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Auftakt#15
「は…離してっ!私は生きていたくないよ…!疲れるだけなの…!」
私はその場に崩れ落ち,そう叫んだ。声の主がルリさんとワカクサさんなのはわかっていて,顔を見たくなかった。自分だけ抜け駆けしたと思われてるんだろう。
「何言ってんの!スオウが死んだら私達が悲しむんだよ!人に掛かる迷惑も考えてね,私達スオウが大好きなんだから!」
えっと声をあげる。本当に?とワカクサさん達の顔を見つめると,そこには偽りのない心配した表情があった。
ありがとう。そう言おうとしたのに,私の口から出たのは怒りや呆れを人に向ける時に使う一言だった。
「は?」
怒りに似た哀しみが広がり,私の口は動き続けた。止めようとしたのに奔流の様に,口から,胸から,心から,漏れた。これはきっと,胸の内にあった本音なんだ。
「何言ってんの?私はずっと,あなた達が笑い合うのを,母さんと父さんが私を疎ましく思うのを,我慢し続けてきたんだ!“陰キャラ”“変わり者”の一言で済ませられて!あなた達みたいに生きる場所がある人間が,私の苦しみを知ってたまるか!迷惑だなんて私を知ってから言ってよ!」
パチンという音が鳴り,私の頬が揺れた。私は衝撃で思わず倒れこむ。雨が私の服と心を冷たく濡らしていく。私は,-心配してもらったのに何を言っているんだろう。
「「ごめんなさい」」私ともう1人の声が重なった。恐る恐るワカクサさん達を見上げると,ルリさんが自分の手を見つめ立ち尽くしていた。
「ごめんなさい。でも私にも,私達にも,苦しみはあったの」
あとがきで言うことがないです…