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簡易契約の死神ちゃん 第四話:七不思議その一 トイレの唯子さん【上】
この世界は、大嫌いな事には目を逸らす人間と、あえて目を向ける人間がいる。
少女は、辛いことがあると目を逸らし、逃げる。大丈夫、と、言い聞かせながら。
後ろから影が追ってきていることにも知らず。
死「よし、琉斗くん。さっそく、向かうよっ!」
琉「その頭が羨ましいわ…」
ス「頑張れ琉斗」花「いてらー!」
そう会話したのは、俺、白金琉斗と、親友の青山スバル。腐れ縁の桃縄花枝と、死神ちゃん。コイツだけ訳分かんないかもしれないけど、その名の通り死神だ。
俺がこんなこときなったのは、訳がある。
読者の皆さんが1話から読んでいるなら分かる通り、俺は、階段から落ちて死んだ。
そして、三途の家で死神ちゃんと会ったんだ。
本来なら俺はあの世に逝く予定だったんだけど、なんと死神ちゃんは期間を1年間伸ばし代わりに七不思議を解決するようにと簡易契約を持ち掛けた!
俺は簡易契約を結んだが、判明している不思議は五つ。
本当に七不思議なのだろうか…。
「琉斗くん、行くぞよ。」
「ああ、うん。どこのトイレなんだ?」
今回解決する七不思議はその一、トイレの唯子さん。花子さんじゃないんだって。
どうやら放課後の6時になったら、女の子の泣き叫ぶ声が聞こえるらしいが…
ベタなんだよな。あるあるすぎる。
「…琉斗くん?今、あるあるだとか思ったよね?」
「っっっっ!?さ、さぁなぁ?」
「誤魔化そうとしても無駄だよ。嘘下手だね。」
「ったく!いいから発生場所教えろ。」
「はーいはい。唯子さんが出るってのは、ここの北校舎の多目的トイレ。
にしても古いね。ホコリ臭い。君の校舎は綺麗だったのに、何よこの落差は。」
「人の校舎に勝手に文句を…」
「君所有のモノじゃないじゃん。」
「そこじゃねーし!」話が進まない…はぁあ。
「まぁまぁ。まだ5時半だし、しばらく待ってよーよ。」
「そうだな。」
2人で廊下に腰を下ろす。
「そういえば死神ちゃんって、死神だよな?なのになんでそんな服着てんの?」
「そんな服って!?え、ダサい?」
「いや、そういう訳じゃないんだけど、可愛すぎて。いやほら普通黒いローブ羽織ってるイメージあるじゃん。死神って。」
「えー、イメージに囚われちゃダメだよ?」
死神ちゃんはそう言うが、なんかズレてる気がする。
何しろ、紫のシルクハットに紫のグラデーションの真っ白いワンピースを着ているんだから。
「あっでもね、戦闘時には変わるんだよ!」
「せ、戦闘っ?」
「あれ?言ってないっけ。l
「言ってない言ってない。なにそれ。戦いとかあるの?」
聞いたこともない。
「そっかー。えっと、あんまり厄介だったり、向こうから襲ってきたら戦うんだ。」
「えっ!俺そう言うのわからねぇのに…」
なにしろここまで何も言われてきていないんだ。戦力が無い同然だろ、これ。
「…琉斗くんまさか戦力が無いとでもお思いで?なんのために私が居ると?」
「いやいやいや!ってか、心の中で思った事に勝手に答えるの辞めろっ」
「そ。まぁ、戦いの時は陰で見てなよ。最初はだけど。」
「分かった。」
「あ、後。」死神ちゃんは俺の右腕に着いた不思議な紋様の包帯を指さした。
「これ。君はこれを使って戦ってね。詳しい使い方は後で説明するから。」
「あっこれ、戻る途中に貼ってたやつだよな?」
「うん。取り敢えず観察しといて。防水性だからお風呂にそのままでも大丈夫だよ!」
「母さんにバレたらどうする?」
「普通の人間には見えないようにしてあるから。」
「おー、頼もしい!」
なんやかんや話していると、急に多目的トイレの扉がギシッと鳴った。
「おっ…来たかな?」
身構える。
ギィ…ギィィ…ギギギギギ…
ガコッ
多目的トイレの扉が、開いた。
その中には、女の子が向こうを向いて立っている。
花子さんだったら赤い吊りスカートでおかっぱ頭イメージあるけど…
この女の子は青い吊りスカートにミディアムヘアだ。
「お…ゃ……ね…ん…」
ブツブツと何かを呟いている。
俺らより小柄なのに、謎の威圧感がある。
女の子は急に呟きを辞め、此方を向いた。そして、
「あああああああああああああああああああっ」
と、洗脳されそうな声で叫んだ。なんだこれ。変な感じだ。
「おねえちゃん、うばったの、おまえらかああああああああ」
ガサガサの声で叫ぶ。
お姉ちゃん!?なんのことだ!?
「琉斗くん、落ち着いてっ。この子が唯子さんだよ。多分あの見た目からして、花子さんの妹ちゃんなんじゃないかな。」
「ああ…たしかに。そういえば、この近くの女子トイレで花子さんの噂あったけど数年前に無くなったって言われてたな。だから、奪った…って。」
俺は心を落ち着かせ、唯子さんに歩み寄った。
「唯子さん。お姉さんはもう死んだんだ。君も、あっちへ逝かなきゃいけないんだよ」
精一杯の優しい声で言ったつもりだったけど、唯子さんは更に怒りを募らせた。
「しんだの、おまえらの、せい。ころす、ぜったいに。かたき、うつ。」
唯子さんは唸るように言い、威圧感を倍増させた。
(息が…つまるっ…)
酸欠になりかけた状態で、必死に死神ちゃんの所へ戻る。
「馬鹿っ。下手こかないでよ!もう…」
「ご、ごめん…」
「全く。ほら、彼女怒ってるよ。」
死神ちゃんの言う通り、唯子さんは髪の毛を触手の様にうねらせ、周囲の物を巻き込み髪を伸ばしている。
「なんだあれ…」
「あれは幽霊たちの攻撃法“帯式髪”。髪のある幽霊が主に使う攻撃法だよ。」
「ゆるさない、ぜったいにいいいいいいい」
周囲の物を巻き込み、唯子さんの髪は長くなる。
「もう、面倒臭くなっちゃったなぁ。…琉斗くん、今から戦闘体制に入るから離れて」
「あ、うん…」
死神ちゃんはそう言った。今までに聞いたことのない声の真剣さに、ちょっとビビる。
「フィーナ。ヴィーカス。」
死神ちゃんがそういうと、どこからか真っ黒いカラスのような鳥が飛んできた。
カラスに何か呟くと、死神ちゃんの体はたちまち二羽の黒い羽に包まれた。
…そして、数十秒後、死神ちゃんは今までとは違う服と表情で現れた。
死神らしい真っ黒なローブに、大きい鎌。
唯子さんに負けないほどの、威圧感を放っている。
空気がビリビリ震える中、死神ちゃんは一言。
「パーティーの始まりだよ」
長い!ここまでよんでくれてサンキュー!
7月4日に大地震が来るらしい!怖〜。
ファンレターください!喜ぶから!
次は戦闘⭐️お楽しみに!