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ありがとう、さよなら
おさね
「俺、#おさね#のこと大好き!ずっと一緒だよ!」
「私も大好きだよ、シャル!ずーっと一緒、約束だからね!」
あの時交わしたあの言葉にはいったいどんな意味が込められていたのだろうか。ただ一つわかるのは、あれがシャルが私についた最初で最後の嘘だったということだけだ。
私とシャルは幼馴染だった。昔流星街に住んでいた時から一緒だからもはや家族も同然だ。シャルは私のお兄ちゃんみたいで、出来の悪い私をいつも支えてくれていた。
旅団が結成されてからも同じですごく頼りにしていたしシャルに対しては他のメンバーとは明らかに気持ちの大きさに「差」があった。
シャルがこうするなら私はこう動こう、私もシャルが頼ってくれるくらい強くなろう、動機のほとんどがシャルだった。フィンクスに
「お前って本当にシャル、シャルって、たまには自分で考えて動けば良いのに。」
といわれるほどである。でもそれくらい、シャルが大好きで大好きでたまらなかったし、いつも助けられている分、私も頼られるようになりたかった。
「でも結局最後まで、私は頼られるどころか足手纏いになっちゃったね。」
今私は、昔流星街でシャルと作った秘密基地にいる。子供ながらにちゃんと設計して組み立てたから、今もこの基地は昔の形をそのまま保っていた。でも、隣にシャルが座っていることはもうない。あるのは土に逆十字架を立てて作られたお墓だけ。
「シャルが死んでもう1年経つけど、まだ全然受け止めきれてないや。だめだね、こんなんじゃ。またみんなに気を遣わせちゃう。」
お墓に向かって話し続ける。返事など帰ってくるはずもないのに、許してもらえるはずがないのに、ただ一人懺悔する。
「ごめん、ごめんねシャル。あの時私がもっと強ければ、シャルが自分を犠牲にしなくても良いくらい、強かったら、今でもシャルはみんなと笑えてたのかな。」
涙で視界が揺らぐ。声が震える。私が泣いたところで、シャルは戻ってこない。私が謝ったところで、シャルは許してくれない。こんなのただの自己満足だ。わかっている。わかっているけど止まらない。
「本当に・・・ごめんなさいっ・・・。シャルはもっと生きていたかったよね。私もシャルに生きていて欲しかった。私を助けてシャルが死ぬくらいなら私が死んだ方が・・・」
「そんなことないよ」
私に被せるように聞こえた声。いつも私を励ましてくれた、優しい声。その声の先には、太陽のように暖かく、月のように優しい笑顔のシャルがいた。
「俺の方こそ、先に死んじゃってごめん。約束を守れなくてごめん。でもね、俺は#おさね#に生きてほしいと思ったんだ。今は辛くて寂しいかもしれない。でも生きていたら必ず良いことがあるよ。俺のことなんて忘れちゃうくらいにね。うーん、でもそれは俺が寂しいかもしれないなぁ。」
少しおどけて見せる。本当に、目の前にシャルがいるんだ。そう思うともっと涙が込み上げてくる。
「っでも、私、シャルのことなんて、忘れられないよ・・・。シャルがいなきゃ、何もできないよ・・・。」
震える声の私を慰めるようにシャルは私を抱きしめた。
「大丈夫。そばにはいられなくても、俺はいつでも#おさね#を見守ってるから。離れていても、一緒だよ。」
シャルはあったかいなぁ。ずっとこうしていたいなぁ。でも、シャルも私も、そろそろお別れだということを悟っていた。私はシャルを強く抱きしめてこう言った。
「シャル、ずっと大好きだよ」
「俺も、いつまでも大好きだよ」
言い終わると同時に、シャルと唇が重なった。それだけで、全てがわかった。言葉なんて、いらなかった。やっぱり両思いだったんだね。最後にわかって嬉しかった。
シャルの魂が天へと昇っていく。その最後の欠片が消えるまで、シャルを抱きしめ続けた。
「バイバイ、シャル」
ーあれからだいたい3年経ったが、私は未だにシャルの死を受け止めきれていない。3年という時間は短いようで意外と長く、私は昔よりもかなり強くなった。でも、まだシャルには負けるくらいだ。
生きていたら、シャルはもっと強かっただろうな。そんな事を考えてしまう私はまだシャルに取り憑かれているのだろう。でもそれで良い。だからこそ私はこれからもっと強くなろうと思える。
私が死んだ時に
「もうシャルに助けてもらわなくて良いくらい、強くなったよ!」
って、報告できるように。
今にシャルを追い越して見せる。約束するから、遠くで見てて。そして今度こそ言葉で伝えるんだ。
一生分の「ありがとう」を。
初めての投稿でまだ把握しきれていない機能もあるので、抜けているところがあったらごめんなさい!
おさね No.1