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魔物が悪なんて誰が言いました?#24
カリー視点
カリー「…………」
??「…………」
カキンッ カンッ
カリー「くっ………」
剣の撃ち合いの末、まだ決着がつかない。
カリー(こいつ……かなりやるわね……)
??「……やはり、お前にはこれでトドメを刺すべきだ」
今の今まで無言だったが、急に口を開いたかと思えば、意味分からない内容だった。
カリー「私にトドメをさせるとでも?」
??「あぁ」
カリー「ならやってみることね。次近付いた瞬間、お前の首を切ってやる」
??「そうか。ならそれより素早く……」
剣を構え直し、低い体勢へと変わる。
…………どこかで見覚えがある…?
??「この流派で仕留めるのみ」
カリー「……!!」
まさか…ッ!!
??「『|聖魔一殺《せいまいっさつ》・|魔殺《まさつ》』」
カリー「!?」
一瞬の内に懐に入られ、間一髪のところで身を伏せ避けれた。
??「チッ…………傷一つ付かんか……」
カリー「ッッ!!」
ふざけるなよ………今の攻撃は……!!
カリー「魔も……聖をも切り裂く……最強剣技の流派………」
最強剣技だなんて大袈裟な名前付けてまで、人間はその剣技をそれまでに誇りに思っていたのがわかる。
"聖魔一殺"…それは聖に属する者も魔に属する者も一撃で葬ることが出来る流派。
ただ、流派を扱える者は限りなく少ない。
理由は簡単だ。
身体全体の骨と筋肉を限界まで駆使し、やっと一振り出来るのだ。
身体の負担が大きすぎて、もはや人間の肉体ではこの流派を扱うことができない。
天使でも魔物でも、相当の才能を持ち、何十年もの努力でやっと会得できる。
それを………!
??「この流派を知ってると言うなら、話は早いな」
カリー「チッ……」
想像以上に厄介なものね……。
ほかの人達が無事ならいいけれど…。
カリー(カナタの方はどうなって…)
いいえ…、あいつのことだし、そろそろ終わらせ__
カリー「!」
ダダダダッ
??「………………」
目にカナタが映った瞬間、私は戦いを放り投げ走り出した。
あまりにも見えた光景が、危機的状況だったのだ。
カリー「っ!!(間に合え…間に合え……!!!)」
カナタは何らかの原因で気絶、その間にトドメを刺そうとしている敵。
このままだとカナタは死ぬ!
カリー「『|血創《けっそう》』ッ!!」
シュバババ!!
セイル「!?」
急いでカナタと相手の間に血創で作った結界を張り、なんとかカナタを助け出すことが出来た。
カリー「…はぁ……」
セイル「チッ……邪魔が入ったか………」
本当に危ない所だった………もう少し見るのが遅ければ確実にカナタが死んでた…。
カリー(油断も隙もないわね……)
カナタ「う"ぁ"………あ"ぁッ……っ!!」
抱え込んでいたカナタの状態を見るとかなり魘されているようだった。
……一体カナタは何をやられた?
カリー「………悪夢…」
大分悪趣味ね。カナタが使う能力にも似ているけれど、ここまでとは………。
セイル「ご明察。俺には他人の過去とかトラウマとかを悪夢として見せるのが得意なんだよね」
カリー「そんな特技があるなら、悪魔の素質があるわよあんた」
セイル「そんな素質いらないね」
カリー「あら、残念」
??「…………」
セイル「にしても珍しいね。"|空羅《くうら》"が聖魔一殺を使ってなおこれ?」
空羅「……うるさい。中々に避けるのがうまい虫だっただけだ」
カリー「誰が虫よ。どんな修行をすれば、人間で、その年齢で聖魔一殺を使いこなせるの?」
空羅「教えてやる義理はないな。それよりも…その状態で戦うのか?」
カリー「…………」
相手の言葉の意味を悟り、少し考える。
私の状態が不味いわけではない。私の周りに問題があるのだ。
カナタ「ぐ……ぃ"あ"…っ」
現在進行形で魘されているカナタを守りつつ、二人を相手取る。
しかも二人とも中々厄介な能力持ちときた。
……勝つのはまず不可能ね。
出来ることと言ったら、時間稼ぎか、敵の手の内を暴くこと。
そうだ、勝たなくたっていいのだ。
負けなければ……それでいい。
カリー「上等じゃない、やってやるわよ」
空羅「ほぉ、いい度胸だ」
セイル「楽には殺さない。絶対苦しめて殺してやるよ」
カリー「やれるならやってみなさい」
相手を挑発しつつ、こっそりカナタに血創で作った結界を何重にも張る。
これで生半可な攻撃なら防げる。
カリー「来なさい」
全力で相手してやるわ
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サルヴァ視点
カキン カンッ カン!!
