公開中
ある日の何気ないワタシ
イクス@エモエモいっくす
ある日の何気ないワタシ
朝、昨日は急患も入らず、気持ちの良い目覚め
鳥の鳴き声が心地良い…ってそんな事思う訳もなく窓の外を睨み付ける。
目障りな鳥ね。殺すわよ。
とりあえず本日1回目のシャワー。自分の体を見て毎度思うが、醜い、醜いわ。けどこの傷が私そのものなんだから愛おしくもある。自分の生きてる意味を再確認できるから
シャワーを浴びて予定の確認、ボスからの依頼と治療の予定を見る。はい朝の確認終わり。
次は器具の準備、依頼と治療の内容で使う子を決める。メス、ハサミ、針とノコギリと鉈と…おっといけない涎が。
後は薬を…む、そろそろ補充をしなければ…ご飯を食べたらGGの所へ行こうかしら
準備完了、まだお昼にも早いけど、ドレッドオジサマのお店は開いてるはず…部下に買いに行かせましょう。外出るのめんどくさいし
適当な部下を呼びつけて、適当なパンを2、3個買ってくるように指示、その間本でも呼んでおきましょう
扉がトントンと叩かれた。随分時間がかかったわね、お仕置きの時間かしら?
扉を開けると分厚い胸板が目の前にあった。それと見慣れたエプロン。
『カイクスさん持ってきたよ!』
『…オジサマ暇なの?』
ニッコニコで立ってるザッカリー、私の皮肉にも動じず、袋にいっぱいのパンを持って…って何その量
ちょっと待ってアンタが食うって言っても引く量よそれ?
『…は、配達の途中かしら?わざわざありが…』
『全部カイクスさんの分だよ!いっぱい食べてね!』
なんで毎回私に食べさせようとするのこの人
普通に無理よこんな量
…手のひらサイズの何味かわからないパンだけ取って突っ返す。食べるところを見せないと帰らないので口に含んでシッシッ
『…んん…あひがとほ、もおひひわよ。ひゃあね。』
ザッカリーは笑顔だか残念そうにいっぱいのパンと帰っていった。特に罪悪感は無い。そんな量は店で使え
…しっかし美味しいわねコレ。
お昼、貰ったパンをちびちび食べながら本を読む。依頼は夕方からだから、コーヒを飲みながらゆっくり…
ドンドンドンドン!!!
私の時間を妨げるように扉が音を上げる
『…ッチ…何かしら?』
開けると、エズラが任務で負傷したメンバーを数人連れてきた
『軽症者1名、中傷者2名、重症者1名。よろしくなセンセイ。じゃあ』
『待ちなさいよエズラくん。アンタも付き合いなさいよ』
そそくさと帰る彼を思わず呼び止める。肩を掴むと鈍い熱が伝わってくる、なぜこんなに熱いの…?
もし来てくれたらと思うとゾクゾクする。
彼の体の中を見たい…あぁ見てみたいわ…
『離せ。触るんじゃねぇよ。気持ち悪い顔で俺を見るんじゃねぇ』
エズラに手を振り払われる。とっても怒ってるみたい、残念ね。解剖はまだまだできないみたい
『…仕方ないわね、命に関わる重症になったら是非呼んでちょうだい。どこでも駆けつけるわ…♪』
返事も反応も無くエズラが立ち去る。無造作に置かれた怪我人と震えてる軽症者。随分と怖がられてるみたいね
『はぁ…アンタ達治療室に入ってなさい…順番に対応するわ』
治療が終わって、一息。つまらない普通の治療。誰かを拷問でもして時間を潰したかったけど、組織内でやると、上の人にメッチャ怒られるからできないのよね…
そんな事を考えてると依頼の時間になった
内容は尋問と死体の調査、何とかって言う事件の手掛かりを得る為のお手伝い
『さて、始めましょうか』
尋問相手の男にご挨拶して、何をするかイチから説明。その間に顔は青ざめていく。素敵な顔になってきたけどまだ何もしない。
先ずは死体解剖して事件の手がかりとか言うのを調べないと
音の聴こえる隣の部屋で解剖開始、ドアは少し開けてあるので何をしているのかは見えるようになっている
死体を相手にしているのは言ってないので、尋問の人は自分のされる事を想像して更に追い詰められていく
くちゃくちゃ、ぐちぐち、ざくっ、びちゃっ、
静かな部屋に反響する不快な音、私には小鳥の囀りより素敵な音
解剖に夢中になっていると、男の方からくぐもった声が聴こえる。猿轡をしているから舌は噛み切れないし、声もまともに出ないから、むーむー言ってる。うるさいわね
