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悪夢は幸せになれるのか?
はいメア様の愛され!!!です。
最終的にメリバ(メリーバッドエンドの略称。読者にとってはバッドエンド、主人公からしたらハッピーエンドに思えるようなやつ)になりますよ・・・。
うん、結構何でも混ぜてますよ〜。監禁・・・までは行かないけどそういうの、後は洗脳に近しきやつ・・・。
前回のオリジナル愛されと真逆にシリアスなんでね、コメディ欲しかったらリクエストプリーズ!
そう言えば前回もそうだったけど闇AUはシェアハウス的なのしてます。この設定好き。
・・・最近、妙に彼奴等の態度が変わった。
キラー「ボス!おはよ!今日は何するの?」
朝から騒がしい・・・。少しばかり渋い顔になってしまう。
キラー「ん〜、ボス、どうしたの?」
ナイトメア「いや。それより、何故お前はここにいる?」
椅子に腰掛け夜明けを待っていた所。そこにキラーが入り込んで来た。こんな朝からポジティブが溢れ出ている。迷惑だ。
椅子を立ち、朝食を食べに行こうとする。
キラー「待ってよ〜!今日は何処のAU破壊するのって!聞いてるじゃぁん!」
ナイトメア「・・・なら今日はあそこのAUに行って来い。」
少し突き放す様に言うと、キラーは喜んで部屋から出て行った。前までなら任務をもらって喜ぶどころか、俺の部屋まで来る事なんて無かっただろう。
そうなのだ、最近彼奴等は俺に対して何故か従順だ。
キラーはさっきも見た通り、俺の命令を異常に欲しがる。前までなら|仕事《AU破壊》すら面倒臭がり、絞め上げてようやく仕事に行くくらいだった。
マーダーは俺と距離を近付けようとして来る。近くに寄っては手を繋ごうとしたり、隣に並んだり・・・。前まで近付こうともせず、何なら他の|奴等《闇AU》にも関わろうとしなかったのにな。
ホラーはあまり変わらない様に見えたが、俺の作った料理を欲しがったり、俺の触手やら腕やらを噛もうとして来る。今まではそんな事も無く、ただのよく腹が減る奴なのだと思っていた・・・。
エラーは逆に俺と距離を置くようになった。会って声を掛けようとすれば、過剰に拒否して目を逸らす。前は話し掛ければ面倒臭そうにチョコでも食べながら話を聞いていた。
クロスは過保護だ。俺の世話係と言っても良い程に周辺の事をしたがる。前はしても食事や家の掃除ぐらい。部下として命令は聞く奴だったが、今は不要な事までやって来る。
ナイトメア「・・・おかしい。」
急激に態度の変わった彼奴等は前より扱いやすいのだが、突き放す様にしてもネガティブが感じられない。
まあ何かがあったら奴等・・・光AUも首を突っ込んで来るだろう、そう割り切ってダイニングへ向かった。
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クロス「あぁ、先輩!おはようございます。」
ナイトメア「・・・ああ。」
少し曖昧な返事をすると、クロスは少し顔を歪ませ、
クロス「先輩、大丈夫ですか?何か体調が優れなかったりはしませんよね?何でも言ってもらって良いんですからね!」
早口でサラリと言い切った。ここまで来ると・・・少し怖い。
ホラー「んん・・クロス、腹減った・・・。飯・・・。」
ホラーは余程腹が減っているのか、壁に寄りかかって声を掛けてくる。こいつらからは最近感じないネガティブ・・・久しぶりだが中々に良い。
ホラー「あ、ボス!おはよう!」
此方に気付き、顔がぱっと晴れる。俺がポジティブに弱いと知っておきながらなのだろう・・・。
クロス「先輩・・・朝御飯、何食べたいか決めてくれませんか?」
唐突な質問に少し狼狽えたが、心の内も特に怪しげに思えなかった。まあ少しなら相手してやっても良いだろう・・・と、俺はクロスと料理をする事になった。
