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ECHOLESS
この脳みそを取り出して
ベッドの上に投げ捨てたい
そんなことを思いながら僕は
夢の中に堕ちるんだ、ああ
闇に染まった帰り道
世界が終わった後の様だ
何もかも全部全部
消えてしまいそうで
ウチに帰るノブを捻る
でもそこには誰もいない
ただの闇ただの闇
そこにあるのはベッドだけ
ああ、
この脳みそを取り出して
ベッドの上に投げ捨てたい
血塗れ涙と|一縷《いちる》の|蛛糸《しゅし》を
ナイフで断ち切って
術灯が落ちて頭蓋が開く
メスが落ちて細胞が鳴く
鉗子が僕を犯すその時に
ボクは僕で無くなるのかな
この脳みそを取り出して
闇に沈めて眠りたい
|記憶《とき》が僕を裂くその度に
僕が壊れてしまう前に
光刺して瞼開く
夢なんて醒めなきゃいいのに
水の|音《ね》だけ響いてく
僕と誰もいない部屋
ソトに出てくノブを捻る
世界が戻った日の様だ
酔いしれてく静けさに
独り遺されたみたいだ
そして、今日も歩き出す
独り独り独りで
そして、また帰るんだ
独り独り独りで
ああ、
この脳みそを取り出して
ベッドの上に投げ捨てたい
血塗れ粘つくこの頭蓋に
花を添えて水を撒こう
|膿盆《のうぼん》に沈んで行ったのは
紅く湿った僕だった
僕が僕で無くなる時に
本当に僕は笑うかな
ボッケの中で爪を立てる
まだ温かみが残ってる
片手の平で刃を握る
まだそっから血が流れてる
この脳みそを取り出して
ベッドの上に投げ捨てればと
何度、何度、思っただろう
血の香りが風を揺らして
窓の向こうで朝が鳴いてる
壊したくて壊れたくて
それでもまだ僕は息をしてたんだ
目を閉じたら滲んでいく
この先で堕ちる灰色瞼
その向こうはは幸せだけど
起きたらスグに忘れちまう
壊したくて壊れたくて
壊したくて壊れたくて
壊したくて壊れたくて
それでもまだ僕は息をしてたんだ
壊したくて壊れたくて
壊したくて壊れたくて
壊したくて壊れたくて
それでもまだ僕は息をしてたんだ
壊したくて壊れたくて
壊したくて壊れたくて
壊したくて壊れたくて
それでもまだ僕は息をしてたんだ
結構頑張った……!
一つだけ注釈的なものを。
「一縷の蛛糸」
これは完全造語なのでね。
一縷ってのは、「いちるの望みに賭けて」みたいな時に使うヤツです。
で、蛛糸ってのは、「蜘蛛の糸」のこと。
一縷っていうのは、「一本の」みたいな意味を持っているので、二つを掛け合わせて、「細く拙い、自分の命をギリギリのところで支えてる一本の糸」みたいなイメージで書きました!