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四季折々・推理小説部 #6
翌日、授業が終わり、部活の時間。
秋音たちは先日宣言した通り、料理部の活動を見学しに来ていた。
ちなみに冬希は補習があるため欠席している。
「冬希、すっごい悔しがってたね……」
必死に笑いを堪えているのか、肩が震えている夏葉だった。
「副部長ってたまに腹黒いっすよね」
苦笑する春汰。
「それじゃあ、料理部を観察__ちょっと言い方が悪かったわね、訂正するわ。料理部を見学しましょう、ね」
秋音がそう言ってから、早数分。
「なーんにも起きないっすねー……」
途中、楓が砂糖の分量を間違えて詩音に怒られたり、美風の着けていたエプロンの紐が解けてしまって、それを快人が直してあげたりなどはあったものの、目立ったトラブルは何もなかった。
刹那、夏葉がバッと顔を上げた。
「《《いや、あった……手がかり。推理の、ピース》》」
「ええ。そうね」
にいっと不敵に笑う夏葉。最初から目星はついていたという秋音。
「え、え? ちょっ、先輩方?」
困惑を隠しきれない春汰の肩をポンっと叩き、秋音は、
「心配しなくても大丈夫よ。解決編の幕はもう上がったわ」
と宣言してみせた。