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シロツメクサに思いを込めて。 7『16』
鈴音side。
「…っ…。」
保健室に足を踏み入れた途端、消毒液のにおいが私の鼻を刺す。
この匂い…なれない…。
私は辺りをぐるっと見回した。
なんか、手がかりになりそうなものは……
パッと見て目についたのは、ベッドの上に置いてあるアルバムらしき物。
私はそれに惹かれるかのように近づいていった。
日向たちがドアが開かないとか言ってるけど…まぁ、どうにかなるだろ!!((
「ふーん……。」
ベッドの上の物をパラパラとめくる。
「これは…。鈴音のクラスの写真か…。日付…。あ、私が転入してくる2ヶ月前…。」
ブツブツと呟く。
「へぇ…。こんな楽しそうな……。ん?」
めくっていたら、何かがひらりと落ちた。
ヤバ、写真落としちゃったかも…。
誰の所有物かわからない以上、丁寧に扱うしかない…。
と思ってたらさぁ!?
落としちゃった…うぅ…。
自分の意思を思い切り曲げられたような不快感と、落としてしまった罪悪感に塗れる。
「持ち主さん…ごめんなさい…。」
そう呟きながら拾う。
「あ。なんか書いてある…。」
目に入る黒いインクで書かれた文章。
「見ちゃって…いいかな?いいよね?…いいとしよう…。」
自問自答を繰り返す。
これ、他の人から見たら今の私、不気味に思われてたりしてんのかなぁ…。
ま、いいけどね。
紙に書かれた文章を読み上げてみる。
「えーっと…?何々?『が4 ー ま3 な5 あ2 ま2 →最初の写真』…は?」
意味がわからない。
がしーまさんなごあにまに?
ガシマさんな、ご兄間に?
がしまさん、名子兄魔に?
全くわからない。
そもそも、このクラスにガシマさんいないし…。
これは単純な暗号ではないと気づく。
まぁ、当然っちゃ当然だけどね。
とりあえず、私は最初の写真を見ることにした。
パラパラとめくる音がやけに大きく聞こえる。
「あった。」
一番最初のページの左上にある写真。
その写真は、上下共に真っ黒な服を着た女の子が草原で正座になって座り、両手で一輪のシロツメクサを持ちながらにやりと笑い……しかし、悲しげな……。
恨み、妬み、怒りと共に、嬉しみと悲しみも混ざったなんとも言えない表情をしていた。
が4ーま3な5あ2ま2…。
……あぁ、そういうことか。
私は、暗号の意味を理解した。
が行の4段目。げ。
ま行の3段目。む。
な行の5段目。の。
あ行の2段目。い。
ま行の2段目。み。
繋げれば…「げーむのいみ」になる。
ゲームというのはこの、シロツメゲームとやらだろう。
この写真の女の子が持っているこのシロツメクサ。
まさか…?
私はガバッと立ち上がった。
保健室には他のチームも来てるらしく騒がしくなりつつあった。
「鈴音…?」
突如立ちあがたことに驚いた夏井がボソリと呟く。
「え、あ、いや、私は至って正常なんで!ご理解くだされです!あと……。凛花のチーム、全員集合ッ!」
普段なら絶対にできない「保健室で大声を出す」ということをしてみる。
よくよく考えたら今の状況ってなんだかんだ言ってすごいな…。
そんなことを思っている間のみんなは集まっていた。
「鈴音?どした?」
凛花が気にかけてくれる。
いい質問ですなぁ…((
「えーっと。一つ、質問がある。この写真の少女のことを知っている人。その少女のことを詳しく教えて。」
単刀直入に言う。
すると、空気が一瞬凍った。
それは言うか言わないか戸惑っている雰囲気だった。
「そいつの名はだなァ…「おい、やっぱり言うべきじゃねぇだろ。」…。」
竜野の言葉を遮る日向。
あのだな…?
「このゲームはチーム内での協力は必須。言うまでもないけど、隠し事なんかあればそれはゲーム以前の問題となる。だから……教えてほしい。本当のこと。」
日向を見つめながら言う。
「……。僕は責任取らないからね。」
「あぁ。いいとも。」
なんだ…。このバチバチ関係…。と思いつつも、話してくれるようなのでホッとした。
「この少女の名前は…。|春川 菜見《はるかわ なみ》。日向とは3ヶ月違いの兄妹だ。そして菜見は…。」
竜野が言葉を切る。
なんだ…?