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クロス「先輩は何が食べたいですか?」
ナイトメア「何でも良いが・・・。」
目線を少し下げて言うと、クロスは少しポジティブを出し、言った。
クロス「ふふ、遠慮しないで下さいよ?・・・まあ、先輩はそう言う時本当に何でも良いんですよね。それじゃあ軽くトーストでも焼きましょうか。」
俺の心情を読む様にメニューを決め、ささっと作り始めてしまった。少し手伝おうとするも、「先輩に危ない事をしてほしくない」と言いただ遠ざけられ、俺は何も手伝う事無く作り終わってしまった。
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クロス「作り終わりましたよ。」
ホラー「やったぁ!飯だ!」
クロスが運んで来ると、ホラーは目を輝かせポジティブを出し始める。正直嫌ではあるが・・・まあ良いとしてやろう。せめてもの慈悲だ。
クロス「それじゃあ食べて下さい!」
各々挨拶を済ませ、食べ始める。
俺も食べようかと思ったが・・・何故か腹が減っていない。何なら食べる気力もあまり無い。しばらく食べずにぼんやりとしているとホラーが声を掛けて来た。
ホラー「ボス・・・食べなくて良いのか?朝飯は食べた方が・・・。」
と、まるで子供に聞かせる様な話を出して来る。食べていない事に周りも気付き、急に心配の声を掛けて来た。
クロス「先輩、大丈夫ですか!?少しは食べないと体調にも影響しますよ。だから一口でも食べて下さい!」
キラー「ボス、食べれないなら僕が食べさせてあげようか?流石に何も食べないのは良くないって。」
マーダー「おいボス、あんたが体調崩す事は無いとは思うが、俺も心配だ・・・。だから食べてくれよ?」
一斉に心配され、何となく引いてしまう。まあそんなに言うなら、と一口トーストをかじる。何時ものバターとパンの味。小さな一口だったが、口の中に味が広がって行く。
俺が食べたのに安心したのか、他の四人も何事も無かった様に食べ始めた。
ナイトメア「・・・。__変な味だな・・・?__」
少しだけ感じていた謎の感覚が舌に纏わりついていた。
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食べ終わり、あいつらは仕事の時間になった。俺はボスだから指令を出せば多少暇になる。
ナイトメア「何をしようか・・・。」
そもそも普段からしている事なんて他のAUに行ってネガティブを搾り取る位しか無いものだ。
ふと|彼奴等《闇AU》の変化を思い出し、一つの行動を起こす事にした。
足元に広がる黒い沼に溶ける様に飲み込まれ、そのままとあるAUに移動する。光AUの奴等はきっとそこに居るのだろう。ポジティブが感じられるのが一番の証拠だ。
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ナイトメア「失礼するぜ?|守護者サマ《光AU》達よぉ。」
インク、ドリーム、ベリーの前に姿を表し、うざったらしく挨拶をする。だが彼奴等は臨戦態勢にはならず、むしろ出迎える様な態度だった。
インク「あぁ、ナイトメア!良い所に来たね。丁度みんなでお茶会でもしようかなって思って、準備してたんだ!」
その言葉の通り、部屋の中心にはティーポットと、ここに居るのは三人だが、何故か四つカップが置いてある。
ドリーム「兄弟、もしかして何か疲れてる?僕達で良かったら話を聞くよ。」
兄弟では無い、とあしらおうとしたが、そんな気も起きなかった。此奴等に話して協力を得たとしても、後から相手をするのが面倒臭くなるだけだ。
ナイトメア「まあ、折角だし紅茶は頂こう。」
