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Prologue
散りかけの桜の木が立つ街道を、一人トボトボと歩く。
「最近、駅前にドーナツが現れたんやって〜」
「本当やったら大変や。謎の巨大ドーナツ出現!?」
「巨大とも謎とも言ってない」
「どっちにしろ全国ニュース確定案件過ぎる」
女子が数人、大声で話しながら帰っていくのを見て、ため息をつく。
私はいわゆるボッチである。
今年から転校してきたから、始業式のあと1週間ぐらいはみんな物珍しさに寄ってきた。
でも「転校生パワー」はそう長く続かない。
そうして、めでたく孤立した。
あ〜あ、なんでこんなことになっちゃったのかな…
転校前の私はバリバリの陽キャであった。
友達100人は軽くいた。
休み時間は喋り倒して、一緒に馬鹿騒ぎして寄り道をして帰ってきた。
時々近所迷惑だって苦情も来た。
それが今はどうだ。帰り道が一人だぞ!?
誰にも迷惑をかけない、空気のような存在になった。
2ヶ月前の私が見たら信じなかったろう。ありえないと笑い飛ばしていたはず。
信じたくない現実である。
…あれっ
ここどこだ?
どうやら道に迷ったらしい。
周りには…怪しそうなフードを被ったおっさんしかいない。
正直、頼りたくない。
困ったな…
おっさんが振り向く。なにか叫ぶ。
ドンッ
背中に衝撃を感じた。なんだ、何が起きた?おっさんが変なことしに来たか?
とりあえず起きなきゃ。あれ、体が動かない。指一本動かない。
首が動く範囲で自分を見ると、背中になにかが刺さっている。
おっさんがやった?いや、倒された瞬間、私は前方におっさんを見ていた。
つまりおっさんではない。じゃあ誰やねん。
おっさんが携帯を取り出す。電話をかけようと耳に当てたとき、おじさんが倒れた。
おっさんの背中には、紫色の短剣が刺さっていた。
シリーズ始めから急展開過ぎますが…あくまでも授業中に思い浮かんだ内容なのでお許しを笑