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# キ ャ ン バ ス
「 ……… 」
美術室 。
目の前 の 大きな キャンバス を 見つめる 。
何も 描かれていない キャンバス 。
何気なく 窓 から 、 校門 に 視線 を 移す 。
すると 、
友達 と 談笑 している 彼女 が 見えた 。
誰か を 待 っ ている の だろうか 。
時々 校舎側 を キョロキョロ と 見つめて は 、
また 友達 と 話 始める 。
そうだ 。
今日 は 彼女 を 描こう 。
私 は 、
鋭く 尖 っ た 鉛筆 を 手に取り 、
美しい 彼女 を キャンバス に 描く 。
シャ ッ シャ ッ と 鉛筆 で 斜線 を 引く 音 が
こだま する 。
「 よし 、 」
なめらか な 輪郭 。
サラサラ と した 髪 。
この シルエ ッ ト だけ で 既 に 美しい 。
次は 顔 の パ ー ツを ……… 、
……… あれ 。
「 いない ? 」
帰 っ てしま っ た ようだ 。
ならば 仕方がない 。
もう そろそろ いい時間 だ 。
私 も 帰ろう 。
キャンバス を 片付け 、
愛おしい 人 が 描かれた スケ ッ チブ ッ ク を
手に取る 。
少し前 まで 、
私 の 為に 部活 を 抜け出して 、
被写体 に な っ ていて くれていた 愛おしい 彼 。
最近 は なかなか 来てくれ ない が ……… 。
まぁ 、 彼は サ ッ カ ー 部 の キャプテン だし 、
忙しい の だろう 。
なんて 考えながら 校舎 から 出る 。
目の前 には 先ほど まで 被写体 だ っ た 彼女 。
無許可 だけど 。
それに しても 、
やはり 彼女 は 美しい 。
こんな 綺麗 な 子 が 待 っ ていた 人 だ 。
相手 も さぞ 美しい の だろう 。
彼女 一人 しか 収めていなか っ た 視界 を
少し ずらし 、
横 で 手を繋いで 歩く 人 を 視界 に 入れた 。
………… あぁ 、 やはり 美しい 。
見ている だけで 、
心 が 踊 っ て 、
独 創 欲 が 湧 い て き て 、
胸 が 高 鳴 っ て 、
______ 同 時 に 苦 し く な る 。
鼻 の 奥 が ツン 、 と 痛くな っ た 。
目尻 が どんどん 熱くな っ てくる 。
「 ……… クソが ッ 、 」
気づけば 、
彼等 の 前 に いて 、
彼等 に 向か っ て そう 叫んでいた 。
みんな きょとん 、 と
不思議そう な 顔 を していた 。
それでいい 。
わからなくて いい 。
わかられて たまるか 。
見た目 だけ の お前ら に 、
私 の 恋心 が わか っ て たまるか 。
私 は 彼等 を 無視 して 、
帰路 に 向か っ て 、
走り続けた 。
「 ただいま !! 」
荒い 声 の まま 、
そう 言 っ た 。
でも ママ は 、
そんな こと 気づいてない みたいで 、
「 おかえり ~ 手洗い うがい しなさい よ ~ 」
そう いつも 通り の 言葉 が 返 っ て来る 。
「 はぁい !! 」
なんて 口 だけ の 返事 をして 、
部屋 に 直行 する 。
スクバ を ベ ッ ド に 投げつける 。
そして スケ ッ チブ ッ ク を
叩きつけ 、
ガ ッ シャガ ッ シャ と
乱暴 に 水 の 中 で 筆 を 掻き回す 。
スケ ッ チブ ッ ク には 、
今まで と 変わらない 、
彼 の 絵 。
キリ ッ 、 と キメ顔 を している 彼 。
シュ ー ト を きめている 彼 。
くしゃ っ 、 と 無邪気 に 笑う 彼 。
どれも 美しい 。
いや 、 美しか っ た 。
だ っ て 今じゃ こんな 絵 、
塵 と 同然 だ 。
塵 は 美しくない 、
汚い もの だ 。
でも 、
このまま じゃ 、
やはり 汚くは ない 。
彼 の 顔は 美しい 。
き っ と この世 の 男性 で 誰より 。
だから ____ 、
私 は 平筆 に た っ ぷり と 黒い 絵の具 を
つけると 、
「 ぅあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ !!!!! 」
精一杯 の 恨み を 込めて 、
【 犯罪者 】 の 色 に 染め上げて みた 。
そう 、
彼 の 心 の よ う に 。