淹れられた紅茶の香りが部屋の中に充満する。
ドリーム「それで・・・兄弟、大丈夫なの?」
心配そうな顔をして聞き出そうとして来る。気にする事も無い、と少しだけ紅茶をすする。妙に甘い様な不思議な味を感じながらも、気には留めず堪能していた。
ベリー「無理しちゃいけないんだぞ・・・?」
ナイトメア「無理なんて最初からしていない・・・。そもそもお前等に心配されるだけで気分が悪くなる。」
インク「あはは、そっかぁ~・・・。」
インクはにこりと笑ったかと思いきや、その後気味の悪い、悪巧みをしているような笑みへと顔を変えた。
他愛もない光AU達の話を聞いていると、いつの間にか注がれた紅茶を飲み切ってしまっていた。時計を見れば、もう|彼奴等《闇AU》が家に帰って来る時間だ。
ナイトメア「それじゃあ俺は失礼しよう。」
ドリーム「うん、分かったよ。兄弟ならいつでも来て良いからね!」
いつでも・・・そんな事がこの|俺《闇の帝王》に許されるのだろうか。
ドリーム「良いんだよ・・・__ナイトメアなら。__」
彼奴からは慣れない名前を囁かれ、少し間が空いてしまった。
ここに来た時と同じ様に、黒い沼に飲み込まれ元の世界へ転移する。
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帰って来ると、ダイニングにエラーがいた。板チョコをかじっていて、すぐそこの冷蔵庫から出して来たのかまだ少しだけ冷えていそうだ。
ナイトメア「おい。」
軽く声を掛けると、気付いていなかったのか驚いてグリッチに塗れる。
エラー「驚かセンなヨ!?・・・っテ、ボスか・・・。」
エラーは怒った様子で振り返ったが、俺だと気付いて少し安心した様だった。
エラー「全ク・・・。」
先程まで見ていたグリッチの中に目線を戻し、手にしている板チョコをまたかじり始めた。・・・何故だかそのチョコの味が気になって来る。どうせ俺の苦手な甘い物だと分かっていても、何故だか気になる。
ナイトメア「ん・・・。」
エラーが手に持っているチョコに少しだけかじり付く。パリッと音を立て、口の中に甘いチョコが入り込んだ。
エラー「はッ!?ちョっ、何しテんだよ!?」
ナイトメア「単に味が気になったからだが?」
怒っているのか何か分からないが顔を赤くして下を向くエラーを置いて、口に残るチョコの味を確かめながら廊下へと足を進めた。
ナイトメア「甘・・・。」
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キラー「ボス、ただいま!任務はしっかり終わらせて来たよ!」
部屋に戻ってしばらくすると、勢い良く開いたドアからキラーが入って来た。本当にしっかりと殺って来たらしく、服や顔には何かの血が散っている。
ナイトメア「ご苦労。そろそろ夕飯だろう、それまで自由にしていてくれ。」
少し気疲れしたからかは分からないが、いつもよりあっさりと会話を終わらせようとした。
キラー「へぇ、"自由に"して良いんだ?」
ニヤリと不気味な笑みを浮かべ、ドアの前から俺の隣までゆっくりと向かって来た。
ナイトメア「・・・何のつもりだ?」
キラー「いやぁ?お隣失礼しようかなって。」
あまりにも不自然な近付き方だが、心を読むにも特に変なものは感じられない。
目を離して少し経つと、キラーは俺の触手を弄ぶ様に触って来た。楽しそうにぐにゃぐにゃと触って来る。手に付いていた血は俺を覆う液体に飲み込まれ、いつしかその液体まみれになっていた。キラーは手に付いた液体をぺろりと舌を出して舐める。
キラー「うぇ、まず・・・。」
逆に美味しいとでも思っていたのだろうか。その方がおかしいとは流石の俺でも思う。
不味いと言ってはいたが、キラーは何故かそのまま手をぺろっと舐めていた。中々複雑な心境だ・・・。