竜野の代わりに、唯が口を開く。
「簡単に言えば、菜見、自殺したのよね。この間。」
「へ…?」
さらりと物騒なことを言う唯。怖いなんていう一言で済ませられる物ではない。
「死因は教えてもらってないんだよね。でも、今摩っちがある日、『菜見は自殺した』って言うもんだから、あぁ、そうか。以上終わりって感じ。」
「…。」
思いもしなかった事実に絶句する。
自殺…。菜見…。いじめ…。
シロツメクサ…。ジュウロク…。
うん。情報は足りてるね。
自分であることを確信した。
「あのさ。私、わかったことがあるんだよね。」
「わかったことぉ?」
海水が訪ねる。
「教えてぇ?」
「いいよ。っていうか、それのための質問だったし。」
ちょっとばかり吐き気を覚えたが無視無視。
私がわかったこと。
それは…今後のゲームの進行を大きく左右させるかもしれない情報だった。………と思う。
私は息を吸った。
「まず、このアルバムを見てほしい。たくさんの写真があるでしょ?」
「ホントだな。しかも……全部僕たちのクラスの写真だ。」
日向がじっと見つめながら言う。
「次。途中でこんな紙があったの。」
暗号らしきものが書かれた紙を見せる。
「…なんだ?コレ。」
凛花が不思議そうな顔をする。
「コレを解読すると、ゲームの意味になるの。理由は…。」
簡潔に説明をする。
「ほぉ…。頭いいな…。」
まるで老人かのように言う凛花。お願いだから笑わせないでくれ。
「…。んで、それが初めの写真ってある。だから、それを見る。そこには菜見さんが写ってる。」
パラパラとめくりながら説明する。
「多分、持っている花の名前はシロツメクサ。これの花言葉は…。」
「約束、幸福……。」
夏井がぼそりと言う。
「そして……《《復讐》》……。」
最後の言葉がやけに響く。
悪寒が走るのを我慢して説明を続ける。
「これは…菜見さんが復讐したいんだと思う。いじめに対する、ね。このゲームの名前が『シロツメゲーム』って言う点からもそれは考えられる。」
「でも…誰が運営してるの?」
唯が質問する。
いいね…いい質問だよ!!
待ってましたとばかりに私は口を開いた。
「このゲームの進行役、ジュウロク。これは数字に直すと16。これは4×4の平方数。4は…。まぁ、《《死》》を指すと言える。つまり…。『私は死んだ』『お前たちに復讐する』『お前たちは死ぬべきだ』そう言う意味も含まれてるんだと思う。」
あまり気持ち良くないが、『死』と言う言葉をあえて強調する。
これは…凛花たちの心を抉る行為に当たってしまうんだろう…。
「つまり……これは|死んで《殺されて》しまった、|ジュウロク《菜見》の復讐を目的としたゲームってことなんじゃないかな…。」
言った後、良心がきりきりと痛む。
でも……これが現実。
仕方ない………。で済ましていいかな……。
そう、疑問に思っていた。
私たちの間で気まずい空気が流れている。
やっぱり、言わない方が………。
ヴーヴー
この空気を壊すかのように手につけた腕時計もどきがバイブする。
「もぅ…何なのよぉ〜……。」
海水はぶつくさ文句を言う。
ちらりと見ると、そこには『通話中』と表示されていた。
『もしもーし。聞こえるー?』
さっきの音声と同じことからきっとジュウロク……いや、菜見、だろう。
「うん。聞こえる。」
『ほんとー!?よかったぁ〜…。あ、あのね!言いたいことがあるんだ!』
「なんだァ?早くしてくれねェか?」
『まぁまぁ、竜野君!落ち着いてくれ!とりあえず……今から言うことに全部従ってくれる?従わなかったら………ね?』
不敵な笑みを浮かべている様子が伺える。
これは……従わないといけないやつか。
私は、また面倒なことになるそうだと思ってため息を吐きながら話を聞いた。
--- 続く ---
うん。書くのサボってた。
ごめんです。(((軽いノリで言うな