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無敵!素敵!!袖ビーム!!!
袖ビームとは…
ガードレールの端の丸まっている部分のことである。
運転手と歩行者を事故から守る上で重要な部分。
袖ビームに魅せられた教授がいた。
建築学科において名の知れた教授だった。
彼の独創的、熱狂的な講義は受ける生徒を選ぶ。
ある意味芸術的だとも評されている。
実は袖ビームには色々な種類がある。
教授は錆びついた袖ビームに歴史と哀愁を感じる。
袖ビームのデザインで土地柄も分かる。
彼が芸術的だというのは本当だ。
建築に関する論文を書き続けて三十年の節目に芸術的な袖ビームを作った。
正確には袖ビームを作る機械だ。
その機械から光線を出し、ガードレールにするという。
光線はあらゆる物質を低反発に弾く緻密な計算がされており、車がぶつかっても衝撃を素早く吸収するという。
光線を普通に放射すると進行方向上の物に小さく跳ね返りながら地球を何周もすることになる。
そこで袖ビームだ。
最適な袖ビームの形を計算し、光線の制御システムに組み込む。
これでガードレールの形を保つ。
袖ビームがビームを抑える設計だ。
大安吉日、
世界一美しい袖ビームを公表する日が来た。
発射直前まで教授の研究室の人達は計算を確認していた。
失敗は許されない重要なミッションである。
そして遂に全長5km、幅10mの光線が徐々に伸びていく。
袖ビームはリールのように動き、白い帯を繰り出している。
失敗は一瞬だった。
光線は袖ビームから離れ飛んでいった。
その場には袖ビームだけが残っていた。
〜百年後〜
カンカンカンカンカンヵ…
踏切が開く。
少女が尋ねる。
「何で電車が通ってないのに踏切があるの?」
母親が答える。
「昔、偉い人が間違えて危ないビームを撃っちゃったの。」
少女は理解できていない様子だった。
あの人の放った光線は今では同じ周期を跳ね返りながら進んでいる。
今では当たると人体に影響があることが分かって光線の通る道は人が入れないようになっている。
狭い場所で反射させると熱エネルギーが暴発するのでこれが最善だ。って言ってたな…
「お母さん、後でもっと詳しく教えて!」
自由研究にしたいらしい。
「それ以上は公表されてないの」
この親子の先祖が教授に当たる。
そのことを少女は知らない。
この後少女は光線について調べ始めたので「リメンバー・ミー」みたいな展開になった。
サイレン、入道雲、好奇心