『先輩方ー?夕飯出来ましたよー?』
部屋の外、恐らくキッチン辺りからクロスの声が聞こえて来る。キラーは少し残念そうにしながらもドアの前に戻り、どこからかナイフを取り出し手でクルクルと回し始めた。
キラー「あれ、ボスは来ないの?」
ナイトメア「ああ・・・。腹が減っていないものでな。」
椅子に座ったまま答える。無理矢理にでも連れて行くかと思いきや、そっか、と少し寂しそうに言うだけで、そのままドアを開け出て行った。
ナイトメア「ふう・・・。」
ため息が溢れ、どこかに溶けていく。
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クロス「キラー先ぱ・・・って、先輩と一緒じゃなかったんですか?」
手でナイフを回してダイニングに入って来たのはキラー__・・・__先輩だけだった。
キラー「何かねぇ、腹減って無いんだって?無理やり連れて来ても怪しまれるんだし良いじゃん。」
どうせその裏には面倒臭いとかの感情が渦巻いているんだろうなと思った。そういう奴だとハッキリ分かっている。
マーダー「ああ、そうだよな・・・?へへ、次も上手くやるからな・・・。」
在らぬ方向を向いてブツブツと呟くマーダー先輩にキラー先輩はカマを掛ける。
キラー「へ~?まだ幻覚に頼ってるんだ?不甲斐ないなぁ・・・。」
マーダー「は?パピルスは幻覚じゃないって何度も言ってるだろ・・・?いい加減分かれこの石油野郎。」
キラー「そういうあんたは幻覚野郎で変わってないじゃん!この|灰被り姫《シンデレラ》・・・。頭までお花畑なの?」
意味不明ないがみ合いをする二人。日常茶飯事なのが一番嫌なのだが。
ホラー「ちょっと二人とも・・・俺腹減ったんだけど先食べてて良いか?」
エラー「良インじゃねェか?話も聞いてナいんだカら。」
そんな風に話が進んで、ホラー先輩とエラー先輩は挨拶をして食べ始めてしまった。結局喧嘩を諌めるのはいつも後輩の俺になる。二人はいつも激しい喧嘩をするから間に入る事すら難しいのに。
クロス「ご飯食べるし喧嘩は止めましょ!?先輩を刺激しない為にも、ね?」
当たり障りの無い様に止めたつもりだったが・・・。
マーダー「クロスは先に食べとけ。」
キラー「異物くんに止められるとは思ってないし!」
分かっていた通り、突っぱねられた。この先輩達は本当に厄介だ・・・。
クロス「はぁ・・・分かりました、協力辞めますね。」
キラー「!?っ、ちょっとクロス、それだけは止めて!」
キラー先輩が食い付いた"協力"とは?
そんなの答えは簡単だ。
俺達は皆先輩・・・ナイトメアの事が好きだ。勿論恋愛的に。だけども、個でぶつかっても先輩は強いから簡単にはねのけられてしまうだろう・・・。だから、それで俺達は協力しているのだ。抜け駆けも無し、あくまでも全員でゆっくりと囲って逃げられなくする、それが目的だから。
クロス「それなら座って静かに食べて下さい。折角作ったのに冷めちゃいますって。」
そう言うと先輩二人は渋々席に着いて、挨拶を済ませ食べ始める。
エラー「全員揃ったカラ聞クが、今日のナイトメアはどうダッた?」
いつもは別AUでやっているこの会議も、今日この場に先輩が居ないから場所を変える事無く出来る。
キラー「うーん、普通に任務もらって・・・それだけかな。後は夕ご飯まで暇だったからボスの触手で遊んでた!」
なるほど、と一度話を飲み込む。そして気付いた。先輩の触手で遊ぶ・・・??何て事をしてしまっているんだ、と考えつつも他の先輩の話も聞いておく。
マーダー「俺は任務もらってさっさと帰って来た。それだけだ。」
マーダー先輩らしい言い方で何故か少し落ち着いた。やはりキラー先輩は何をしているんだ・・・。
ホラー「あ、俺はマーダーに着いてってた。二人でやって来いってボスに言われたからな。」
