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夕暮れとホイッスル
登場する人物
坂木優音 天野花華 園部愛衣 若宮真琴
その他モブ(先生等)
空は淡いオレンジ色に染まりつつも、まだ昼の光の名残が残っている夕方。夕日はとっくに傾き、燃えるような色で空を見下していた。
そんな夕日に照らされながら、掛け声を合わす音が運動場から聞こえてくる。きっと陸上部だろう。
私、坂木優音はそんな陸上部の汗ばむような掛け声を音楽室で聞きながら楽器の片付けをしていた。
近頃ある体育祭に向けて、体育祭で演奏する曲の合奏をさっきまでしていたが、部員の顔には疲労が見えてきていたのか、部長は今日の練習を終わりにしたので、今日はいつもより終わるのがちょっと早め。
今日はうまく音が出ていてしっかりと吹けていたな、と良き反省をしながら持ち前のフルートを軽く拭いていた。
「ゆう、今日めっちゃ上手く吹けてたじゃんね!」
隣で同じく楽器を掃除している女子が明るく可愛らしい声色でそう話しかける。
「わかまこ。わかまこだって上手かったじゃん、練習したの?」
そう、「わかまこ」と言われている彼女は若宮真琴。同じ吹奏楽部で、金管楽器のトロンボーンを担当している。ドジっ子属性がかなり強いが、それが彼女の可愛さでもある。
「うん!もちろーん!だって、体育祭で愛衣が出てくる競技の曲も吹くんだよ!練習しなきゃじゃん!」
「わかまこはほんっとに愛衣が好きだねぇ〜」「もちろん!」
、、そう、わかまこーー若宮真琴は園部愛衣が大っ好きなのだ。
その2人は付き合っていて、それは学校全員が知っていると言っても過言では無いほど有名な同性カップルである。
「そういえばー、ゆう?」「ん?」
「今日せっかく早く終わったんだから、水泳部見てきたら?」
と、わかまこが言うのは、この私の彼女ーー天野花華が水泳部だからである。
花華が言うには、部活の最後の方に通しで泳ぐから、せっかくだし見に来て欲しいとのこと。
時間が微妙に被るかなぁとは思っていたが、今日は奇跡的に被らなかった。
都合がいいため、きっとわかまこも言ってくれたのだろう。
ーちなみに、わかまこは、私が花華と付き合っていることを知っている、数少ない人のうちの1人である。普通の人なら、こんな気遣いはできないだろう、とふと感じる。
「あ、ほんとだ、時間間に合う!フルート片付けたら水泳部行ってくる!」
「はーい、気をつけてねぇ〜」
そう言って私はスピードアップでフルートを自分の鞄の中に丁寧に入れて、先輩に挨拶をし、わかまこにも「またね」をいい、音楽室を出る。
水泳部が活動しているプールをめがけて、軽く走る。
「あれ、ゆうちゃん、早いね?」
後ろから、か弱く、優しい声が聞こえる。
「あ、愛衣じゃん!やっほー、わかまこ待ち?」
ーそう、あの、わかまこの恋人、愛衣こと、園部愛衣。
彼女は書道部所属で、吹奏楽部よりも終わるのが早いため、いつもわかまこを迎えに行っている。
「うん、そんなところかなぁー。ゆうちゃんがこの時間にいるってことは、もう終わったのかな?」
「そうだよー!多分もうそろそろわかまこ音楽室から出てくると思う!」
「ほんと、ありがとう!、、そういえば、ゆうちゃん何か用事でもあるの?」
「えっとねー、花華の水泳見に行こうと思って!」
「そうなんだぁ、呼び止めちゃって迷惑かけちゃった。じゃあまたね!」
「いえいえ〜!じゃね!」
愛衣と軽い会話を済ませて、もう一度プールへと向かった。
ーーー
プールへと行くと、もうそろそろ通しの泳ぎが始まりそうだった。
私はプールがよく見える、「プール監督席」に腰掛ける。
監督では無いが、よく、見学をしている人が座っている、プールを一望できる、プールから少しだけ高いところにある席だ。
水泳部の部員たちが楽しそうに話しているところで、コーチのホイッスルが会話を遮る。
「通しで泳ぐぞ〜、準備!」
「「はい!!!」」と、部員たちが威勢の良い返事をする。
ふと見ると、花華が水に入り、泳ぐ準備をしていた。
、、すっごい綺麗なフォームだなぁ。やっぱり花華には見惚れちゃう。
そして、泳ぎを始める合図となるホイッスルの音が、学校に響いた。
水飛沫がばさっと上がる。その水飛沫が夕陽と重なって水が淡いオレンジ色に染まる。
クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライの順番で綺麗に泳いでいく。
ーーいつもと印象違うな、花華。
いつもすごく可愛らしい彼女。でも泳いでいる時はとってもかっこいい。
は、反則だよ、、//
そんなことを考えていると、終わりを告げるホイッスルがなった。
花華は息を切らしながらプールサイドへ上がる。
そして、水泳部の今日の活動が終わった。
ーーー
「花華〜!お疲れ様!」
私は、泳ぎ終わった彼女に声を上げる。
「あ、優音!」
私に気づいた彼女は幸せそうな笑顔を見せてくれる。可愛い。
「今日、泳いでる途中で気づいたんだけど、来てくれたんだね!ありがとぉ!」
「んふふ、いえいえ〜!かっこよかったよ?」
「んも、恥ずかしいっ//」
「えへへ、今日はもう帰ろっか」
「ん〜//うん!」
ーーー
「ねぇ優音?」
「どしたの?」
「優音、今日はありがとね」
柔らかいオレンジ色が私達を照らす。
静かで、楽しい帰り道だった、
「どしたんよ花華〜。私こそありがとうだよ?」
「ねっ、、こっち向いて?」
「ん?」
ちゅっ。
唇と唇が優しく交わる音がする。
「〜〜〜〜!?!?//」
私達にとって、はじめてのキスだった。
「ん、、//花華?//」
「えへ、、これからもよろしくね?」
「うん!だーいすき!」
「私も。」
夕焼けに照らされていたからなのか。2人とも、顔がいつもよりじんわりと赤かった。
ご視聴ありがとうございましたぁ〜!!
初めて書いた小説でしたので、まだまだダメダメなところが多かったと思いますが、
これからも精進していくつもりでございますので、応援していただけたら嬉しいです!
これからもよろしくお願いします!