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自分がこの家の頂点にいると思っている猫。#5
後編です!!
温泉編、ここからが本編と言っても過言ではないかと思われます!!
それではどうぞ!
前回のあらすじ
ペットと一緒に入れる温泉宿に泊まることになったリンたち。
さーちん(名前はまだ未定、ファンレターなどで募集中)とそのペットとも一緒に泊まることに!
(偶然じゃなく前もって勧誘)
ドキドキ温泉編、後編が今始まる。
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ここが、私の泊まるところね。
私のお城より高貴じゃない!
私のお城は!?ねえ!?貴族なのよ私は!!
その辺の宿より安っぽいなんてどういうことよ!!
――リン、落ち着きなさい。
落ち着けるわけないじゃない!私のお城が!お城がぁぁ~!!
『リン、落ち着きな。』
『私が悪いみたいじゃない!悪いのはこの宿よ!私のお城より高貴でっ!!』
『八つ当たりはマジでよくないぞ。アタシたちはここで暴れるのを目的に来てるんだから。』
『うう、やっぱり八つ当たりはよくな・・・あれ?最後なんて言った?』
==それよりさっそく温泉行こうぜ!温泉温泉♪
――さーちんもうちょっとゆっくりしてから行こうよ・・・。
『温泉!温泉行きたい|主《あるじ》!』
『早く温泉行きましょう。別に楽しみにしてるわけじゃないけど、どれだけ高貴かを確かめるために・・・』
『素直になれよ~』
『なんですってッ!!』
偽ってないと高貴さが下がることもあるんだからね!
――わかったよ、温泉行こ。リン、温泉行くよ。ゲージ入って。
よし行きましょう。私のお城にある|お風呂《おんせん》もここの温泉くらい高級でなくちゃいけないのよ。
家に帰ったら買いに行くわよ。
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・・・夜の廊下怖い。
なんか暗い。なんか出る予感がするわ。
==わっ!
《ニ゛ャァァァァッッ!?!?!?》
==へへへ、驚いたか!
きゅ、急に脅かさないでよ!
べ、別に怖くなんかなかったけどね!
『何ビビってんだリン。というか汗すごいけどどうかしたのか?』
『べ、別に?ちょっと暑いだけだけどっ!』
猫は足の裏にしか汗かかないのによくわかったわねミカ!
――むやみに驚かさないでよさーちん。リンとミカにストレスがたまったらどうするのよ。
そ、そうよ!猫はデリケートだからストレスがたまったら死ぬのよ!(本当かは知らないけど)
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==ついたぁぁぁ!!
ここは天国ね。
あったかいお湯につかって、上がった後は冷えた濃いミルクと薄口の猫缶を食べるの・・・!
ではまず、お湯につかって・・・
『あっつ!!!』
はっ、私としたことが、はしたない声をッ・・・!!
『熱くね、このお湯!入れねえんだけ・・・なんで主たちはいれんの?ねえなんで?』
どうやらミカも入れないみたいね。
というか本当に何で私より階級下の奴らが入れてるの!私は入れないのに!
――あ、リンには熱かったかも…。もっとぬるいのにしてくるね。
私に不可能なことはないけど、ちょっと私は好きじゃないわね。
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==おりゃあ!
――ちょっと!ほかの人に迷惑でしょ!
==今誰もいないもーん!
まったく、大はしゃぎしちゃって。平然を保てないなんてやっぱり下の階級ね。
・・・なにこれ!なんか浮いてる!!めちゃめちゃ楽しい!!!
・・・はっ!!い、今のはカウントしないわ。私は初めて来たし、これでリアクション初めてだから(?)!
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==あー、楽しかったー。
――もう、さーちんのせいでこっちはリラックスできなかったんだからぁ。
『温泉で暴れまくったおかげで今日はよく眠れそうだな~。』
『暴れないでよ。水が顔にかかって|鬱陶《うっとう》しいんだから。』
さて、部屋に戻って夜ご飯を食べましょ。
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――お食事をお持ちしました。
――ありがとうございます。あ、リンのもあるって。
ここまで来たんだから、おいしいやつじゃないと怒るわよ。
さて一口。
・・・。
・・・。
・・・!
美味しっ!!
美味よ美味!おいしいわ!!
『む、これはおいしいぞ!今まで食べてきたのがゴミみたいだっ!!』
『ゴミは言いすぎだけど・・・。それくらいおいしいわ。シェフを呼んで毎日作らせましょう。』
ミカも目を輝かせて食べているわ。・・・もうちょっときれいに食べれない?
――んー!やっぱりおいしい!旅館と言えばこの白米とぴったり合うおかずだよねー!
==玲奈っちこんな高級な旅館に来たことあるのか?
――失礼ね。誰が貧乏よ。
==そんなこと言ってないけど・・・。
|僕《しもべ》たちもここのごはんがおいしいと思ってるのね。
これならシェフを呼んで毎日作らせるのも苦じゃないかも・・・!!
『もう食べ終わっちゃった。おかわり!おかわり!』
まったく、ミカはちょっと子供ね。おかわりなんて言っちゃって。
『・・・あ、私もおかわりを要求するわ。』
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==ふーい!旅館と言えば何を思い浮かべますか玲奈っちさん!
