公開中
はしめまして,死んでください.
空白がある方が読みやすいことに気づいた
理解が追いつけない俺を見て,奇妙な笑みを浮かべる彼女.広角は皮膚が引きちぎれそうなほど上がり,その瞳は白眼まで真っ赤に染まっている.まるで,俺の間の前には呪いそのものがいるように見えた.全身が震え上がり,腰が抜けてしまった.彼女はその奇妙な笑みで俺をしばらく見つめた後,姿を消した.
翔「ッ,はあ,はぁ,」
彼女が消えたとたん,息が楽になる.胸をきつく縛っていたものが,ほどけたように.床には,俺が落としてしまったナイフと,赤い封筒が.
翔「は?色が...変わった?」
さっきまで真っ白だったはずの手紙が血のように赤く染まっていた.抵抗心はあるが,震えた手で封筒の中身を覗く.その瞬間,眩しい光が封筒から飛び出し,俺の体を封筒の中へ連れ込んだ.
彼女だ.彼女のあの笑い声が聞こえる.甲高い,鼓膜を突くようなあの笑い声.
耳を塞ぐ.もう,あの子の笑い声が聞きたくないからだ.こんなの,Jアラートを耳元でずっと聞かされてるのと同じだ.
長い.いつまでこの光と笑い声に苦しまなければいけないのだろうか.封筒の中は光しかなく,体ははずっとぐるぐる回っている.
翔「出せよ!!」
不意に叫ぶ.
彼女に届いたのか,乱暴に床に落とされた.
翔「痛」
痛む腰を抑えながらもあたりを見渡す.知らない場所だ.協会みたいな壁.赤く上品な床.真ん中には大きな長テーブルと,その周りに椅子が間隔で置かれている.
翔「どこだ...?ここ」
俺の独り言に応えるように,どこからか声がした.
紫苑「君も,迷った人?」
見上げるとそこにいたのは高身長イケメンでスタイルのいい,モデルみたいな男子高生.彼もここへ,彼女から正体されたのだろうか.
きょとんとする俺の顔を見て,彼は美しく笑う.
紫苑「ごめん,自己紹介がまだだったね.俺は相沢|紫苑《しおん》.高校3年生.」
まだ落とされたままの俺に手を差し出す.こんなザ・イケメンな彼の前でこの体制は普通に恥ずかしい.あのクソ少女め.変な落とし方しやがって.紫苑の手をとり,立ち上がる.改めて見るこの場所はやはり一度も来たことのない,新鮮な空気がした.
翔「俺は|東海寺《とうかいじ》|翔《しょう》.高校1年...のはず.紫苑でいい?」
軽く自己紹介をし,紫苑と握手した.
紫苑「これで全員かな,」
翔「全員て?他にもいるの?」
紫苑「いるよ.ほら.」
紫苑が指を差した方を見ると,せいぜい10人はいるだろう.一箇所に集まっていた.男女関係なく.共通点があるとするなら,全員高校生に見える.
翔「あ」
その中には,俺の幼馴染の姿もあった.幼稚園の頃から一緒であり,俺がいじめられてるにも関わらず,見て見ぬふりをした,幼馴染.最後に見たのは中2の夏休み.その時に比べれば,顔も大人びでいる.成長していないのは俺だけのようだ.紫苑に視線を移す.広い肩幅.身長は俺とは10センチ以上差がありそう.今の俺はきっと,女子と同じくらいの身長なんだろうな.
???『`あれ,一人いないや`』
再びあの子の声が,脳内に直接語りかけるように聞こえた.姿はなく,声だけで.その声は全員に聞こえているらしく,俺だけじゃないらしい.
???『`連れてきたはずなんだけどな~.`』
ほぼ独り言じゃねぇか.そんなんみんなに聞かせてどうするんだよ.
俺が抵抗したときは反応がなかったのにと若干腹を立たせる.
ボト
俺と同じようにいや,俺よりも痛そうな音を立てて現れたのは,俺より少しだけ身長の高い,銀髪の少年だった.
零「なんか用?」
しかも態度も悪い.いや,高校生なのか?細いし.何も食べてなさそう.
彼は名乗らずに俺の隣に静かに立った.少しでかめのフードを被り,顔が見えにくくなっている.不思議に思いながらも引き続き,彼女の声を聞くことにした.
???「`さて,集まったところで,貴方がたには人狼ゲームをしてもらいます.`」
ざわつく.
人狼ゲーム,?そんなの,カードゲームのことしか知らない.こんなわけもわからない場所に連れてこられてカードゲームしろと言われたって.彼女は俺達に何をさせる気なのだろうか.
⁇?「`カードゲームとか簡単なものではないよ`」
俺の問いそのままを返すように彼女は言う.
⁇?「`君達には,リアル人狼ゲームをしてもらう.もちろん,人狼に殺されたら即死.現実世界でもお前らは死んだことになる.`」
翔「殺し合いってこのことだったのか⁉︎」
思わず口に出てしまった俺に視線が集まる.不意に恥ずかしくなった俺は身をひいた.
⁇?「`だって君達,`」
???「`死にたいんでしょ?`」
突き刺さるような一言に,場が凍りつく.毎日気安く放っていた「死にたい」の言葉の重みを改めて感じた.きっと俺達にとっての「死にたい」は「助けて」の代わりになる言葉だったからだ.
わ.終わり方こわ٩(๑´0`๑)۶