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なるほど、ここが海花街ですか
ほぼ電車
ガッタタタン、がたたったタタタン。
もうこれ車両の振動どころじゃねえだろ。地震だろ。
強烈に揺れ続ける走る棺桶に生死を預け、カバンを抱えて震えながら俺は思う。
恐怖、恐怖、また恐怖。
いつの間に俺の脳内では、◯亀製麺madの替え歌がエンドレスで流れている。
〜〜〜〜
なぜこんな事に なっているのか
なぜ正規の電車じゃないのか
答えは簡単まじでわからない
イライラする ◯亀製麺
なぜ…
〜〜〜〜
信じられんかもだが、脳内のこれに耳を傾けないと精神が爆発して発狂してしまう。
おそろしいおそろしい。というか理由マジで何だっけ。
ここに至った経過が全くわからない。いや思い出せない。
全て全てが恐ろしすぎて頭が正しく働かない。
丸亀のうどんおいしかったなあ…
今俺の頭の中に流れている情報は、これがあと7分続くということと、目的地が「海花街」であるということ、あとこのくそmadの3つのみ。
車内テレビのみ不似合いにも新品で、そこに造120周年の宣伝とともに海花街駅までの時間が表示されている。
造120年なんて一車両としては特大デバフだと個人的には思うのだが、何を血迷うたか車内テレビの中にいる某霊夢はこれをイケイケで宣伝している。
おう、なんで?
というか、俺海花街に何しに行くんだっけ?思い出せない。
しょうもない理由だとしたらおしまいである。
と、次の瞬間恐ろしい高音が耳をつんざいた。
人生でも初めて聞く、巨大な金属音である。
途端、空間が跳ね上がる。
俺はその一瞬で、何が起きるかを察した。
虚無の無重力状態もつかの間、
**ガッタン!!**
ゴスッ!
いっで!
電車が一瞬空を飛んで豪快に着地し、中で跳ね上がった俺は天井に一瞬めり込んだ。
そして見事に力尽き、シートに再び落下する。半分気絶である。
恐怖の峠を踏み越えたのか、何故かさっきよりだいぶ冷静になった。
車両を操る運転手殿に物申したくなる。しかし見てみると彼は今、修羅の形相で頑張っているので文句は出せない。
あの顔をなんと言うのだろうか。不動明王?魑魅魍魎?少なくとも俺にはわからない。
頭をぶつけた影響か、これまでの経緯を思い出せるようになった。
これより時系列順。
1.まず午前8時、俺はいつの間にか出来ていた海花街なる場所に越していくべく、
2.俺の住む某市から電車を求めて駅に行った。
3.学校も家も諸々の日用施設もみんな某市にあるので、普段は電車、使わなかった。
4.というか今日が電車デビューである。
5.そして最寄りの駅に入って、違和感なく電車に乗って、発進して、今これである。
6.うん、なんで???????
いうほど時系列か?
と、車内にアナウンスが響く。
『まもなくぅ、海花街ぃ、海花街ぃ。皆様ぁ、いや一人しかいませんがぁ、このくそ列車ぁをご利用いただきぃ誠にありがとうございましたぁ。』
くそ列車の自覚あんのかい。
程なくして揺れも収まり、やがて駅についた。
ようやく窓の外を見る余裕が生まれた。
見てみると、一面海である。
ワーオ。
とりあえず散歩をしたくなったので、俺は電車を飛び出した。
街中を歩いているうちに、俺は事のあらましを思い出した。
今俺は年齢にして高1だが、学校には行っていない。
義務教育の対象外なので、理論上は普通に働けてしまう。
うちの親にはカネがないので、自分の身は自分で養わんと思いコンビニでバイトを始めたんだっけ。
そんでもって時給990円で毎日10時間労働していたら、半年目に正規雇用されたんだっけ。
そんでもって店長として仕事が増えたので15時間労働に切り替えて生活していたら、マンモスデパート海花街店の店長に任命されたんだっけ。
労働万歳!
働くのは明日からなので、今日は適当にそこらを見て回ることにした。