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宝物
奏「き、記憶がない…?」
愛莉「記憶喪失ってこと…?」
瑞希「………」
類「瑞希…そんな冗談は…」
えむ「…え、ほ、本当なの…?」
瑞希「わかってたよ…信じてくれないって…」
瑞希「だから言わなかったんだよ…」
瑞希「でも、信じなくてもいいよ。どっちにしろすぐに真実は明らかになるしさ…」
類「あくまで話す気は無いという事かい?瑞希…これは信用問題なんだよ?」
瑞希「じゃあどうするの?拷問でもするの?」
類「そんな事はしないけれど…」
類「少し制限させてもらうよ、これ以上怪しい行動をしないようにね」
瑞希「行動の制限…?」
類「鍵を貰おうか。瑞希の部屋の鍵だよ」
奏「え…そんなことしたら…!」
穂波「個室以外での故意の就寝は禁止って校則もあるし…寝れなくなるよ…」
類「それが嫌なら話してほしい。簡単な事じゃないか、自分のことを話すだけだからね」
奏「ま、まって…そんなの…脅しみたいだよ…」
瑞希「…いいよ、わかった」
類「話す気になったみたいだね」
瑞希「…はい、鍵」
類「瑞希…どうして…頑なに話そうとしないんだい…?」
瑞希「だからさー、話したくても話せないんだよ?さっきから言ってるよね?」
みのり「も、もしかして本当なんじゃない?記憶喪失って…」
雫「よくよく考えたら、有り得なくも無いわね…」
雫「最悪な事だけが起きる学園よ?記憶喪失くらいは、不思議じゃないというか…」
瑞希「最悪な事だけが起きる最悪の学園?本当にそうなのかな?」
冬弥「え…?」
瑞希「ここでの生活が全部悪い事ばかりって、本当に言い切れるの?」
奏「どういうこと…?」
瑞希「………」
瑞希「ちょっと…喋りすぎちゃったかもしれないね…」
愛莉「あ…っちょっと、瑞希!?どこに行くつもりなの…?」
瑞希「大丈夫、みんなに害を及ぼすような事はしないよ」
穂波「あ、暁山さんってなんだか不思議だよね…」
絵名「でも…やりすぎじゃない?部屋の鍵まで取るなんて…」
えむ「そ、そうだよ!いくら類くんでもこれは…」
類「パチンッ ((指を鳴らす」
えむ「………」
それにしても…瑞希、どうするのかな…
これ…変わらないよね…
みんなで桐谷さんを責めた時と同じ…
みのり「きゃぁぁぁ!!」
愛莉「な、なに!?急に大声あげないでよね…!」
みのり「だ、だって…あそこ…!」
モノクマ「………」
司「い、いつからそこに…」
モノクマ「ボクはね、非常に…非常に…」
モノクマ「怒ってるんだよー!!!」
絵名「怒ってるって…何に…?」
モノクマ「泥棒です!この中に泥棒がいるのです!!」
雫「え…?」
モノクマ「誰か盗んだでしょ!ボクの宝物をさぁ!」
冬弥「宝物…?」
モノクマ「先生はオマエラの事信じてたのに…そんなオマエラに裏切られるなんて…」
モノクマ「現実って、本当に気苦労の多い世界っすね…空想に逃げたくなる気持ちも分かるっすね…」
絵名「というか、宝物とか何の話なの…?」
モノクマ「うるさいっ!オマエラなんか全員、就職氷河期で路頭に迷っちまえ!」
みのり「い、行っちゃった…」
司「誰か心当たりがある奴はいるか?」
類「瑞希だろうね…モノクマから何か盗むなんて行為、瑞希以外に誰ができるんだい?」
奏「瑞希が…?」
奏「だとしたら…何を盗んだんだろう…」
キーンコーンカーンコーン…
冬弥「夜時間ですね…」
穂波「話し合いはまた明日に…暁山さんのことも…」
類「それにしても、モノクマの件と言い瑞希の件と言い…何か不穏な空気を感じる…」
類「今夜は特に警戒した方がいいかもね…?」
愛莉「夜時間の出歩きも控えましょうか…」
みのり「うん…そうだね…」
類「それじゃあ…おやすみ」
---
奏「あ、鳳さんから貰ったナイフ…机にしまっておかないと…」
奏「…瑞希…大丈夫かな」
奏「自分の部屋にも入れないで…どうするつもりなんだろう…」
奏「何か…私にできることは…」
ピンポーン…
………
奏「ん…インターホン…鳴ったよね…?」
ガチャ…
瑞希「………」
奏「瑞希…?」
瑞希「脱衣所で待ってるよ、ボクは先に行ってるからね」
奏「え…あ、瑞希、!?まって…!」
奏「…夜時間の出歩きは控えるって話だったけど…」
奏「行かないわけには…」
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瑞希「ごめん、こんな時間に呼び出して…」
奏「大丈夫、もう慣れたから…」
瑞希「…そっか」
奏「…ねぇ…わざわざ脱衣所に来たって事は、監視カメラがある場所だと喋れない事なんだよね…?」
奏「もしかしてそれって…モノクマから何か盗んだって話…?」
瑞希「………!」
奏「さっき瑞希が居なくなった後に、モノクマが宝物が盗まれたとか言ってたんだよね…」
奏「瑞希が…盗んだの?」
瑞希「………」
瑞希「そうだよ、ボクの仕業でした♪」
奏「やっぱり…」
瑞希「これを見つけたんだよね…」
奏「…モノクマの模様が入った鍵…どこでこんなもの…」
瑞希「学園長室だよ」
