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これ、借りるわ
エースはいつもマレウスの私物を借りていく。私物と言っても、借りるものは一点のみ。もとはエースがプレゼントしたピンキーリングだ。
王族がはめるには安物すぎるため、マレウスは身につけられない。たとえ恋人から贈られたものでも、威厳をたもつために、あえて身につけないことがある。
だからマレウスはリングを大事に持ち歩いている。それを贈った本人であるエースが、なぜか借りたがっては、返しに来るのだ。
「返してほしいのか?」
マレウスに問いかけられたエースは、借りたばかりのリングを手の中で遊ばせながら答える。
「返すときにも会えるじゃん」
恋人として会う時間だけでは足りないらしい。欲が深い恋人に愛おしさを感じたマレウスは、エースの額にキスを贈った。