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File No.1
【登場人物】
三宅…依頼人。
宴…殺し屋。
白…掃除屋。
黒…掃除屋。
燕…運び屋。
犬見…探偵。
灯…仲介人。←New!
「こんにちは。依頼人の三宅さんですね!私は灯と申します。早速ですが、担当のものに引き継ぎますので…黙ってついてきてくれますか?」
やたらトーンの高い声。何となくとってつけたような印象の笑顔をした男…仲介人の|灯《ともる》だ。
依頼人である三宅の返事を待たず、さっさと歩き出してしまう。慌てて三宅は後を追った。
灯は軽快な足取りで、築30年は経っていそうな古いビルへと入っていく。
「あの…ここにいらっしゃるんですか?」
「“黙って“ついてきてくださいね〜!」
薄暗い中だと、その笑顔はより不気味に見える。
灯は突き当たりにあるロッカーに手をかけた。
すると、ロッカーが動いて空間が現れる。…階段だ。
「地下…?」
「“黙って”ですよ、三宅さん!!」
三宅はそっと口を手で塞いだ。
割と長い階段を降りていくと、やけに重厚感のある扉が見えてきた。
灯がカードキーを当てると、音もなく開く。三宅が灯を追って入った途端、扉はまた閉まった。
そこには、街があった。
通路が伸び、両脇に扉が並んでいる。天井には電灯。壁にはところどころ落書きがある。
「ちなみに…三宅さんの依頼は、佐々木颯の殺害ですよね?」
頷くと、灯は良いですね〜、と笑った。
「夢があるのは良いことですよ!ここにも、夢を持った人間がうじゃうじゃいます」
虫みたいな形容をする。
「あ、殺害はご自分でなさるんですっけ?」
恐る恐る、三宅は頷いた。あいつは、自分の手で殺さないと気が済まない。
「今なら他人に頼むこともできますよ!どうします?」
「…自分で、します」
「は〜い、了解で〜す!」
明るく言って、灯は一つの扉の前で立ち止まった。殴るようにノックし、返事を待たずに扉を開ける。せっかちなのだろうか。
「白さ〜ん。依頼人を連れてきましたよー!」
「でかい声出さないでよ馬鹿!!!」
黒が金属バット片手に出てきた。物騒なものを振り回されても、彼女の腕力では気絶程度である。
「危ないじゃないですか!三宅さん、一般人なんですよ?」
「……これだからあんた、嫌い。…言っておくけど、復讐したらもう戻れないから。人を殺すって、そういうこと。それで後悔しないわけ?」
「後悔はしません」
キッパリと言い放つと、黒は分かりやすく顔を顰めた。
「…僕は止めたからね」
「黒、そいつあたしの依頼人だからね??」
横手から顔を出した白が黒の首根っこを引っ掴んで奥の部屋へと放る。
「えーと…初めまして。あたしは白。掃除屋」
「…三宅です」
「佐々木の居場所特定に時間かかるからさぁ、あんたはもう帰っていいよ。1人で帰れるよね?」
これお土産、と酒瓶を渡してくる。|空《から》なんだが。
三宅を追い出すと、白は灯に向き直った。
「なんであたしに持ってきた?めんどいんだけど」
「いいじゃねえか。どうせ後々お前に死体処理頼むんなら、最初っから回したほうが楽だろ」
「時短すんなよ!…犬見の方が向いてんのに」
「あ?あの探偵ぃ?あいつ、絶対三宅に肩入れするだろ」
「勘違い乙ー」
戻ってきた黒が煽ってきた。
「宴並みの災厄だから、あれは。正義とか大っ嫌いでしょ」
「あんたが語るな」
白が黒を蹴り飛ばす。今日も黒は足蹴にされる運命にあるらしい。
「ま、いーけど?料金多めに請求してやろ」
金を愛する白は満面の笑み。その“多めの料金”は結局2割灯に取られるのだが。
仲介人の“灯”はたおやか食パン様が提供してくださったキャラです。動かしやすさは作中屈指です。嬉しい