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悪魔の君と
俺は|波瀬塁斗《なみせるいと》。
視線を感じる。
学校帰りや、買い物をしているときなどに視線を感じる。
しかし、最近は家の中にいても視線を感じるようになってしまった。
ハッキリ言ってめっちゃ怖い。
そんで、友達にこの事話したら、
「バカかよ。お前考えすぎだって」
と言われ、笑われてしまった。
少しぐらいは心配してほしい。
そして、今日も視線を感じる。
俺は考えた。
視線を感じたときに思い切って振り返れば視線の正体を知ることができるのではないかと。
あっ!
視線を感じた。
俺は思い切って振り返る。
俺が目にしたのは、悪魔のような見た目の女だった。
「へ……?」
思っていたものとは違ったため、俺は思わず声が出た。
女は、俺の目の前まで歩いてきて話しかけてきた。
「私は悪魔です。私はあなたのことが好きになってしまいました」
……?
どういうことだ?
目の前の悪魔が言っていることが信じられなかった。
「それは、どういうことだ?」
俺が聞くと悪魔はケラケラと笑って言った。
「そのまんまの事ですよ。あなたの事が好きなんですってば」
……。
これは大変なことになってしまった。
そもそも、俺はコイツに会っていない。
つまり、好かれるようなことはしていない。
それなのになぜ?
悪魔は、俺の考えを見透かしたようで
「今、私に好かれるようなことはしていないって思ったでしょ。実はしてるのよ。
私が、人間になって過ごしてた時にヤンキーの奴らから助けてくれたでしょ。
だから、私はあなたの事が好きなの」
そういうことだったのか……。
すると、悪魔が俺の手を握って質問してきた。
「それで、答えはどうですか?私と付き合ってくれますか?」
俺は、ゴクリと唾をのんで答えた。
「今は答えられない。お前が人間になって俺の学校に通って、その時の態度とかを見て決めたいんだ」
「しーん」と悪魔と俺の間に沈黙が流れる。
ヤバいかもしれない。
そう考えたその時、悪魔はニコリと笑って「いいよ」とOKしてくれた。
彼女はそう言い残すとふっと消えてしまった。
今のは夢だったのか。
そう考えながら家に帰った。
次の日学校に来ると、俺のクラスに転校生が来た。
もしやと思って転校生の顔をじっと見るとあの昨日の悪魔だった。
「魔野由梨《まのゆり》です。これからよろしくお願いします」
それから、彼女は自分の席について、一限目の授業が始まった。
授業が終わると由梨の周りにはクラスの女子たちが集まり、話していた。
それから、二か月後
俺は由梨を呼び出した。
俺は一度深呼吸をすると話し出した。
「お前の学校での生活を見て好きになった。付き合ってくれ」
由梨は驚いたような顔をした後笑って「もちろん」と答えた。
そして俺は悪魔と付き合うことになったのだ。
結構長くなったから疲れた……。