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星霜のダミー
「………………………………っ」
いつもと違って明らかに重い目を開ける。
昨日はそんなに夜更かしした覚えはなかっかけれど。
いつもの見慣れた天井。
視界の端に少し映るディスプレイの青い背景。
機械類の独特な少し鼻につく匂いと、それをかき消すかのようなアルコールのつんとした匂い。
僕が現在|研究しているもの《・・・・・・・・》を保管する際に使う、こぽこぽという液体の音。
僕は|それ《・・》を想定していた。
けど、そこに見えたのは……。
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「え、ここ、どこ…?」
いつも通りの光景を想定していたのに、全く似ても似つかないような光景が広がっていた。
何となく部屋全体がオレンジっぽい暖色系で、いつもの冷たい蛍光灯とは違い、暖かいおしゃれな照明。
生物の気配なんて自分と|研究物《・・・》しかない部屋だったのに、観葉植物が窓辺に飾られている。
まるで「出来るおしゃれな人の部屋」を作りましたという感じの部屋だった。
まるで僕の部屋の正反対だ。
いつも視界の端に見える男にしては長めの肩まで着く水色の髪も、黒色の短髪に変わっていた。
慌てて飛び起きようとしたものの、想像以上に重く、高い体に慣れず、立ったもののふらついてベットに倒れ込んでしまった。
「いっっっ………!」
ベットの上についている棚に頭をぶつけて、思わずうなる。
声は、ハスキーじみていて、かと言ってガラガラでもない。いつもの自分より少し低い声だった。これをイケボというのかもしれない。
「あいうえお、あ、あ、あ、こんにちは〜、わーわー」
色んなことを喋る度に、より不思議になっていく。
まずこの人は誰か。人なのか。体の作りはそれこそ人間だが、顔がどうなってるのか知らない。1つ目かもしれない。
怖くなったので、目を瞑って顔に触れてみると、人間らしきことが分かったので、ひとまず安心した。
いやいや、安心している場合じゃない。
周囲を見渡すと、小さな机の上に腕時計とスマホ、財布。壁にはスーツ、シャツ。
あと植物、インテリア。
(あまりにも、ものが少ないっっっ!!)
元々の僕の部屋は、ぐちゃぐちゃ、とまでは行かないと思いたいが、結構ものがある。
第一パソコンが無い部屋なんて、人生で初めてかもしれない。旅行なんて行ったことないし、行ったとしてもパソコンは持っていく。
とりあえずスマホを手に取ってみた。
シンプルなグレーのスマホケースで、スマホは何年か前の少し古い機種だった。
何か身分がわかるものがないかと思い、スマホケースを外してみる。
「ヒットォ。」
身分証明書、免許証が入っていた。
後で確認したら、財布の中にもクレジットカードがパンパンに入っていた。
まだ鏡で確認したことのなかった顔写真―――かなりイケメンだった―――が印刷されており、名前もわかった。
「きさらぎ、、燼?」
漢字が読めなかった。
下にふりがながふってあったので見てみると、「じん」と書いてあった。
「どういう意味なんだ…?」
と思いつつ、学歴などの欄に目を移す。
「重要なのは、勤務先だよな…もう遅刻かもしれないし…」
と思ったが、あいにく学歴しか載っていない。
とりあえずすぐそこにあったホチキスで止められた紙に手を伸ばすと、なんとまたヒット。
「………合格書か」
どこに合格したのか、はたまた不合格で現在ニートなのか、どっかの知らない誰かのことだけど、ドキドキしながら紙をめくる。
「合格かぁ」
一気に肩の力が抜けて、ふぅー!と息を吐く。
他人事なのに、こんなに本気になったのは数えるくらいしかない。
(どこに合格なんだろうな)
そう思いよく目を通すと…………、
「えええええええええええええっ!!!国学!?!?」
驚いて足を滑らせ、燼になって2回目の激痛を頭に感じた。
曖昧な終わり方ですみません!
このつたない泡沫と、燼をよろしくお願いします!