一瞥して続ける。終わる頃には血の匂いが部屋に充満していた
男はと言うと、失禁し、口からは血が流れて、縛った手首から血が滲んでいた
どうにも静かだと思ったら気絶していたらしい
…試しにさっきまで使っていたハサミで耳を下から少し切ってみる
ショキッ
変な声を出して男は起きた。口角が上がる。いつの間にかマスクを外していたようで、口からにちゃついた音が鳴っている。涎と返り血だろうか
片側の耳も少し切る
ショキン
楽しくなってきた。数分と保たずに情報を出してくれたけど、止まらない。
記憶と記録はしたから後はお楽しみタイム
『アナタはこれから抵抗するの。私の決死の拷問にも耐えて、最後の最後に全て話すの。体が千切れるその寸前に、壊れるその間際に話すの。分かる?まだまだ“話せ”ないわよ?』
叫び声が外まで反響する。その中には私に笑い声も混じってたそうな。
1時間後、動かなくなったもう一つに死体を見ながらため息。終わっちゃった。
結局普通なのよね。普通の人間。
あぁ組織内の人に出来たらどれだけ楽しいのか…
お腹が急に鳴った。そういえばパン一個しか胃に入れてない。しまったわね…
部屋の片付けと報告は部下に押し付け、シャワーへ
今日は軽めだったから血はそこまでついてないけど、それでも落とさないと気が済まない
夜
シャワーを浴びた後、体を乾かしてザッカリーの店へ。入ると店の人間は殆どの人が引き攣った顔か恐怖の顔を私に向ける
まあその辺は慣れてるから良いのだが、この店には例外がいる。直接来ないのはこの例外のせいでもある
1人は店主のザッカリー、もう1人は……既に足元にいる…
『いらっしゃいカイクスさん…今日はどんなご用事…?』
『アンタなんでいるのよ…もう夜よ…?』
コイツだ…ロザリー。私のしている事を知っててなおベタベタと引っ付いてくる。脅そうと突き放そうと聞きやしない。何で私に引っ付いてくるのかしら…
『ザッカリーさんに聞いて…もしかしたら夜に来るかもって…待たせてもらったんだ…』
『あっそ。私はアンタには興味も用事も無いの。オジサマ、適当な食事出して』
カウンターに座ってオーダーする
言われたザッカリーは嬉しそうに調理を開始する。とりあえず食べたらノラの所に行って軽く飲もうかしら…って考えてたら…
『何隣に座ってんのこのクソガキ』
『私も…晩御飯…!』
ふんす!と握り拳。何コイツ
『知らないわよ。隣に座らないでくれる?』
『♪〜♪〜』
『聞きなさいよ』
高さの合わない椅子で、足をパタパタさせながら鼻歌を歌うロザリー。普通の人が見るなら可愛いとかになるんでしょうけど、私からしたら不快で仕方ない
けどこのガキはこうなると私の話を聞かない。半ば慣れが出てきたぐらいだ
ため息、仕方ないと頬杖をつきながら料理を待つ
出てきた料理は何故か多かった
『どう見ても多いのだけどオジサマ?』
『ロザリーさんと一緒に食べてね!』
『………………………(絶句)』
本気で頭の構造を疑う、毎度の事だが、なぜ私にこんなにも食わせたがるのか
ダメだ本当にこの2人は苦手だ…
横ではロザリーが小さい口で黙々食べてると、たまにこっちを見て笑う。その度におでこに手刀をカマす
そういえば私も空きっ腹だった、このガキとご飯を突っつき合うのは癪だけど仕方ない…
『美味しいね…!』
あぁもう口も汚してるし何なのこのガキ…
教養のない奴はこれだから…
『…落ち着いて食べなさいよ』
その辺の紙ナプキンでぐしゃぐしゃと口を拭いてやると、口元が擦れて赤くなっていた。その口元が笑ってるもんだから、その顔が癇に障ってデコピンをする
『このクソガキ』
その夜、一緒にロザリーが風呂に入るとゴネたので、丁寧に(無理矢理)追い返した。誰が一緒に入るものか
本日最後のシャワーを浴びて休む。ノラの店にも行くのも忘れていた。おのれロザリー。
また明日でいいか、と電気を消して目を閉じる
深夜、エルディが任務で負傷したと訪ねてきた。
そこで思い出した、薬の補充を依頼していなかった。
私は腹いせにエルディの患部にアルコールを思いっきりぶっかけてやった