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暁前の微光【9話】
嘘のような実話。
実話のような嘘。
この話は嘘か、本当か。
カラ、LOUIS、寺、周…4人の少年少女達が織り成す怒涛の家出劇。
底に埋もれた弱者達よ。
強くなれ。
強い者だけに、道は開かれる__________
寺「オッケー、準備完璧やな?扉の鍵しめた?」
二人「ばっちり」
周「うん、ほんなら先どこ行く?」
「うーーーん………」
駅!!!
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「ほぉぁ〜〜……」
駅に行く道すがら。
目の前に広がる懐かしい光景に言葉を紡がないまま口を開ける。
木々は葉を落としていたが、それでも銀杏並木は見事なものだった。
紅葉の時期は少し前だ。
丁度、見盛りの時期にLOUISが倒れたから、彼は今年の紅葉を見ていないんだな。
幼ながらにハンデを喰らった彼に、心底、同情する。
そして、彼に同情している自分に、心底、呆れた。
カラ「幸せかどうかなんて、本人じゃないとわからんのにな…」
そう、小さく呟いた。
木々を見上げている彼の姿を見るとどうしても、虚しさを感じてしまうのだ。
「行こう」
寺がそう声をかけて、全員_____LOUIS以外が振り返る。
数秒ほど、紅葉を目に焼き付けるようにしてから名残惜しそうに、けれども何かを決意したかのように、こちらを振り返った。
「うん」
短く返事を返す。
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前に見えてきたのは箕谷駅。
「ミノタニエキ」と言うのだと最近母から教わった。
この駅は、僕らの町からは最寄りの駅だ。
高台にある、少し古びて小さな駅舎は入口にある郵便ポストと共に味わいがあり、映画に出てきそうな田舎を感じさせる。
周辺は僕らが住む町で囲われていて、バスの方が交通の便が良い事もあり寂しい感じもするところだ。
ここから至近距離で見る電車、聞こえてくる音が好きだ。
LOUIS「なぁ、何をシンケンな顔しとん」
カラ「え」
周「ほんまやでカラ!!般若みたいな顔や…w」
カラ「はぁ!?」
寺「よう般若なんてワードしっとったな…w」
周「あほぉ!うちかてそんくらいわかるわ!!」
LOUIS「20点台常習犯が何言うとるん」
周「うわっ、…なんやお前ら寄ってたかって…いじめやで!?」
カラ「むっちゃ大事にするやんww」
周「うったえたるぅ!」
ぐぎゅぅるるるぅうう…………
全員「え」
大きな腹の音が周辺に響き渡った。
全員が唖然と周りを見渡す。
全員「誰や!!」
またもハモる。
LOUIS「俺ちゃうで」
寺「私も。」
周「うちもちゃう〜」
カラ「僕も_____」
言いかけて、ハッと目を見開く。
ここで「僕もちゃう」
そう言ってしまったらこの事件はメイキュウ入りだ…未解決ジケンになってしまう。
なんとしても避けなければ…
我ながら変な使命感だ。
カラ「す、すまん!僕や!」
意を決してそう告げる。
すると
LOUIS「やっぱり?」
カラ「ふぁ??」
周「そうだとおもってん。」
寺「な」
カラ「し……しつれいな!!」
________________解せぬ。
「おーーい、君達、こんなところに四人だけかい?」
変なおっさんが急に話しかけてきた。
まさか…ユウカイ犯?
カラ「い、いや僕ら…食べても美味しないから……ほ、ほら、こんな……あはは」
「え?おじさん変な人じゃないよ??ほら、こっちにおいで。」
どうみてもやばい奴やん。
続く。