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第5話「事件」
【登場人物】
BTS:韓国の男性アイドルグループ
私:日本生まれ韓国在住の19歳大学生。
(家族構成)両親は中3の頃に離婚し、母とソウルで二人暮らし。
(身長・体重)身長164cm、体重✗kg
(推し)無し
(彼氏)無し
(夢)日本の小学校の先生になりたい。
(好きな色)紫
(趣味)料理、読書、掃除、散歩
(宝物)①両親と撮った最後の家族写真
②中学の頃好きだった男子からもらった腕時計。紫色。
(外見)眼鏡無し。黒髪で、ショートヘア(新垣結衣風)。大抵パーカーとジーン
ズとスニーカー。化粧無し、アクセサリー無し。
(性格)感情をあまり表に出さず、一人でじっくり考えることが多い。真面目 で頑固。滅多に泣かず一人で落ち込むことが多い。
*彼らが使う言葉は、表記は日本語ですが、実際は韓国語を使っています
遠くに電車がやってくるのが見えた。私はすっくと立ち上がった。
ふと、ん?と思った。変だな、と思った。腕時計を見る。9時24分。
あれ、なんか早くない?
私は韓国語に光る電光掲示板を見上げ、乗り場の端から端までを見渡し、また電光掲示板を見上げた。心臓が胸板を強く打ちはじめる。
ああ、やっちまった…。乗り場を間違えた!
どんどん息が荒くなる。間に合わなかったらどうしよう…また腕時計をちらりと見る。私が乗るはずの電車の到着まで、あと8分だった。
深呼吸をする。大丈夫。8分もあるなら間に合う。どこの乗り場か、誰かに聞けばいいんだ。そしてあたりを見渡し、近くに立っている駅員を見つけた。勇気を出して近づき、声をかける。
「あの、すみません」
「…はい?」
「仁川国際空港第1ターミナル駅行きって、30分到着ですよね?」
「はい、そうですが」
「あの…何番乗り場に行けばいいですか?」
「あー、3番乗り場ですね」
「あ、ありがとうございます」
お辞儀をして、キャリーバッグを引きずりながら、急いで3番乗り場への階段を降りる。息がだいぶ戻ってきた。落ち着け、落ち着け。まだ時間はある。大丈夫、きっと間に合うから…。
アイドルのポスターが壁に大きく貼られた階段を降りていくと、3番乗り場のホームは思ったより人が少なかった。少し離れた所に、全員サングラスを掛けてジャンパーを羽織った、なんだか怪しい男の人たちが立っているくらい。
私は、ほうっと安堵の溜息をついてそばのベンチに腰掛けた。危ないところだった。ほんとに、早めに気づいてよかった。まじで乗り遅れるところだった。
「あ、来た来た」
遥か向こうで電車のライトが光る。正真正銘の空港行きだ。
私はキャリーバッグを引きずりながら、停車した電車に近づいた。ドアがすっと開く。電車内に入りながら横目でちらっと見ると、あの怪しい人たちもガヤガヤと電車に乗り込んでいた。
「発車いたします」
私は、はっ?と思った。まだ停車して20秒も経っていない。
「ちょ…どういうこと?」
私が慌てている間に、ドアがすっと閉まる。何かがおかしい。そして号車内を見渡して、気づいた。
乗客がいないのだ。
前を見ても後ろを見ても、この号車には一人も客が乗っていない!
・・・これはなにかの間違いだ。この時間帯、空港に行きたい人は山ほどいるはずなのに。大体、ホームに人がいない時点で、おかしいって気づくべきだったんだ。どうしよう。どこか変なところに行くんじゃなかろうか。警察に通報するべきかな。それとも運転手さんのところに行ってみる?
一人で考えていて、はっと気づいた。
そうだ、さっきのあの怪しげな男の人達も、確かに、この電車に乗ってた!多分別の号車にいるはずだ。
よし、行って話を聞いてみよう。私よりは年上だろうから、なんとかしてくれるかもしれない!
私はキャリーバッグを持ち直すと、誰もいない席を通り過ぎながら、隣の号車のドアに向かって歩きだした。不思議な感覚だった。心臓がドキドキ鳴っていた。
そして、車両間のドアに手を触れたときだった。
「キキーッ・・・ゴトンッッ!!!」
電車がすごい勢いで揺れた。息もつかぬまま、私は電車の前方にふっ飛ばされ、窓に容赦なく叩きつけられた。頭が真っ白になった。まるで巨人が電車を掴んで、空にぶん投げたみたい。天井に叩きつけられたと思ったら、今度は床。ごろごろと転げ回る。どうなってるの、一体!?吐きそうになる。隣の人達は大丈夫だろうか。どうでもいいのに、ふと心配してしまう。
ちらりと車窓が見えたとき、私は「夢を見てるんだ」とはっきり思った。
だって、さっきソウル駅を出たんだよ?まだ発車して五分も経ってないんだよ??
それなのに・・・
なんで、海なの!?
車窓から見える。水面がキラキラ光っているのが。船の上をかもめが飛んでる…。なぜ!?車窓から目が離せずにいた私は、いつの間にか手を離れていたキャリーバッグが、ぐるぐる旋回しながらこっちに吹っ飛んできたのに、全く気づいていなかった。
のたうち回る列車。外は海。もうわけ分かんない。
突然頭に強い衝撃を感じた。目の前が真っ暗になった。
ここまで読んで頂きありがとうございました!!
なんかものすごいことになってきました笑
次回は第六話「出会い」!!よろしくおねがいしまーす(^^)