サルヴァ「………」
クリス「………」
無言の最中、未だに剣と刀がぶつかり合う音のみが響く。
先程、この人は確かにあの光景を見て動揺をしていた。
しかし、何を悟ったのかその後すぐに俺への攻撃を再開してきた。
仲間を諦めたのか?
それとも、俺を倒してから助けに行くのか?
サルヴァ(もし|そう《後者》だとすれば、舐められてる…としか言いようがありませんね)
まぁ魔物…それも魔王にとっちゃ、俺ら人間なんて小物に過ぎないんだろう。
だから、思い知らせる。
クリス「……?(急に距離を取って……)」
サルヴァ「『|陽光《ようこう》』」
ボワッ!!
クリス「!……(剣が燃えてる……能力の一つか…)」
サルヴァ「………行きますよ」
クリス「……どうぞ」
シュッ ガンッ
サルヴァ「…………!!?」
クリス「くっ、うう……!!」
嘘だろ…………この陽光を纏わせた件を受けてなお、………
シュタッ
サルヴァ「………相手を舐めてたのは、あなただけではない……というわけですか」
クリス「それはこっちのセリフでもある……まさかこんな能力まで使えるだなんて…………」
サルヴァ「でも……意味がわかりません」
クリス「?……」
サルヴァ「なぜ陽光を直で受け、貴方は無傷なのか、意味がわかりません」
俺の陽光は、どのような防御をされても、炎属性であっても関係なく必ず大火傷を負う。
しかも、使い始めて少し経ってから分かったことだが、『陽光』は神聖魔法に近い能力。
神炎………という炎を作り出すことも可能だ。
その為魔物であれば、炎が効かなくともダメージを受ける。
魔物には、神聖魔法を防ぐことは不可能なのに…………。
クリス「それに関しては、あんまり言いたくないかな」
サルヴァ「………黙秘、ということですか」
クリス「言い方悪くない?」
サルヴァ「そうかもしれませんね」
クリス「じゃあ、仕切り直しと行こうか」
サルヴァ「えぇ」
正々堂々、負けても悔しくないように………
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ミア視点
攻防一体、先ほどから剣を撃ち続けてるものの、一向に変わらない。
……ずっと剣を交えるだけなのも退屈なので、こちらから一つ質問を投げかけてみるか。
ミア「ちなみに……さっき言ってたディーア?って人はなんなの?」
イフリート「…知らないならそれでいいよ」
しかし、相手が冷たすぎて答えてはくれない。
ミア(ちぇ………さっきから炎使ってきてあったかそうなくせに…)
こうなったら、変化球でも投げつけるか、また話しかけるか…………。
でもなんだろ…。
ミア(全然殺気が…ない…………?)
完璧に人型だから、気配がなければ人間だと勘違いしそうだが、
この人達は気配からして人間じゃない、魔物に属する種族だ。
だけど、皆から聞かされていた魔物より、断然人間味がある。
ミア(なんでだろ……)
純粋に思った疑問だった。
その疑問に答えを出すために、少し集中してしまったのが失敗だった。
ミア「!ッ…………」
イフリート「急に余所見?」
ミア「くっ…………」
やばい……指摘されたとおりだ。余所見しちゃってた……………。
やっぱり油断は禁物だな。
ミア(また空羅さんに稽古してもらおうかな…………)
でもあの人いつも自分の鍛錬で忙しそうなんだよなぁ…………。
イフリート(…また他のこと考えてるな……)
ミア「ねぇ、本気でやらない?」
イフリート「…十分本気でやってるつもりだよ」
ミア「嘘でしょ。だって全然殺気が無いんだもん」
イフリート「……………」
目から、気配から、言動から分かる。
この人は僕を殺すつもりなどさらさら無いんだろう、と。
ミア「"マモノ"って、人間を殺すんでしょ?なんで本気で殺しに来ないの?」
イフリート「は?おまえッ……!!」
ミア「……?」
先ほど思った純粋な疑問を直接聞いてみたらこりゃまた怒り出してしまった。
……全くなんなんだ、人間味はあっても、やっぱり考えてることは解んないな…。
イフリート「………はぁ…分かった。死んでも恨みっこなしやからな」
ミア「!」
さっきとは気配が別人になった。
あれ……もしかして予想以上に殺気どころか恨まれちゃってる感じ…?
ミア「…うん」
だからこそ、戦いは面白い。
おつせる!