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第五話
如月「これ、依頼書だよね?」
湖畔「ですね…。依頼人は掛川総一…」
如月「こっちで依頼しようとして断られたのかな?」
湖畔「蜥蜴という仲介業者に断られてますね」
如月「あ、依頼まで辿り着かなかったんだ。…この仲介業者、確か断ってしばらくしてから殺されてなかったっけ」
湖畔「そうなんですか?僕、そういうのは詳しくなくて…」
如月「蜥蜴っていう仲介業者で、俺も何回か依頼受けたことあるよ。『会社』同士の争いで殺されたって聞いてたんだけど…」
湖畔「…まさか、掛川と『貿易社』が繋がっていたんですか?」
『貿易社』とは、(一部の読者はご存知かもしれない)峰山の『会社』と敵対関係にある野田という男が経営する会社だ。
如月「依頼を断られたから口封じに…ってことかな…。……蜥蜴はさ、トラックに轢かれて死んだんだよね」
湖畔「それなら、ただの事故死ってことじゃ…」
如月「俺や三鷹ちゃんと同じくらいの時期に業界に入った殺し屋に、“水母”っていうのがいるんだよ。交通事故に偽装して殺す専門の殺し屋」
湖畔「水母って、『貿易社』でしたっけ?」
如月「微妙。金さえ積めばどんな依頼も受けるタイプだからね。仲介業者通さずに依頼受けてるから、どんな仕事してるかも分からない。…蜥蜴の件は、目撃者が居たんだよ。「中学生くらいの子供が、女性を押していた」って」
湖畔「あ、黒宮さんより若いんですね」
当時中学生くらいだったとすると、今は20歳前後だろうか。業界でその年齢はなかなか珍しい。
如月「たぶん?その目撃者も数日後に死んだから、結局どうだったのか分かんないんだよねー」
湖畔「でも、水母がその犯人で、『貿易社』についていたとすると、掛川は『貿易社』の人間ってことになりますよね…」
如月「会社員がこっちにも関わってるってよくある事でしょ?」
湖畔「まあ…」
如月「情報屋ちゃんに頼むかなー。宮ちゃんもこの情報知らなさそうだし」
湖畔「あ、でも、業界のメンバーの情報は基本的にノータッチって…」
如月「え、マジ?」
湖畔「報復とか嫌だからって言ってましたよ」
如月「えええー…。じゃあ…ちょっと忍び込んでみる?」
湖畔「無理ですって…」
苦笑いしながら手元の依頼書を眺める湖畔。
湖畔「…掛川が今も『貿易社』の社員なら、調べられるかもしれません」
如月「ほんと?」
湖畔「知り合いに、そういう事を調べる専門の情報屋がいるんです」
如月「湖畔ちゃん有能じゃん!!」
湖畔「そんな事ないですって…」
苦笑いする湖畔。
如月「じゃ、よろしくね〜。あ、湖畔ちゃんも参加する?」
湖畔「いえ、僕はこれから仕事ですし…」
如月「そっか〜。じゃ、またね〜」
如月が資料室を出ていったのを確認して、湖畔はスマホを取り出した。
どこかに電話をかける。
湖畔「あ、お久しぶりです……はい。よろしくお願いします。…では、また」
通話を切ると、湖畔は一度資料室を見渡してから出ていった。
如月「ってゆーことで…掛川は『貿易社』の幹部だって分かったよ」
3人は『会社』の近くにあるカフェに集まった。店主が同業者のため、気兼ねなく『仕事』のことを話せる。
三鷹「これ、社長に一応報告しとく」
黒宮「また争いが始まったら、峰山も無事ではいられないだろうしな」
三鷹「『貿易社』も大きくなったしね…。そうなったらあたしたちは始末確定、と」
如月「うわー、できるだけ迅速に、隠密行動ってことか〜」
三鷹「そういうこと。…はー、面倒なことになってきちゃった」
如月「……三鷹ちゃんさ、7年前に殺された仲介業者の“蜥蜴“って覚えてる?」
三鷹「会ったことはないけど、名前くらいなら知ってるよ」
如月「その“蜥蜴“がさ、掛川の依頼を断ってたみたいなんだよね。それで、『会社』の争いに巻き込まれて殺された風に見せかけて始末されたのかも」
三鷹「それが正解だとすると、掛川は結構上の方の人間ってことになる…けど」
如月「そうかもね。…で、蜥蜴を殺した可能性が高いのが、“水母“って殺し屋」
三鷹「クラゲ?最近よく聞く名前ね」
黒宮「私の2つ下で、一応大学の後輩だった」
如月「ほんと?どんな奴だった?」
黒宮「…ぱっと見は普通の大学生だった…でも、多分簡単に人を殺せる奴だと思う」
三鷹「『仕事』することに迷いがないのは良いけど…サイコパスに近い感じ?だったら敵に回したくないよね」
如月「てか、三鷹ちゃん『最近よく聞く』って言ってたけど、どゆこと?」
三鷹「え?あー、つい最近迷惑メールが届くようになって。全部同じアドレスだったから、一番最初のだけ読んでみたんだけど…『クラゲに気をつけて』って書いてあったの」
如月「なんか怪しいメール…」
黒宮「アドレスは残ってるか?情報屋に頼めば何かわかるかもしれない」
三鷹「それが、全部消えちゃったの」
如月「うわー、手掛かり消えちゃったかぁ」
大袈裟に嘆いて見せる如月。
『速報です。〇〇高速道路の※※IC付近で追突事故があり、軽自動車に乗っていた男性が死亡しました。男性は××市在住の久木田浩介さん、…』
女性アナウンサーの声が聞こえてきた。
黒宮「久木田浩介…?」
三鷹「まさか、あの6人の一人…じゃないよね?」
黒宮「そのまさかだ…」
テレビの中では女性アナウンサーが尚も喋り続けている。
『午後2時ごろには近隣の市街地でもひき逃げ事件があり、警察は事件に関連性がないか調べているようです』
三鷹「ちょっと待って。このひき逃げ事件…」
スマホのニュースサイトで検索すると、すぐにヒットした。
三鷹「被害者は金本佑磨…。あの6人の一人」
如月「『貿易社』が口封じを始めた…ってこと?どっかから情報が漏れた?」
黒宮「二人とも交通事故だ。水母が関わっている可能性が高いな」
三鷹「他の4人も殺されたら何も聞けないじゃない…急がなきゃ」
如月「近いところから当たってみる?」
黒宮「いや、水母が殺してまわっているとしたら、最後に殺す予定なのは…」
同時刻、※〇駅で、3人目…釘谷瑛人が轢死した。
とあるご親切な方が作ってくださった殺し屋・水母が次回からどんどん(?)出てきます。一番わかりやすい敵キャラですからね!
中途半端なところで切っているのは、消えたからです。泣きたいです。
ついでに言うと、書き進めていた如月さんの過去話(番外編)も消えました。私は最近不幸の神様に微笑まれているようです。
明日、第六話を投稿したいので頑張って書きます。待っててね。そろそろ病院に行くよ。水母も出てくるよ。紫村さんのご両親…は第七話かな?