・・・マーダー先輩、言葉が足りなさすぎる。ホラー先輩が二人で行ったって言って無ければ情報が混線する。
エラー「俺ハアンチボイドに籠もッてた。あル程度情報収集もしたかったシな。」
グリッチを使って様々なAUを見れるエラー先輩らしい方法だ。実際何をしているか把握していないと落ち着けないらしい。
クロス「最後は俺ですよね。まあ家事をしてましたね・・・。皆さん散らかすし、少しはやっておかないと行けなかったので。後は買い出しに。」
時系列がぐちゃぐちゃではあるが、やった事は全部言った。これも俺達の協力の一つで、先輩の行動と照らし合わせる為に行っている。
マーダー「まあ、行動から考えても全員ボスに変な事はしていないだろうな。」
いや、キラー先輩は?と言おうとしたが、その前にエラー先輩が突っ込んでくれたから助かった。
クロス「というか、目標までもうそろそろなのでは?」
そう伝えると、先輩達ははっとした顔をして一瞬固まる。
クロス「あー、もしかして忘れてました?いや、しょうがないですよ。準備期間が長かったんですから・・・。」
ホラー「なら確認しといた方が良いんじゃないか?失敗したら出来なくなる可能性もある。」
理にかなった事を言うホラー先輩に賛同して、目標までの道筋を確認する事になった。
エラー「マず、何となク俺等ガ怪しくして光AUを探ラセる。」
キラー「そんで光AUの方で受け入れてあげる様にして精神的に追い込む〜。だよね?」
マーダー「ああ、足りない頭なりには覚えているな。それからは不信感を抱かせない様に気を付けつつ囲んで、逃げられなく、抵抗出来なくする。」
ホラー「そうしたらもう好き放題しても良いんだよな!」
クロス「ええ・・・。今はキラー先輩の所が終わった辺りでしょう。」
皆さん覚えている様で助かった。ここで説明してしまうと先輩にバレて作戦が倒れる恐れが・・・って、こんな風に言ったらバレてしまうだろうか。
ホラー「へへ、あの触手どんな味するんだろうな〜。」
目を輝かせて分かりやすく喜ぶホラー先輩。ご機嫌な様だったが、キラー先輩は顔をしかめて、「あんなの不味いって。」と言っていた。そんなの食べるまで分からないのに。
キラー「だって僕あの謎の液体?舐めてみたんだよ?不味かったって・・・。」
その言葉を発した瞬間、俺とマーダー先輩はキラー先輩の喉元まで攻撃を向かわせていた。
クロス「抜け駆けは無し・・・ですよね?」
思ってもいないが、にこやかに笑って圧をかける。キラー先輩は少し慌てて言葉に修正をかけた。
キラー「いやいや!ボスの触手触ってたら付いちゃったんだって!決してそういうの狙いじゃないから!」
マーダー「そういうの、なぁ?まあまずボスの触手に触る事自体がおかしいんだが。」
それに関しては全面同意だ・・・。どんな経緯があって触る事に繋がったのかがよく分からない。
ホラー「ま、まあキラーだって悪気があったとは限らないだろ?だからそんなに責め立てなくても・・・な?」
柔らかくホラー先輩に宥められる。これでいざこざになっても困るのはこっちだ・・・。俺とマーダー先輩はキラー先輩の喉元から攻撃を引かせた。
キラー「はあ、死ぬかと思ったよ・・・。|幻覚野郎《マーダー》も|異物くん《クロス》もそういう所は合うんだね。」
そんなに意外だっただろうか。まるで意外、と言う様な態度でキラー先輩が言う。
エラー「といウカ、皆食べ終わってるんだカら戻ッた方が良いンジゃないカ?」
机に目を落とすと、確かに先輩達も食べ終わっている。これ以上ここで話し合いを続けていれば、先輩にバレて計画の全てが崩れてしまうかもしれない、そんなリスクを犯すにも・・・。
マーダー「ああ、そうだな・・・。」
クロス「それなら、俺が皿を片付けておくので先に行っておいてもらって大丈夫ですよ。」
