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#04
--- 翌朝 ---
食堂にて
「ルド、悪いんじゃけど、レイラ起こしてくれん?」
ザンカが言うと、ルドは
「はぁ!? なんで俺が!」
と反発した。
「悪いけど、俺は今からアイツのカツサンドを作ってやらんといけんのじゃ。あれがないと、朝からキレるんよ、アイツ」
ザンカの言葉に、ルドは
「だ、だったらエンジンかリヨウに頼めばいいだろ!」
と反論する。
だが、当のエンジンとリヨウは顔を見合わせ、苦笑しながら答えた。
「俺があいつの部屋に入ると、出てけって言われるんだよな」
「私が部屋に入ろうとすると、警戒されるのよね」
「おいおい、お前ら昔っからの付き合いだろ!」
ルドが言うと、ザンカが困ったように返す。
「昔っからいるって言われても困るわ。エンジンから聞いたと思うが、レイラは俺以外のやつと仲良くできなかったやつだからな」
「っ…あー、もう、わかった!」
そう言って、ルドは食堂を後にし、レイラの部屋へと向かった。
「あいつ、大丈夫か?」
エンジンの心配そうな声に、ザンカが|鷹揚《おうよう》に答える。
「大丈夫だろ」
「ま、正直、あいつ朝は機嫌悪いからなあ」
そうエンジンが言ったらリヨウは面白そうに笑いながら、そう付け加えた。
--- レイラの部屋の前 ---
(アイツの部屋の前まで来たのはいいけど、なんか気まずいな……)
ルドは内心そう思いながら、ノックをする。ドアの向こうから物音が聞こえたが、返事はない。
痺れを切らしたルドがもう一度ノックをしようとした、その時、内側から再び激しい物音が響いた。
「おい、レイラ!開けるぞ!」
ルドは勢いよくドアを開けた。ベッドの横に、レイラが倒れ込んでいるのが見える。
「おい、お前!どうしたんだよ!」
ルドが駆け寄ると、レイラは顔をしかめ、不機嫌そうに答えた。
「だぁもう……あんべわりい、あんべわるい!」
「は?何言ってんだお前」
「あー、うるさい、ボケ!」
レイラは叫ぶと、床に散らばっていた本をルドに向かって投げつけた。ルドは間一髪でそれを避ける。
「はぁ!? お前、何してんだ!」
「今は機嫌悪いんじゃい!」
ルドは「はあ!?」とキレ気味に言い返した。
「そういや、ザンカがお前にカツサンド作ってくれるって言ってたぞ!」
「カツサンド……?」
ルドは戸惑いながら言ったが、レイラの反応はそれだった。
「あ、あぁ」
「ザンカが……作ってくれたカツサンド……?」
「そうだって言ってんだろ」
その言葉を聞いた途端、レイラの目がまんまるになり、部屋を飛び出して食堂へと向かっていった。
🔚