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音のまま演じ切れ #3
**第三話 そっくり**
彼を観察し始めて、気づいたことがある。
オカルトが好きなこと、気が弱いこと、虐められていることなどだ。
そして一番彼の中で大きいのが、『綾瀬モモを守りたい』という思い。
ちらっと彼女のクラスを覗いてみたけれど、ザ・陽キャという感じの見た目だった。
接点はなさそうだけど……一体、どんな関係が?
(うー、考えすぎて頭痛くなってきた……。一旦離れて、別のこと考えよ)
ノートのページをめくり、最近ネットで見たフラットウッズモンスターの絵を描いてみる。
……うん、いい感じだ。
夢中で絵を描いていると、授業が終わった。……流石に、内容は後で教科書で確認しよう。
そう思っていると、高倉さんから声をかけられた。
「あ、あのっ! それってもしかして、フラットウッズモンスターですか?」
「え? あ、はいっ。知ってるんすか?」
「はい。絵、上手なんですね。本物そっくりです!」
「あ、ありがとうございます……」
(……ん、《《そっくり》》?)
彼の言い方に少し引っかかりを感じる。
が、それよりもっと大事なことに気づいた。
(これって、友達になる大チャンスなのでは……?)
なら、善は急げだ。チャンスを逃さない様、食い気味に言う。
「っあ、あの、おれもオカルトとか好きで! これからも、その……話、しません?」
言ってから、タイミングミスったかも、と一気に焦る。
慌てて「いやっ、よかったらっすよ!」と付け加える。
「えっと……よ、よろしくお願いします」
高倉さんの返事を受け止め、ゆっくりと咀嚼する。
「……ほ、ほんとっすか? やったぁああ……!!」
思わずガッツポーズをかますと、高倉さんは少し照れた様に笑った。
これで晴れて友達かぁ!
こーゆーほのぼの系もいいよねぇー。
次回から怪異が出てくる(予定)だよ〜!