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考え中3
野生のごりら
コンパスを頼りに南の方向へ進んでいく。あれから丸一日くらい経っただろうか?昼夜問わずひたすら歩き続けている。水も食料も底を尽き状況は絶望的。村を目指すも先に体力が尽きてしまいそうだ。
「そろそろかポス村か。パーロの両親には合わせる顔がないな。。」
あの事故から一件俺たちの精神は参ってきている。ネガティブな思考に打ちのめされる
それでもひたすら歩いていると開けた土地についた。全体が柵で囲われてて、畑もある。まさにカポス村だ。
ただ、家は崩れ柵は崩壊し畑は荒れている。。
村に入ると、村民が普通に死んでおり、見る影もなく崩壊している。
「うそ…でしょ?」
アヤが絶望した顔で家に向かっていく。家の壁には穴が空き天井が崩れている。そして、崩れた天井に下敷きになっているアヤミさんがいた。残念な事にすでに息を引き取っていた。
アヤはその場で泣き崩れ嗚咽する。
俺は可哀想なアヤを見てられなくて村を散策する事にした。まだ生きてる人がいるかも知れない。パーロの両親は残念ながら、他の村民まで皆殺しのようだ。。子供達まで実に凄惨な現場で酷い。誰がこんな事を!
残るは村長の家か。村長はおそらく村を1番に考えて1人だけ残るような柄じゃない。この状況じゃ期待もできないな。
壊滅した村長の家に行くと予想通り胸部を刺された村長が横たわっていた。ただ側に日記が落ちている。
俺はその日記を拾い読み始める。読もうとしたが、なんて書いてあるか分からなかった。これはこの辺の言語じゃない。どこの?村特有の言語なんてないしこの辺は共通言語で通ってるはずだ。なぜ読めない文字で書いたんだ?いったい村長は何者なんだ?カポス村が滅ぼされた訳、村長の出自、読めないの日記。謎は深まるばかりだ。
俺は日記を貰い、アヤの元へ向かう。
「この3日間で村に何かあった事は確かだ。悪魔の仕業かも知れない」
「ごめん、もう何でもいいや。レイ、私を1人にして、」
アヤは泣きながらそう言うと全て諦めたかのように笑う。まだ俺がいるのにな。。
アヤはそれから一言も発さなくなった。声を掛けても無視。何も1人で出来ない。いわゆる廃人だ。いつの日かベットから目も覚めなくなった。理由は明確にわかっている。ただ俺は何もしてあげられない。パーロならなんとかできたのかもしれないな…あの時パーロじゃなくて俺が死んでれば…まずいなネガティブ全開だ。パーロは生きてる可能性だってある。それにあいつは簡単に死ぬようなやつじゃない。
俺はそれから毎日のように悪夢にうなされた。
パーロの別れの場面に泣きながらアヤの最後の言葉が夢で無限に繰り返される。
「どうすれば3人無事で助かったんだ?どうすればアヤは目が覚めるんだ?教えてくれ、誰か教えて…」
泣きながら地面に這いつくばる。もうどうしようもないんだ。次悪魔に出会ったら2人とも殺されてしまう。迂闊に村を出られない状況なんだ。俺は孤独だ…
「それはね、あなたがやりたい事をすればいいのよ。約束とかあったでしょ?」
突如として地獄の回想の中少女の声が聞こえる。不思議とその声はどうしようもない状況でも俺の心が和らいだ。
俺のトラウマの繰り返しが辺り一面光っている空間に変わる。その空間はほわほわしていて心地よく、泣いていた俺を空間が慰めてくれてるような感覚だ。
ただやはり少女の見た目は思い出せない。目の前にも現れてくれない。でも、それでも俺は十分元気を貰えた。この状況を打破するくらいの元気は貰えた。
そして夢から覚める…。
起きると壊れた家を軽く直したようなガサツな風景が見える。ベットにはアヤが横たわっていて言わずもがな目は覚めていない。
やっぱり夢と現実は違うんだなとつくづく思う。神様はどうしてこんなに辛い事を俺にさせるのか…。いや、アヤやパーロもきっと辛いはずだ。こんなこと思うのはやめよう。
俺は気を取り直しパチンと両頬を叩いて喝を入れる。