キラー「お、ナイス異物く〜ん!それじゃ僕はお先に〜!」
キラー先輩はさっさと部屋に戻って行ってしまった。それに続く様に、他の先輩達も部屋に戻って行った。
クロス「さて、早めに終わらせないとな。」
どうせ後に溜めていても面倒臭いだけだ。シンクに皿を置き、水を流して洗い始める。
しばらくしていると、ドアから音を立てて誰かが入って来た。
ナイトメア「なあ・・・もう飯は下げたか?」
俺の様子でも伺う様に聞いて来た。か、可愛すぎる・・・。
クロス「いえ、先輩の分は残っていますが・・・食べたいんですか?」
ナイトメア「まあ・・・。食べないのもどうかと思ってな。」
その通り。食べないのは本当に良くない。ましてや先輩に体調を崩してほしくない。
ナイトメア「いただくぞ・・・。」
そうボソリと言い、一口、また一口・・・と食べて行く先輩。
クロス「味はどうですか?変な味だとか不味いだとかは・・・。」
ナイトメア「いや、特には無い。そんなに気にしなくても良いから、な。」
少し濁しながらも先輩は言った。不安定そうにも感じるその言葉を信じて良いものだろうか。まあ、もし何かがあったとしても、俺が支えてあげれば良いんだ。
先輩は特に話さず、小さな一口で食べていた。小動物の様で可愛い。
しばらく眺めていると食べ終わったらしく、軽く挨拶を済ませて食器をシンクに持って来た。
クロス「食べれた様で良かったです。少しでも良いから食べてもらえれば、俺達は良いので。」
にこりと微笑んでやると、先輩は目を逸らしてさっさと行ってしまった。照れてしまったのだろうか?それもまた可愛くてしょうがない。
クロス「ふふ、もっと可愛がりたいですね・・・?」
独りきりのキッチンに俺の声が少し響く。嬉しさと好奇心で溢れた声だった。
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クロスが作った飯を食べ、自分の部屋へと戻る。冷めていたものを電子レンジで温めたからか、出来立てとは離れていた味だった。それはそれで不味くも無かったから、クロスの料理の上手さを感じられる。
部屋の中はシンとした空気で満たされ、月の光が窓から入り込んで来ている。椅子に手をかけ、深くまで座り込む。
そのまましばらく座っていると、あまり感じないはずの睡魔が襲って来る。夜は長い。寝ない俺はよく分かっている。だからこそ、久々の睡眠に躊躇はしなかった。
目を閉じて何も考えず、ただひたすら無心でいる事を心掛ける。襲っていた睡魔が、そのまま俺を眠りの中へと引きずり込んで行った。
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小鳥の鳴き声が聞こえる。朝によく聞こえる鳥の声だ。久しぶりに寝た感想だが・・・特に夢も見ず、何も無かった。まあ、何かあった方がこちらは困るのだから良かっただろう。
『先輩、朝御飯ですよ?』
ドア越しにクロスの声が聞こえる。
ナイトメア「ああ、今行こう。」
椅子から立つと少し音を立て軋んだ。もう何年も経つからだな、と少し思う。
クロス『先輩・・・何かありましたか?』
ナイトメア「いや、何も。」
心配そうに聞いてくる彼に答える。
クロス『そっかぁ・・・それなら良いんです。』
嬉しそうな声で言った。だが、何故だろう・・・ポジティブなはずなのに、不快感が無い。気のせいだと割り切って部屋から出る。
クロス「それじゃあ行きましょうか。」
いつもの廊下を俺とクロスは歩いて行く。"いつもの"廊下だ。
クロス「先輩、今日は寝れた様で良かったですよ。普段から寝ていないんですから・・・。いつも心配だったんです。」
いつもの様なマシンガントーク。慣れていなかったはずなのに、いつの間にか慣れてしまっている。
