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四話
私は、この世のすべてが嫌い。
嫌いなものが多いと生きづらいのは頭ではわかっているけれど、一度嫌いになったものはそう簡単には好きになれないということも知っていて、実際好きになれていない。
無理に好きになってもそれは本当の“好き”ではないってことも知ってるけど、やっぱり生きづらい。
外の風は冷たく、もう学校も冬休みに入る。
夜にはイルミネーションの灯りが私を照らし、このみすぼらしい顔を目立たせる。
店に入ればクリスマスの曲が流れているし、クリスマスの装飾がなされている。
街中を歩いているだけで「クリスマスどこいくー?」とか「ケーキ予約したー?」とかいう楽しそうな会話が聞こえてくる。
一瞬過ごす人がいて羨ましく思うが、ノイズキャンセリング機能のついたヘッドホンをつけて脳内を静かにする。
そして好きな曲を爆音で流し、気持ちを落ち着かせる。
私は他人の幸せそうな声、表情、雰囲気が嫌いだ。
きっと自分に無いものを持っている他人を羨ましく思っているのだろう。
羨んでしまう自分もまた、嫌い。