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十一
真弘「黒い化け猫の目撃証言って、ほんとにここ・・・?」
葵「合ってるはず・・・。黒猫がいれば多分それですね」
瑠奈「一応るる連れてきました!」
薫「そうか、るなさんは猫飼ってたんだったな」
4人は化け猫の目撃証言があった空き家にやってきた。
瑠奈「あ!黒猫いましたよ!」
瑠奈が指差した先に、黄色い目の黒猫がいた。
瑠奈はるるを抱えたまましゃがみ込み、黒猫を興味津々に見た。
黒猫「ニャー!」
葵「見た感じ普通の猫だね・・・」
真弘「あれ・・・?なんか尻尾二本生えてない?」
真っ暗で見えにくいが、確かに二本の尻尾が揺れている。
薫「聞いたことあるぞ・・・。化け猫の特徴は尻尾の数だって」
瑠奈「じゃあ、この子が噂の化け猫・・・⁉︎」
黒猫はるると何かを話しているのか、ニャーニャー鳴いている。
その時、黒猫が茂みの中に入って行った。るるが瑠奈の腕から飛び出して、黒猫を追う。
瑠奈「るる⁉︎待って!」
真弘「追わなきゃ!」
4人も茂みに入って、黒猫とるるを追った。
中は獣道のようになっていて、背の高い葵が通れるほどの高さはある。
瑠奈「るる!待ってよ!」
葵「早すぎるって!」
2匹を追って茂みを抜けると、明らかに人工物と思われる石碑が、ポツンと設置されている。
薫「なんだこれ・・・?」
真弘「何か書いてあるけど」
瑠奈「全然読めないです・・・。外国語ですかね?」
黒猫は石碑の前に座り込んで、首を掻いた。
葵「・・・あ、この子の首輪、何か引っ掛かってる」
薫「紙だな。なんて書いてる?」
それは、|弥勒院《みろくいん》ちゆりという少女が書いた手紙だった。
今みなさんの前に黒猫がいると思いますが、それが私です。
私は実験施設の秘密を知ってしまったので、口封じに猫になる薬を飲まされてしまいました。
そして尻尾を二本にされ、化け猫の噂に使われているんです。
詳しいことは、私の仕事仲間である李由に聞いてください。
李由と私は『未成年秘匿捜査員』の一員で、都市伝説と実験施設の関係性を探っていました。
実験施設は都市伝説によりカモフラージュされ、誰も近寄らないようにされていたんです。
私が元に戻る薬は、施設のどこかにあります。
そしてそこにある石碑が入り口です。
入り口を開く暗号は別の紙に書いておきました。
どうか私の代わりに施設の秘密を解き明かしてください。
弥勒院ちゆり
真弘「これが入り口・・・?」
葵「暗号は・・・あった、これですね」
暗号が書いてある紙を、4人で覗き込んだ。