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世界一怪盗に不向きな怪盗、コンソメは立ち止まらない!
月は綺麗だった。夜風も心地よかった。
だからこそ、怪盗コンソメ――「史上最もじっとしていない泥棒」と呼ばれる男(あるいは女、あるいはその他、あるいは猿。はっきりしてほしい。)は、すでに靴の底がめくれかけていた。なお靴の一部には穴が空いている。
「隠れるとか無理!!!無理無理無理!!!」
大豪邸の庭園の茂みに身を潜め、じっと警備員の巡回を待つこと、わずか「3秒」。
コンソメの脳内で、忍耐の限界を知らせるアラームが爆音で鳴り響いた。
皆さんも流石に、せっかちの極みだと思いのことだろう。
普通、怪盗というものはだ。月明かりの下で優雅に佇み、予告状をヒラリと見せ、華麗にセキュリティをかいくぐるものだ。そうだろう?
だが、コンソメの辞書に「優雅」の二文字はない。あるのは「じっとしたら死ぬ」という圧倒的偏見?の呪いだけだった。
「だいたい、あの警備員のおっちゃん、同じ場所で3分も止まって何考えてんだよ! こっちは足踏みしすぎて心拍数が180(もはや死にかけ)なんだよ!」
カサリ。
茂みが揺れた。待てなかった。コンソメは我慢の限界を突破し、茂みからロケットのように飛び出した。
「た、敵襲――!?」
「急にすみませーーん!!」
悲鳴を上げる警備員の鼻先を、コンソメはマッハのスピードですり抜けた。
華麗なステップ? スタイリッシュな身のこなし? そんなものはない。ただひたすらに、**青春時代、体育祭の徒競走で学年最下位になった人間の必死さで突っ走るのみ。**
「待て! あれは噂の怪盗コンソメだ!警備員一同、かかれーーっ!!!」
「待たない! 足が勝手に動くから止まれないの!」
無線に向かってさけぶ警備員を無視して全力疾走!!!
美術館の分厚いエントランス自動ドア。
鍵がかかっている? 知るかよ!!!こっちは命(夜食のカップラーメン)懸けてんだよ!!早く戻らないと伸びるだろ!!!
コンソメはポケットから取り出した謎のハイテク機器(フリ◯クの入れ物を改造したもの)をドアの隙間に突っ込み「めんどくせえ!」と、全力の体当たりでガラス戸(※こいつが破壊したのは強化ガラスです)を粉砕した。
ジャリィイイイン!
「うわっ、危なっ! 自分ちのガラスだったら絶対泣いてる!」
破片を背中に浴びながらも、コンソメは一切減速しない。廊下をカーリングの石のように滑り、曲がり角で盛大に壁に激突し、「いてっ!」と叫びながらも前転受身で立ち上がり、一直線にターゲットの展示室へ。
背後から警備員達の怒号が聞こえてくるが聞かなかったことにしておこう!(※ダメです)
そこにあったのは、今回のお目当てである国宝級の輝きを放つ大粒のダイヤ。その名も『黄昏の黄金糖』。
名前がなんとなく茶色っぽくてコンソメの好みだった。
「ゲット!」
ガラスケースを金槌で一撃で叩き割り、ダイヤを鷲掴みにする。
背後からは「警察だ! 包囲した!」という怒号と、何十人もの足音が迫っていた。普通ならここで「フッ、今回はこのへんにしておいてやるか」とキザなセリフを吐いて去る場面だ。
……しかし、コンソメは違った。
「やべえ、囲まれた! じっとしてたら捕まる! いや、もはや喋ってる暇もない!」
コンソメは振り返るやいなや、開いていた2階の窓から、夜空に向かってダイブした。あ、ちなパラシュートなしね。(オワタ)
だが安心してくれ。下には都合よく大きなトラックの荷台(大量のフカフカなクッションが積まれている)が通りかかっており、そこにボタモチのように盛大に落下。
「ぎゃっ! 尻もちついた! でも生きてる!生きてりゃ人間どうとでもなる!!おけ!」
トラックの荷台の上で、コンソメはめちゃくちゃな姿勢で大の字になり、荒い息を整えながらニヤリと笑った。
手の中には、きらめく『黄昏の黄金糖』。
「ふう……! 3分で仕事終わらせたから、今日の夜食のカップラーメンが伸びずに済んだぜ!」
華麗でもなんでもない。美学のかけらもない。
ただ、彼の(彼女の?)足は、明日も明後日も、絶対に立ち止まることなく、くだらない理由で全力疾走を続けるのだった。ちなみに毎日足がパンパンなのでマッサージ機を買う予定だ。アパレル店員として働いた金で。(怪盗をする目的とは)
はい、僕のユーザー名による大人しさを完全に爆破いたしました👍
リア充と共に!!!(草)