃、私は口を開いた。
「もう…気づいてるかもしれないけど、私、この名前でイジメられてて。それで学校も行けなくなっちゃって」
「だから、『こい』って呼ばれるのは嫌だったの、?」
「…うん」
「そっか、ごめんね。安易に可愛いとか言っちゃって」
「ううん、大丈夫だよ。だって『れん』っていうかわいいあだ名つけてくれたし。むしろお礼言いたいぐらいだよ」
しばらく無言の時間が続いた。
すると、その間を埋めるように優が口を開いた。
「はい!3人娘しんみりの巻はここでおしまい!ここからは、3人娘、徹夜でおしゃべりするの巻だよ!」
「…うん!ありがと!」
それから朝までずっと3人で話した。
長時間人といてここまで心地がいいと思ったことは初めてだった。
2人のおかげで私は、これからが、楽しみになったよ
今回はみんなの闇?の部分が明らかになる回でしたね。
これから3人はどうなるのでしょうか!?
また来週、お楽しみに〜!