――んー、やっぱおいしいごはんかな。
==ごはん?それもいいけど、やっぱり旅館と言ったら!!
==枕投げッスよ!!!
――謎テンションはいっちゃったか。
枕投げ?何かよくわからないけど、下民の遊びよねきっと。
==ベットからおちたらまけな。よーいスタート!
――ちょ、準備まだだってば―!!
ふぅん、ベットの上に乗って、枕を投げて、落としたら勝ちなのね。
・・・くだらない。
==それ!それ!私の前では賢さなど無力ッ!
――なんの!私には柔軟な体というものがあるのです!落ちそうになってもすぐに戻れるのだ!
・・・燃えてる?
『やろうぜリン!面白そう!』
『私はそんなくだらないことに付き合ってる暇はないの。』
高貴である私にはそんな遊びより|蹴鞠《けまり》とかが似合うのよ。
『暇だろー。キャットタワーと広い草のところしかないし。・・・走るのか?』
『走んないわよ。』
他にもここにはぬいぐるみとかあるけど、何か興味がわかないわ。
けりぐるみとかないのかしら。
『やろうぜ枕投げ!投げるのむずいんならけってもいいからさぁ。』
==かかったな!そっちは罠だ玲奈っち!これは私の勝ちかな。
――何を言う。ここから挽回していくのが真のプレイヤーというものだよさーちん!
『枕投げ!・・・やんないなら主の方に参加してくる。』
・・・・・・。
『・・・暇だから相手してあげるわ。でも勘違いしないで。やりたいんじゃなくて、一匹は可哀想だから相手してあげるだけ。これも高貴のたしなみってやつよ。感謝なさい。』
『もーリンちゃんは素直じゃないなー。やりたいならやりたいって言えばいいのに。』
『やんないわよ!』
『ごめんなさい』
結局私たちは夜遅くまで枕投げをした。
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==いい朝だ!いい日光だ!いい目覚めだッ!
――さーちんうるさい。
==・・・本当に、手続きしたら帰るんだよな。
――そうよ。朝ごはん食べれなくてごめんね。
==そうじゃないけど・・・。帰りたくないなって思ってさ。それに明日から仕事が始まるし。
――そっか。明日からまた、いつもの日常が戻ってくるのか。
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微笑みながら彼女たちは言う。
明日からまた、いつもの忙しい日々が戻ってくるのだ。
ちょっぴりつらい、戻りたくないと思っても、いつもの楽しい日々に戻ることの方が大切に思えた。
ただ、ここに戻りたくない猫が一匹。
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『帰りたくないわッ!!!』
こんなに素晴らしい屋敷に、素晴らしい部屋。
素晴らしい食事に楽しい遊び。
これを手放せというのね!!
下の階級のくせに人間共は生意気なんだから!
ぜっっっっっっっっったいにかえんないもん!
――そろそろ時間ね。リン、ゲージに入って。
『嫌よ。』
とりあえず1年先まで帰らないから。
『ここは素直に従った方が・・・』
『人間の味方をするっていうのミカ。そっち側に行ったらもう戻れないのよ。』
こんなにいい暮らしを手放すなんて、私にはできない!
なんてったってこいつらの頂点に立つのがこの私なのよ!
なのになんで下の奴らに従わなきゃなんないの!
――あれ~?こんなところにお菓子が・・・!
お菓子?
あ、ある!私のために用意したのね。
しょうがないから食べてあげるわ。
バタン。
『あれ?』
なんか閉じ込められた?
――あいつめちゃちょろいじゃん。ミカはもう引っかかんなくなったから手ごわいんだけどね~。
な、この私がちょろい!?
その言葉覚えたわよ!ほら!早く出しなさいよッ!!
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・・・。(抵抗をやめた)
・・・。(すべてをあきらめた)
ああ・・・夢のような生活がぁ・・・。
『家に帰るのか―。まいっか☆』
『よくないわよ!』
帰りたくなんてないんだから!
『まーまー。それに、帰るまでが旅行だし。』
『帰るまでが遠足みたいに言わないでくれる?』
帰りたくないわ。
<ニャーニャーッ>
――ん?帰りたくないの?しょうがないよ、私明日仕事だし。
仕事なんか休みなさい。
私はあなたの上に立つ存在よ。私の命令が聞けないっていうの?
――家に帰ったらおやつあげるから。今日のごはんは猫缶にする。これでいいでしょ?
・・・ねこかん・・・。
『しょうがないわね!そこまで言うんだったら家に帰るわ。でも勘違いしないで。私は家が好きなんじゃなくて猫缶が好きなんだからね!』
『・・・ツンデ』
『なんか言った?』
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車の中でわいわい言いながら、リンたちは家に帰るのだった。
温泉で高貴のメッキが垢とともに剥がれ落ちていく。
温泉編、終わりです。書きたいこといっぱいあって長くなりすぎました。
私も温泉行きたいなー、とか考えて作業してました。
夏休み中行ったばっかなんだけどね!
これからまたリンの日常が戻ってくる。
次回からまた平和な猫あるある×猫目線×高貴をお楽しみください。
というかだんだん勘違い高貴じゃなくて自分のことを天才だと思ってる気がする。