公開中
episode.4 放課後の悪夢
蓮斗が見た、華と斗真が別れるという衝撃的な夢。
さて、「正夢」とは何なのだろうか。
人を悲しみに陥れる残酷なものか、はたまた喜びに満ちるよう仕向ける驚異的なものなのか。
真相は果たしてどちらなのだろうか。
ひばりヶ丘のバスケ部、ひばりヶ丘ドルフィンズは、区大会二連覇に向け、始業式の翌日から動き出していた。
また、女子バスケ部キャプテンと男子バスケ部キャプテンが付き合ったという噂が流れ始めたのはその頃であった。
---
--- **甘いだけじゃない、青春のすべて。** ---
--- *episode.4 放課後の悪夢* ---
---
授業が終わるなり、山本華は体育館へと歩いて行った。
ひばりヶ丘ドルフィンズ、通称「ひばドル」は、放課後に練習があるのだ。
体育館に足を踏み入れる。だが、いつもと雰囲気が違うことにすぐ気づいた。
四、五年生がこちらを見てヒソヒソと何かささやいている。
そのうち、五年生の星羅が華のそばに寄ってきた。
「ねぇ、華。白木と付き合ったってホント?」
「えっ!なんで知ってるの!?」
「やっぱりそうなんだー。秋が言ってたよ!」
秋…?
「秋から聞いたってこと?秋は、他のみんなにも言いふらしてるの?」
「うん。沙耶ちゃんとかにも言ってたよー」
「あーー…」
「あ、練習始まるって。行こ!」
「うん…」
胸の内で渦巻く、灰色の気持ちを抱えながら華は練習に臨んだ。
---
練習が終わり、帰宅の準備をしていると、右に斗真が立っていることに気づいた。
「ねぇ、斗真」
「なに?」
「秋が言いふらしてるっぽい」
「俺も思った。男子の中でも広まってるよ」
「やっぱりそうなんだ…秋に言った方がいいのかな?」
「うーん…すぐ噂消えるだろうし、とりあえず放置すれば?」
「そっか。ありがとうー」
秋が斗真に駆け寄って来たのは、その時だった。
「斗真ー!LINEのアカウント変えたからもう一回交換しよ!」
「いいよー」
「QR見せてー!」
「これかな?」
「ん、ありがとう!いつも思うけど、斗真のプロフィール写真て可愛いよね!」
「そうー?」
「可愛いよー!あ、とりあえずスタンプ送ってみるね!」
「よろしくね♡ってなんだよー!」
「まあまあ、あ!私、沙耶と一緒に帰るんだった!バイバイー」
「じゃあねー」
もう一回?いつも思う?可愛い?♡?
頭おかしいのコイツ!?
人の彼女の前でその彼氏横取りするつもりなの!?
華の胸の中は、灰色なんかではなく、どす黒くなっていた。
──あ、私、付き合うなんて向いてないんだ。
華の心は限界に達していた。
「斗真」
「ん?あ、さっきはごめ…」
「別れよ」
いつの間にか誰もいなくなった体育館の中で、冷たい声が凛と響いた。
「ごめんね、私、昨日、喜んでとか言ったくせに。私の心が弱いから、狭いから、こんなことになっちゃって。」
「俺の方こそごめんね。別れよう」
斗真は、あっさり別れを認めた。
そうだ。どうせ私への想いなんてそんなもんなんだ。
斗真はただの女垂らし。秋はただの男好き。私の中の二人はそれでいい。
私も、あんな斗真と付き合った時点で馬鹿だった。
あんな奴と付き合わなければよか…
いつの間にか涙が溢れていた。元彼の視線なんて気にせず、“想い“のまま走る。
どれだけ雨が強くても、激しい雷が鳴っていても、足を擦りむいても、憎しい友を追い越しても、華は走った。
息を切らし、家に着くと、玄関前に──岩井友香が立っていた。
玄関の光が涙で滲む。
「予想通り。話さない?」
この子と友達になって良かった。
「…良いよ」
やったー!と友香が手を上げる。
人が目の前で泣いているのにな。そう思うと、自然に笑みが出てきた。
「今日、泊まってく?明日土曜日だし」
「いいの!?ママに電話しよー!」
携帯を取り出す友香の隣で、華は思った。
いい友達持ったな、私。
今回も字数少なくなってしまいました…
第五話からも読んでくれたら嬉しいです!
応援よろしくお願いします!
Bieber.h