ダイニングに入れば、闇AUの奴等が料理を囲む。俺より先に集まっていたらしく、長く待っていた様な顔付きだった。
キラー「ボス~、遅いよ・・・。」
崩した姿勢でナイフをクルクルと回しているキラー。今日は任務をせがんでくる事も無かった。それもあってよく眠れたのだろう。
ナイトメア「ああ、すまない・・・。」
何故だかそんな返事しか返せず、自分でも驚いてしまった。睡眠を取っても疲れは取れないものだろうか。
マーダー「ボス・・・今日は寝れたんだろ?疲れていそうだが・・・。」
マーダーに聞かれ、確かにおかしいと考えを直した。
ナイトメア「そう、だな・・・少し休みたい。」
あまり自分から言い出す事も無いはずだ。疲れもネガティブで補えるはずだ。睡眠なんて要らないはずだ。
何故だか誰かに頼りたくなって来る。
クロス「それじゃ、今日は俺達が介抱しますよ?」
微笑んで此方を見るクロス。優しい目付きだ。
ナイトメア「なら、今日はそうしてもらうとしよう・・・。」
慣れない頼り方だ。でも、誰かの助けがどうしようもなく要る。彼奴等に見せたくもなかった弱みも溢れて出て行く。
クロス「それなら、後で俺の部屋に来て下さい。」
そう言って、クロスはダイニングからそそくさと出て行った。それに続く様に、他の奴等も食べ終わりすぐ出て行った。
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クロス「あれ、もう来たんですか?」
クロスの部屋に入ると、他の奴等も部屋に居た。何かを準備しているかの様な手付きだ。
ホラー「それじゃここに座ってくれよ!」
そう言ってホラーが指したのはただの椅子。随分簡単な物なのだな、と座ってみた。
キラー「うんうん、じゃあ、ちょっと大人しくしててね?」
マーダーとキラーが近付いて来たかと思うと、俺の手足に何かを着け始めた。ジャラジャラと音を立てるそれをよく見てみると・・・。
ナイトメア「手錠・・・?」
少し驚いて動こうとするが、
エラー「ボス、あんまリ動くなよ?意味無いンダからナ。」
エラーの出した糸で巻かれて動けなくなってしまう。
出来る事も無いから大人しくしていると何かの準備はサクサクと進んで行った。
クロス「よし・・・もうこれで良いですよね!」
キラー「そうだね~。これまで頑張って来て良かった!」
マーダー「へへ、もう逃げられないからな?」
ホラー「嬉しいなぁ・・・。もう良いか?」
エラー「勿論ダ。それじャあこれカラは・・・。」
--- `「不幸なんて全部、無くしてやる。」` ---
行き過ぎた感情。ポジティブの一つ。
ニンゲン達はこの感情を、「LOVE」と呼ぶのだろうか。
いや、それにしては重く、どす黒い。まるで狂愛の様な。
俺は彼奴等の歪んだポジティブを浴び過ぎた。もう・・・俺もおかしくなってしまった。
彼奴等にもっと必要とされたい。
もっと彼奴等の近くに居たい。
彼奴等のポジティブを感じていたい。
でも、こんな俺でも彼奴等は必要としてくれる。愛してくれる。
「悪夢は幸せになれるのか?」
ナイトメア「ー、俺は、幸せ・・・だよ。」
クロス君の「先輩、大丈夫ですか?」からのセリフで丁度1000文字。
「目を離して少し経つと、」からの文で4000文字。
ホラー君の「ま、まあキラーだって悪気があったとは」からのセリフで7000文字。
「ダイニングに入れば」からの文で8888文字。
そして最終的には驚異の10161文字!
急に最長文字数達成しちゃったよぉ・・・。そもそも寝れないから書こうと思っただけなのに・・・。
最後の方展開が急だったりしちゃいました・・・。すみません疲れてて・・・。でもいい加減終わらせなきゃだったのでね!
こんな長ったらしい小説ですが、ここまで読んで頂けたのは凄い嬉しいです!!
これからもリクエストいっぱい受けます()