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ふりる🕊️𓂃𓈒𓏸︎︎︎︎ 👓🎀同担〇
「んで、なんでオレに変装してんだよ。」
「いーじゃねーか。こっちの方がラクなんだからよ。」
コナンと凛は新一に変装したキッドと落ち合った。
凛はベンチに荷物を置き、中の物を確認している。
「凛が自分のことについて言わなきゃいけないことがあるって言ってたけど、何なんだ?」
少し遠くの鉄棒に寄りかかったコナンがキッドに聞いた。
「あぁ、極度の先端恐怖症のことか。」
「先端恐怖症?」
意外な言葉に、コナンが驚く。
「あいつ、ガキの時に…………」
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凛は、キッドと母の3人で、街を出歩いていた。母が真ん中にいて、両隣に凛とキッドが手を繋いでいた。
すると、凛は人混みの中、ひらひらと舞う蝶が見えた。追いかけようとした時、歩いていた他の人の靴につまづいてしまった。
「あ、ご、ごめんなさ………」
凛が見上げると、それは酒に酔った男だった。
「あぁ?なんだお前?」
凛がやばい、と思ったのも束の間、男は包丁を取り出して凛を抱き上げた。よくある人質のパターンだ、と少し思ったが、それは想像より怖いものだった。
「キャアアアアアアアア!」
男からどんどん人が遠ざかっていった。
キッドと母も青ざめている。
「ちょっとでも近づいたらこいつの命はねぇぞ!」
耳元で大きな怒鳴り声をあげられ、耳がギンギンするようだった。
「警察呼ばなきゃ!」
周囲の人達は続々と警察を呼んでいたが、お構いなしというように男はなおも怒鳴り続けた。
包丁は凛の首元1センチまで近づいていた。
警察が来てからも、男はずっと怒鳴っていた。
警察が少しずつ近づいているのに気づいた男は、包丁を凛の首元ではなく、目に先端を近づけた。
「こうなってもいいのか!?」
と男が大きな声で言うと、警察は近づくのをやめた。
凛は相当な恐怖のどん底だった。包丁を目に突きつけられているのがなお怖かった。
男はフッと笑って、包丁を首元に戻した。
だんだん男は刺激が足りなくなったのか凛の首に少し包丁を刺した。ほんの少しだけなのに、息が急に苦しくなった気がしてきた。
これ以上はまずいと思ったのか、警察は銃を発砲し、男の腕に被弾した。
凛は地面に倒れ込み、男は確保された。
凛は首から血を少し流し、すぐに救急車に運ばれた。
「大丈夫!?」
母が走ってきた。
「この子の親御さんですか?」
救急隊員が聞くと、母は頷き、キッドと一緒に救急車に乗り凛と病院に向かった。
幸い首には皮膚にしか包丁が入っていなかったので、何日かしたらすぐに回復した。
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「って事があって、そっから刃物と先端、あと大きな声とか音が怖くなっちまったんだよ」
「なるほど……」
コナンも納得したようだ。
向こうのベンチでは凛がカバンの中に入っているルービックキューブを見つめて微笑んでいた。
それを見たコナンはキッドに尋ねた。
「ルービックキューブ好きなのか?」
「あぁ、なんかプロ級になってたな。あいつめっちゃ理系だから……」
「理系?」
「あぁ。特に数学が大好きで、確か5桁くらいまでは数秒で暗算できるんだ。科学系も人より詳しいな。」
「へ、へぇ……」
(5桁暗算て………)
コナンは凛がいる方を向きながら少し苦笑いしていた。すると、何か思い出したようにコナンがキッドの方を向いた。
「そういやぁ、あいつ、組織と何か関係あるのか?」
キッドが少し目を見開いて何かを言おうとしたとき、
「関係はないよ」
と後ろから凛の声がした。少し微笑んでいるようにも見えたが、荷物を入れたリュックを抱えていたので、よっこらしょ、と言うと、その笑みは消え去った。
「じゃあ、なんで薬を飲まされたんだよ?」
「あぁ、それは……」
凛は薬を飲まされた経緯を話した。
「なるほど…お前が地面に落ちてた組織の情報を誤って拾ってしまったから口封じされたんだな。」
「うん。なんて書いてあったかは見てないけど…」
「じゃ、オレの任務はここまでってことで。」
公園を去ろうとするキッドに、凛が
「あ、あとで電話すっから。」
と声をかけた。
「おう。」
阿笠邸の前で、蘭と小五郎が待っていた。
「君が凛ちゃん?よろしくね!私は毛利蘭!こっちはお父さんの…」
「名探偵、毛利小五郎だ!」
2人が自己紹介をする。凛はニコッと笑って、蘭と小五郎に向かって
「よろしく!」
といった。
毛利探偵事務所に着くと、さっそく部屋に連れられた。
「ごめん、こんな小さな部屋しかないんだけど、大丈夫?」
「うん!ありがとう!」
凛が荷物を出し始める。
蘭が部屋から出ると、コナンが凛に声をかけた。
「なぁ、オメー、キッドの手伝いとかはするのか?」
すると凛は背中をコナンに向け、荷物を整理しながら答えた。
「えぇ?まぁ、たまーに帰ってきた時とかに多少手伝うくらいだよ。」
「帰ってきた時?」
「私、中学から関西の美術学校行ってるから、寮にいたんだよね」
思いがけない言葉にコナンが驚く。
「関西の美術学校?に『行ってる』って……お前何歳だよ?」
すると凛はふっと笑って
「17歳。おめーと同い年だよ。新一くん。」
とコナンの方を向いてウインクした。
「えっ…………」
(おいおいマジかよ……)
コナンは内心で苦笑いした。
ごめんなさい展開早すぎ案件