「今の状況を整理するとパーロとは逸れて村は滅ぼされアヤは仮死状態か…」
とりあえずライネンスに向かってパーロと合流が優先なんだろうけどアヤをどう運ぶかだな。おぶっていったら時間はかかるし悪魔との遭遇率も上がる。それに食料も少ない。かと言って馬を引いて行っても森だから歩きずらいよな…。
ライネンスに着いたとしてもお金がない。医者にアヤを診てもらうことも出来ないし泊まる宿もない。まさに絶望的だ。
ただいくら現状に悲しもうと改善されない。俺は落ちてる木の棒と廃墟にあった糸で釣竿を作り釣りに向かう。まずは夕飯だ。ご飯がなければ生きてはいけない。
「釣りをしながら考えるとするか、」
俺は川に竿を投げ釣りをする。数十分が経った頃ようやく1匹釣れた。サイズも良く今夜の晩御飯はクリアだ。
そしてある程度この状況を打破する解決策も思いついた。
待ってろよパーロ、そしてライネンス。
1ヶ月後…アヤは変わらず寝たままだ。そしてびっくりな事に水も食料も取らずに姿を維持している。痩せ細るわけでもなく老けてもいない。何が原因かは分からないけど不幸中の幸いだ。
それから新しく小さな家も建て馬小屋も修理した。食料もある程度備蓄できたし明日いよいよライネンスに出発だ。
家に入り寝たきりのアヤを見つめる。前みたいにけろっと起きたりするんじゃないかって毎日思う。ただそんな事は起きやしない。たまには夢くらい見させてくれても良いのにな。
「おやすみ、アヤ」
俺は布団に入り眠りにつく。
日の光が照らしてくる、、、朝だ!俺はバビューンと布団から両手をあげて起き上がる。毎日の日課だ。起きるのは10時くらいだけど…
そしてあれから悪夢も少女の夢も見ない。まあ必要無いって事だ。
俺は支度をして馬を引き荷台を用意する。簡易的だが馬車の完成だ!荷物とアヤは荷台に乗せ俺は馬に乗り荷台を引いていく方法だ。実に名案
馬なら歩きより早いし森といえど何度か試して乗りして上手くやればスムーズに行ける事が分かった。まさに準備万端。
最後に埋葬した村の人たちに黙祷をして馬を引き森に入っていく。。
俺の計算だと最短距離で夕暮れから夜にはライネンスに着く予定だ。たとえ付かなくとも、一泊できる準備はしてある。
パカラッパカラッと歩く音と共に順調に森を進んでいく。辺りは少し暗くなってきたかな程度問題なく進み続ける。
2時間ほど歩くと辺りは真っ暗だ。ただ明かりが見える。そう町の明かりだ。そろそろかと思いつつ俺はあかりの方に馬を引く。
町に着くとかつて見た事ないような明かりが灯している。キラキラと輝いていて活気に満ち溢れている。夜なのに人が樽のようなものを片手に持って笑顔で話しているのが遠くに見える。これが町か…と思いながら入る。だが勿論門番がいてこちらに駆け寄ってくる。長い槍のようなものを持っていて、明らかに強そうな見た目をしている。
「こんな夜更けに何用だ?貴様は何者だ?悪いが怪しいならお断りする」
まあ当然の反応だ。どこのどいつかも分からないやつが荷台に女の子連れて馬を引いているんだからな。
「怪しいものではない。小さな村から安全な町に逃げてきたんだ。」
「ほう?その村は何と言う?まさか名も無き村なのではなかろうな」
警戒した様子でこちらを威圧してくる。槍を持ってるから正直怖い。
「カポスと言う小さな村だ。一つ聞くが1ヶ月ほど前巨体の男がカポス村というとこからここに来なかったか?逸れてしまって、」
「カポス村か…悪いが聞いた事ないな。それに巨体の男も知らない。ただ貴様は悪魔では無さそうだ。こうやって普通にコミニケーションが取れるのだからな。失礼した!通って良いぞ」
威圧していた怖い顔が笑顔に変わる。どうやら試されたらしい。どっちにしろ問題なく町に入れたのは良かった。。
そうして始まりの町に入れたレイであった…
3話目完成です!リアル味増すとちょ〜っと暗くなるの良くないですねぇ。次は奇跡のような感じで進めていこうと思います。テンプレで言うと異世界でお嬢様様を救う、的な。