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地震の中、君達と出会った④
「……少し、外の空気を吸いたいんです」
ちぐはのその一言が、スワロウテイルの拠点に火をつけた。
地震後の片付けが進む街へ、3人の男たちに「警護」という名目で囲まれながら歩き出す。
案の定、街ゆく人々が足を止める。
ちぐはの国宝級の美貌は、荒れた街並みの中でさえ、一輪の白百合のように際立っていた。
「おい、ちぐは。あまりキョロキョロすんな。……俺の服の裾、掴んでろ」誠一が、周囲の男たちの視線を遮るように立ちはだかる。
荒っぽい口調とは裏腹に、ちぐはを人混みから守る背中は逞しい。
「誠一くんのガードは暑苦しいよ。……ねぇ、ちぐは。僕の腕、貸してあげる。記憶の邪魔にならないように、僕の隣にいなよ」まどかが、当然のようにちぐはの腰に手を回し、自分の方へ引き寄せる。
少年のような顔立ちで、独占欲に満ちた瞳がちぐはを見つめる。
「……まどかさん、お戯れを。彼女の安全は、私が完璧に管理いたします」健三が、音もなくちぐはの背後に回り込み、耳元で囁く。
冷たい指先が、ちぐはの首筋をなぞり、周囲を威嚇するような冷徹なオーラを放った。
そんな中、ナンパ目的の男たちが声をかけてきた。
「ねえ君、めちゃくちゃ綺麗だね。ちょっとお茶でも——」その瞬間。
3人の空気が、一気に「零度」まで凍りついた。
「……消えろ。この女に触れていいんは、俺だけや」誠一が男の胸ぐらを掴み、野獣のような瞳で睨みつける。
「あはは、面白いね。僕がこの街から君たちの存在を『消去(デリート)』してあげようか?」まどかが、底知れない笑顔でスマホを取り出す。
「……不浄ですね。まどかさんの所有物(?)に、その汚い視線を向けないでいただけますか?」健三が、懐から何かを取り出そうと、冷たく男たちの退路を断つ。
「……えっ、あの、皆さん? 喧嘩はダメです!」
恋愛に疎いちぐはは、3人のブチギレ具合が「嫉妬」だとは夢にも思わず、ただ「私のせいで迷惑をかけている」と申し訳なさそうに、健三の袖をぎゅっと掴んだ。
「……っ。……あなたという人は」健三の顔が、一瞬で朱に染まる。
「……ちぐは。……卑怯だよ、そういうのは」まどかが拗ねたように唇を噛む。
「……おい、次は俺の腕を掴め。……絶対に離すなよ」誠一が顔を背けながら、ちぐはの手を力強く握りしめる。
3人の寵愛は、もはや「隠す気すらない」レベルまで加速していく——。