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15.
あれから、数分。私たちは一発も与えられていない。急がないと・・・!
シャルムと息を合わせて、攻撃するしかないか。
「『中級雷魔法 雷神の加護』」
私の雷魔法、『雷神の加護』は触れた者はもれなく体が痺れる。
「はっ!」
パリンッ
「ちょ、割るのは聞いてないって!?」
「こんな薄っぺらい結界で何を守るって言うんすか。」
棍棒で割られているから、痺れさせることもできない。
―――――わりと自信のある結界だったんだけどな。
「シャルム、これって・・・。」
「えぇ、間違いないです。紫薇と名乗った彼は―――」
「武の|達人《スペシャリスト》、一筋縄ではいかないでしょうね。」
「そう言ってるじゃないすか、俺が勝つんですよ。」
戦いは、まだ終わらない。
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「ずっと吸収される・・・。」
「どうする、美音殿。このままでは埒が明かないな。」
「話し合いなんてさせないぞ?『上級闇魔法 |黒影連舞《こくえいれんぶ》』」
2人の視界が闇に染まる。何も見えない、感じられない。
「美和さん、一つ試してみたいことがあります。」
「わかった、やってみてくれ。」
彼女の承諾を得た美音は、術を唱える。
「『上級光魔法 聖なる光の加護』」
周りの闇をすべて浄化する、光魔法。
彼の技の中で発動難易度が最も高い技である。
すぅっと、闇が引いていく。
「やった・・・!」
思わず口角が上がる美音。
「一つの技を克服しただけだろう? こっちには、まだ策はあるぞ?」
それを見て嘲笑う彼女。
「大丈夫だ、美音殿。 希望があるだけいいだろう。」
カバーする美和。
「『神降 |無慈悲な世界《クルーエル ワールド》』」
周囲が光に包まれた。
美和の技、『|無慈悲な世界《クルーエル ワールド》』は上空から剣を降らせる技。
それらの剣は、『|威光《いこう》の|剣冥《けんめい》』と呼ばれ、見るものを圧倒する。
「すっご・・・・。」
美音は、その美しさに見惚れている。
「この程度、闇が喰らう。『中級闇魔法 |深闇《ディープ ナイト》』」
すべてをのみこみそうな闇、それは剣を吸収し糧とする。
少しずつ温度が下がり、冷気が肌を刺す。
「『変化術 |幻影《ファントム》』僕達は、こんなんじゃ止まりませんよ。」
美音の下僕であるコウモリたちが、彼女に牙を剥く。
「・・・うっとうしいな。」
互いに互角、だがまだ手はある。
この戦況を狂わすのは誰か。勝利するのは誰か。
(それを見逃すなよ、僕。)
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そのころ、美咲とシャルムは間合いに入ることができず苦戦していた。
「これじゃ、体力を消耗するだけですよ・・・!」
シャルムの言う通りで、状況は膠着している。
「でも、攻めるとカウンターされるんだよね・・・・。」
2人がこの状況を突破するための策を考えている。
―――だが、2人は知らない。
それは 隙となり、自らの命を奪うものになるのだと。
「ここらでスキルを使おうっすかね。『|連爆天破《れんばくてんは》』」
その瞬間、地が揺れた。
大きな衝撃とともに、2人の体が宙に浮く。
数々の爆発により、彼女たちは離れ離れになってしまう。
土ぼこりが舞い、両者とも視界が潰れる。
(ちょっと目に入ったな・・・、痛いし 見えにくい。)
「お嬢様ッ!」
「私は大丈夫、自分の身くらいは守れるよ!」
生存確認のために声を上げる。
だが、その一言で。
ドゴッ
紫薇は、場所を知り 彼女たちを倒すことができる。
「シャルム!?」
シャルムのほうから、何かがぶつかるような音がした。
「『重力操作』」
美咲はスキルで土ぼこりを地面に戻す。
彼女が目にしたのは――――。
シャルムを抱えている紫薇だった。
「カウンターされそうになったけど、素人の攻撃は読みやすいっすからね。」
__「少し危なかったすけど。」__
(シャルムのカウンターを避けて、攻撃も急所に・・・!?)
「お前! シャルムを離せ!!!」
「素直にするわけないっすよ。」
(私のせいで、また・・・・!)
美咲と美音、ともにピンチの状態。
2人は、この状況を打開することができるのか。
紫薇ってサルスベリっていう花の中国名らしいですね、初耳。
名前を考えた当時は、何も考えてなかったんで。(それでいいのか投稿者)
あと絶対に「しい」とは読めないだろと思っている今日このごろ。
まぁいいか。