2,春とクエストの訪れ

町のクエスト掲示板を覗いた悠気。 勇者志願者の名簿に自分の名前を書き込んだ。 この町の周りには、たくさんの魔物がうろついている。つまり、勇者の数は足りていない。 そこで、志願者は全員名前を書くだけで勇者になれるシステムを導入した。 こうして晴れて勇者となった悠気だった。 ウグイスのさえずりが耳を通り抜ける。 初めてのクエストが悠気の元に舞い込んだ。 「勇者に告ぐ。 　魔物の森のワイバーンを討伐せよ！ 　懸賞金，10,000Å　　　　　　　　　」 悠気がつぶやく。 「ワイバーンか。」 ワイバーンとは、空を飛ぶドラゴンような魔物だ。 達筆すべき点は、低い体力と、飛行能力と火炎球。 特に後の二つは厄介で、弓に慣れていないと一方的に攻撃を受けてしまう。 もちろん、悠気は弓なんて触るどころか見たことも無い。父の武器はトマホークという斧とブーメランの合体だったため、なおさらだ。 ただ、悠気にはあの攻撃方法がある。 音が伝われさえすれば良い。 悠気はトドメをさすためのナタを持ち、魔物の森へ出発した。