奏「…え?」
奏「あ、あそこって鍵が掛かってるんじゃ…」
瑞希「壊されてたんだよね」
奏「え、え…!?」
瑞希「遥ちゃんだよ…遥ちゃんがやってくれたんだよ」
奏「桐谷さんが…?」
瑞希「遺書に書いてあったよね?『私はただでは死なないよ。必ずモノクマに一矢報いる』って…」
奏「じゃあ…私達の為に、学園長室のドアを壊してくれたって事…?」
瑞希「…そうだと思うよ」
奏「私達の為に…」
奏「私達の為に犯してくれた校則違反…」
奏「死を覚悟していたからこそできた…最後の校則違反…」
瑞希「ボクがそれに気付いたのは、昨日の学級裁判が終わったあとだよ」
瑞希「だけど、そのまま学園長室に入ってもモノクマにバレてしまうから…だからね…」
瑞希「奏に、囮になってもらったんだよ」
奏「あ…だから昨日…」
瑞希「うん、モノクマの目を引きつけてもらう為…」
瑞希「その隙にボクは学園長室に忍び込んだんだよ。そして、その成果が…」
瑞希「この鍵ってこと!」
奏「そうなんだ…それじゃあ昨日言ってたのも…?」
奏「ミク…初音ミクについても、学園長室で知ったの…?」
瑞希「そうそう。学園長室にミクに関するファイルがあったんだよね」
瑞希「本当にあのミクなのかな…詳しい事は分からないけど…」
瑞希「きっと、彼女は危険だと思う…」
奏「危険…」
瑞希「もしかすると、彼女が黒幕なのかもしれない…」
奏「え…く、黒幕…!?」
奏「でも、さ…アルターエゴは言ってたよね…?黒幕は学園長の可能性が高いって…」
瑞希「ううん…学園長は黒幕じゃない気がする…」
奏「…!?」
瑞希「まだ確信は持てないけど…間違いないんだよ…!」
確信がないのに断言するなんて珍しいな…
でも、学園長が黒幕じゃないとすると…
ミクが…黒幕ってことになるのかな…
瑞希「とにかく、この鍵はボク達がようやくして手に入れた最大のチャンスなんだよ!」
瑞希「逃がす訳にはいかないよね?」
奏「でも…この鍵ってどこの…?」
瑞希「分からない…だから…」
瑞希「奏がモノクマの目を引き付けている隙に、ボクが確認するよ!」
奏「またどこかに忍び込むの…?」
奏「そんなの…危険すぎるよ…」
奏「それにモノクマの目を引き付けろって言うけど…黒幕が1人じゃ無いかもなんだよ…?」
奏「もし複数人が私達を監視してたら…」
瑞希「でも昨日は大丈夫だったよね?」
奏「それは…偶々かもしれないし…」
瑞希「もしかしたら、黒幕はボク達の監視とモノクマの操作を同時に行えないのかもしれないよ」
奏「え…?」
瑞希「だから昨日はバレなかった…でも奏の言う通り、偶々っていう可能性もある」
瑞希「だからこそ、同じことをもう一度やってみるよ!」
瑞希「それでもし成功したら…」
瑞希「ボクの推論は、ただの推論じゃなくなる!そうでしょ?」
奏「確かに…そうだけど…」
瑞希「…黒幕が、ボク達の監視とモノクマの操作を同時に行えないとすると…」
瑞希「ボク達にも、つけ入る隙が生まれるはず!」
瑞希「つまり、それを見極める為の行動でもあるんだよ…!」
奏「で、でも…いくらなんでも…リスクが大きすぎる…」
奏「もし…失敗したら…」
瑞希「そんな心配する必要ないよ。思い出して…」
瑞希「謎を解く為の行動に制限は課せられない。そう校則にあったからね」
瑞希「ボクは校則を破ってる訳じゃない。鍵を盗んだ事だってそう…」
奏「でも、黒幕がその気になったら…校則なんて関係ないんじゃない…?」
奏「きっと、問答無用で私達を殺すはずだよ…」
瑞希「なるほど…でも、計画が失敗した場合はそれを確かめる事が出来るよね」
奏「え…?」
瑞希「いざと言う時、黒幕は校則を破るのか?それとも、あくまで校則にこだわるのか?」
瑞希「つまり、成功しても失敗しても得るものがある計画…尚更、やらない理由は無いよね!」
奏「だけど…!」
瑞希「…先に進む為には危険は逃れられないんだよ…奏…」
瑞希「危険は承知の上だよ。それでも謎が解けるなら進むべき…」
瑞希「そうだよね?」
奏「………」
瑞希「ボクの気は変わらないよ。変えるつもりはないよ」
瑞希「はい、これ」
奏「…手紙?」
瑞希「決意表明ってとこかな?まだ開けないでね…それを開けるのは…」
瑞希「ボクに、もしもの事があった時だよ」
奏「…!もしもの事って…っ!」
瑞希「念の為に渡すだけだよ。万が一の可能性でも、犬死なんてごめんだしさ」
瑞希「お願い、預かってほしいんだよ」
奏「わかった…預かるだけ…」
奏「…でも、開けることなく絶対後で返すから」
瑞希「分かってるよ」
瑞希「それと最後にもうひとついいかな?」
瑞希「これはみんなに内緒にしてほしいんだけど…」
奏「黒幕に隠し通すのが、難しくなるから…?」
瑞希「うーん…それもあるけど…」
瑞希「……ごめん、今の話忘れて!」
そう簡単に忘れられないけど…
瑞希「じゃあ…そろそろ始めよっか」
瑞希「奏、よろしくね」
奏「モノクマの目を引き付ければいいんだよね…」
瑞希「ボクは先に行ってる…頼んだよ」
奏「…うん」
なんだか…すごく嫌な予感がする
瑞希…
大丈夫、だよね…